桜大路学園物語                        作:天旗 紅道  第一章 春、舞い散るころ  はら、はら。  尽きることなく舞い落ちる桜の花びら。  千年桜と呼ばれる巨木が、校門を覆うようにそびえている。  実際の樹齢を知るものはいないが、開校以来ここを通る生徒たちを見つめ続けたことは確かだった。  この老木が一帯の「桜大路《さくらおおじ》」という地名のもとでもあり、ここ「桜大路学園」の校名の由来でもあった。  新学年を迎えた少女たちが、続々と老木の下を通っていく。  老木は「桜」という字が自分を表すことを知っていた。  そして、一人の少女が胸につけている名札にその字を見つける。 「桜井」という名札をつけた少女は、桜というよりも、草むらに埋もれて春先に咲く、名もよく知られぬ花のように密やかだった。だが、その花を見つけた人がするように、小さな春を見つけたような笑みを浮かべてしまう、そんな雰囲気をただよわせていた。  名を園美《そのみ》という。桜井園美。この春で二年生になった。  髪はシンプルなピンでサイドをとめ、耳はすっきりと隠れないでいる。髪はそう長くなく、肩に少しかかる程度で清潔感が漂う。  桜大路は制服であり、冬服は濃紺を基調にしたセーラー服だった。昨今、デザイナーの手によるデザインの制服もあるなか、旧来から変わらないスタンダードなもの。襟に桜の花びらを三枚あしらっているのが特色だといえる。 「おっはよーう」  園美に追いつく、弾んだ声。 「あ、葵ちゃん、おはよう」  横に並んだ少女は、園美よりも頭半分ほど背が高かった。桃谷《ももたに》葵、一年生のときは園美の同級生だった。  校門から校舎までは、ゆるやかな坂が長く続いている。そこを駆けてきても、葵は息ひとつ荒れていない。  葵はバレー部に所属し、スカートから健康的なカーブをみせる脚を伸ばしている。髪は短く、活動的だ。園美が野にひっそりと咲く花なら、葵は夏の空に突き伸びる、大輪の向日葵を思わせる。 「また一緒だといいんだけどね」 「うん、うううん? うーん?」 「嫌か。嫌なのか? 私と同じクラスが嫌か?」 「そうじゃなくて、番号の紙、あれ、どこいったかな」  桜大路学園では、学年ごとにクラス替えが実施される。  通常、学校でのクラス替えというものはクラスごとに偏りのないように、成績や生活態度、担任との相性などを考慮のうえ、細かに調整されることが多い。  しかし、この学園では前年度に番号を書いた紙を配布し、新年度の始業式に番号が張り出される形になっていた。  まったくのランダム編成であるが、もともと学力などに偏りの少ないこともあり、長らくこの形式が踏襲されてきた。 「園美のことだから、どっかしまいこんだんでしょ。失くすからって。それで忘れたんなら世話ないけど」 「そうなんだよね、きっと大切にしようと思って。待ってね、私、終業式の日に戻る」  そう言うと、空に向かってうなずいたり、手を動かしたりする。番号の紙を受け取ったときの再現をしているのだろう。  空から何かを受けとり、カバンから筆箱を取り出した。 「その中か」 「そうだ、そうだ、筆箱に入れたんだよ。あれ……固いな。ん、んん」  園美の筆箱は缶タイプのものであり、変な閉め方をしたのか簡単に開かなくなっていた。指を赤くして力をこめてもびくともしない。 「ちょっと貸してみ、うわ、ほんとに固いわ。だいたいあんた今どき缶ペンって、袋のやつにしなさいよ。んぐ、ぬぐぐぐ、ぐぐぐぐ」 「葵ちゃん、あの、無理すると壊れるかも」 「んがーーっ!!」  パッカーン  クラッカーを鳴らしたようないい音をたてて、筆箱は開いた。  ただし、まさにクラッカーのようにその中身も盛大に飛び散る。シャープペンシル、消しゴム、スティック糊、ビー玉などがしばし空を飛び、そして坂を転がった。 「あ、あわわわ、葵ちゃん」 「あわわじゃなくて、急いで拾う! あー、なんでビー玉なんか入れてんのよ」 「綺麗だと思って」 「綺麗だろうけどさ!」  二人は慌てて転がる文房具たちを拾い集めようとするが、散らばって転がっているので収拾は容易ではない。二人が駆け下りる速さより、文房具の速さが勝っていた。  その転がる先に、二人は意外な人物を見た。 『紅蓮様!』  風になびき、腰を撫でるように揺れるつややかな黒髪。柳の葉のような切れ長の涼やかな目。背筋を張った姿勢は、歩くだけで舞っているような印象を受ける。  紅蓮《ぐれん》と呼ばれた少女、藤原小夜はこの学園で特別な存在だった。  特別な存在はもう一人いる。白蓮《びゃくれん》と呼ばれ、その二人が学園の生徒会の会長の役割を担っていた。どちらも位としては同じで、それぞれに小紅蓮、小白蓮といった副会長的存在がある。小白蓮は現在のところ空位だったが、その四人とクラスごとの級長で生徒会が構成されている。  とはいえ、生徒会と名はなっていても、ほぼ白蓮・紅蓮の王政に近い体制ではある。  両蓮がカリスマ的な存在として畏敬の対象となっていたからだった。  外見的な美、そして人間的魅力において、圧倒的な力をもつものが、皆から推挙されて「蓮の方」となる。  あこがれでもあるが、近寄りがたくもある。いわばこの学園の王族だった。  小夜は、慌てふためく二人と、転がり落ちる物体を認めたようだった。  声をかけるべきか、かけるとすれば何と言うか、そんな逡巡が二人の脳内を駆け回る。  大名行列に飼い犬が吠えかかったり、王様の行幸に暴れ馬が突っ込んだようなものだ。しょせんは文房具、噛みも吠えもしないし、別に危なくはないが、無礼千万には違いがない。  次の瞬間、小夜は思わぬ行動に出た。  手にしていた鞄を横に置くと、地面に寝そべった。  手と足を伸ばし、道路に対して垂直に、まるで堰を作るかのように。  堰は、見事に役割を果たした。上流からの文房具を堰きとめ、文房具のものどもを鞄をふくめてその身体で止めたのだった。  やっと息を切らせて園美と葵が追いついてくる。  しかし、やはり言葉が見つからない。  感謝だろうか、詫びだろうか、それとも腹を切って死ぬべきだろうか。 「──いつまで私はこうしていればいいのかしら。拾って頂戴」  しびれを切らして、紅蓮が二人を見上げてそう言葉を放った。 『は! はい!』  小夜は人形の形態模写をしているように動かず、園美と葵はなるべくそのやんごとなき聖体に手を触れぬよう、文房具を拾い集めた。  その異様な光景を、通り過ぎる生徒たちが横目で見ていく。しかし、皆それを見えなかったのように足早に通り過ぎていった。  やっとのことで二人が文房具を筆箱の中にしまい終えると、小夜はゆっくりと立ち上がってパンパンと体をはたいた。 「あ、あの……有難うございました」  二人は腰を直角に曲げて最敬礼をする。  小夜は二人が顔を上げるのを待って、まだ蓋の閉じていないそこへ手を伸ばした。 「お礼として、このペンは頂いていくわ。いいでしょう?」  有無を言わさず、紅蓮はクマのシャープペンシルを手にして、ロングヘアをマントのように翻らせて去っていった。  ぼうっと、その姿が小さくなって、やっと二人は金縛りのような状態からもとに戻った。 「園美。これは、ちょっとまずいかも」 「ううーん」  二人はそれからクラス替えの貼り出しを見た。幸運なことに園美と葵はまた同じクラスになったが、先ほどの椿事のせいで心から完全に喜ぶことはできなかった。  放課後。始業から早速部活があるという葵を置いて、園美は小夜にきちんと謝りに行くことにした。 「あれ、でも紅蓮様ってどこのクラスだっけ」  どこか抜けている園美だった。   「失敗したわ」 「馬鹿ねえ」  小夜は、生徒会室として機能している別棟の通称「内裏」にいた。  生徒会の議場として機能する会議室のほか、紅蓮・白蓮の執務スペース、簡単なキッチン、他校の訪問者を迎える応接室、それに休憩用として寝室まで備えてあった。  大正時代に建設されたという煉瓦造りの「内裏」は学校の施設というよりも、館であり、ちょっとした城でもあった。  小夜と相対しているのはもうひとりの蓮、白蓮の菊村《きくむら》ほのかだった。  小夜がすらりと背が高いのに対して、白蓮は百五十センチ前後と小柄だった。髪もショートヘアで、無邪気に笑うさまは小学生の男子にも見える。  ただし身体のメリハリは大きく、体全体を見て男と間違うことはありえなかった。胸は制服を高く押し上げ、大きな影を作っている。  そのサイズが九十センチを超えているのは、本人と、親友である小夜、そして小白蓮である文代しか知らなかった。 「ずっと目をつけていたのに」 「馬鹿なんだよねえ」  小夜が「ずっと目をつけていた」相手とは、園美のことだった。園美が入学したころから、小夜は園美のことを気にかけていた。  今日でも、坂の下からずっと一定の距離をあけて観察するように見ていたのだった。園美のために何かをしたい、その気持ちがあふれて今朝の奇矯な行動に現れた。 「でも、下着が見られたのは唯一の収穫かしら」 「馬鹿だねえ」  小夜は生徒手帳にも園美の写真を忍ばせている。入手先は、行事ごとに撮影される卒業アルバム用のスナップで、内容を確認するという名目でデジタルデータから自分用にピックアップしていた。 「馬鹿馬鹿いわないで。十分わかっているのだから」 「パンツ見れたんだから、とりあえずオナったらいいじゃん。家に帰るか、そこの部屋行ってさ」  ほのかは奥の寝室を顎で指す。 「そんな……はしたないこと出来ると思って?」 「じゃあボクと今してるのは何なの」 「これは……友人とのコミュニケーションよ。握手みたいなもの」 「ふーん」  ほのかは、小夜の頭を撫でた。  その小夜は、机の上に座ったほのかが広げた太ももの間に顔をうずめている。 「あなたはいいわね、お相手がいて」  小夜は手を上下する。  その手に握られたものは、ほのかの股間から伸びる張りつめた肉の勃起だった。 「ん……いいよ、小夜……。でもさ、小夜がモタモタし過ぎなんだよ。ボクらも三年だよ? もう一年しかないんだから、精々楽しまないとさ。その園美って子でもいいし、他の子でもさ」 「園美以外は考えられない」 「あら一途なこと。じゃ、なおさら……ぁふぅ、こんなに上手なのに、っく、もったいない」  ほのかの猛った肉棒を、荒ぶる神を鎮めるように口で、唇で、奉仕する。  しかし、男神は怒りに赤く火照り、さらなる巫女の奉仕を要求する。血管を浮き上がらせ、まだ足りないと打ち震え、先端から雫をにじませた。 「ふんむ……あむぅっ、ほのかの、おっきひぃ、園美にも、こんな淫らなモノが、ふぁ、む、んむ、できるのかしら」  つぷ、ぶぷっ、ぷ、ちゅぷ。  湿度の高い、空気の出入りする音を立てる。口内の粘膜を、ほのかの無防備な亀頭に密着させようと、口をすぼめ、頬の内肉でも刺激する。 「できるのは、小夜かもしれないよ。あぅ……ふあ、そこ、あ、好き、ボクすきぃ、そこつぷつぷされるぉ、すひぃぃっ」  なぜ、ほのかの股間に男性器がそそりたっているか。そして、園実や小夜にもそれが現れるかもしれないという話をしているのか。  それは、校内にあるひとつの社が持つ、不思議な力の賜物だった。  桜大路学園では、「縁《えにし》」という制度がある。学校として強制的なものではないが、生徒どうしがペアをつくるというものだった。原則としては、学年が違う二人での組となる。  違う学年での友人はできにくいものだが、学園でそれを奨励することで、同学年だけでなく、縦のつながりを作ろうとするものだった。  年長者は年少者にさまざまなことを指導し、また年少者も身の回りの些事などを手伝うことで相互に利益があった。  それが長じ、同性ながらも愛を育むことにもつながった。今では、「縁」のペアのほとんどが愛人関係だ。  ここで、先述の社の話になる。  その社の前で告白をして「縁」を成立させたペアは、その片方に男性器が現れる。ただし、それは必ずではなく、お互いが心から相手を受け入れ、望んだときに限られるのだった。  したがって、ただ単に男性器を欲して偽りの告白をしたところで、それは望んだ結果にはならない。  当時は二年だった白蓮のほのか、そして小白蓮ではまだなかった一年生の文代。告白はほのかからだった。そして文代は受け入れた。結果として男性器が現れたのは、ほのかのほうだった。  ほのかが「もう一年しかない」と言っていたように、「縁」は年長者が学園を卒業したと同時に解消し、その時点で男性器も消える。「縁」はこの学園在学中の特殊な関係でしかないという証でもあった。  だから、小夜が園美と「縁」を結んで、そういう関係になったにしても、チャンスは小夜の卒業までの一年足らずということになる。 「ふぁぁぅ、もう、ん、出しちゃっていい? 小夜の口の中で、んっく、ボクのちんぽ、もう限界ぃぃっ」 「んんっ、出る? 出ちゃうの? いいわよ、ほのかの熱っいの、私の口に、いっぱい吐き出して」  小夜は、そうして口に放出されるほのかを待ち受ける。いつでもその時が来ていいように、ほのかの屹立した赤い巨塔を口ですっぽり包み込んで離さず、ときに大きく、ときに細かく雁首の部分を前後する。手も休まず、ほのかの尻を撫で回したり、女性の部分に手を這わせている。  ぷっ、くぷぅぅっ、ずっ、じゅぅっ、ぷっぷ、つぷ、つっぷ。 「んふぁあああっ! 小夜ぉ、小夜、で、っでっるぅぅぅぅう!」  どぅぅっつぷっ! ぶっぷっつう! びっぶびゅう! びゅ、ぶぶっびゅっ。  肉棒が跳ね、放たれる汁が舌を、口内を、のどの奥を叩きつける。こぼれぬように、小夜は口をすぼませるが、それでもわずかな隙間から漏れ出て、あごまでの一筋の線となって垂れる。  高価な薬のように、口内に放たれた熱い汁を大切に飲み干していく。どろどろとした半固体の白濁液を、ほのかのモノを咥えたまま、舌を使って器用に咽喉へと送った。 「ん、んっくぅ……うっく」 「っふあぁ……、小夜、まだ出る」  ぶっぷ、つとうっぷ、とっぷ……。  勢いはだいぶ収まったものの、小刻みにほのかの雌棒は鼓動のようにトク、トク、と痙攣し、先から雫を撃ち出していた。  やっとのことで、余震のようなその雫まですべて嚥下すると、ほのかの雌棒を口から離し、最後にあごに垂れた汁を舐めとった。 「よかったよ、小夜」 「濃かった……ね。なんかゼリーみたいだった」 「いや、春休みがあったしね。間があいてたから。……じゃあ、ボクも今度はお返しをしなきゃ。ほら」  ほのかは、小夜の腰に手を回し、机に手をつくように促す。机はそう高くないため、おのずと腰を突き出すような格好になる。 「私は、別に……」  そんな曖昧な抵抗の言葉は耳に入らぬとばかりに、ほのかの手は遠慮なくスカートの中に侵入し、熱をもった場所にたどり着く。 「なんのなんの、こちらはその気ですよ」 「ん、んぁ……ん」  指が滑るように滑らかな生地のショーツ。その布地が一番細まる場所。そこはこんもりと丸みがあり、湿気と熱気を発散していた。  指を押し込むと、粘りのある汁が布地を通してあふれ、ほのかの指を湿した。 「挿入れるのは、やっぱりだめなのかな?」 「だって……最初は」 「そうそう、園美ちゃんにしてもらうんだったね」  まだ気持ちを伝えてすらいない相手に、義理立てする小夜をおかしくも思ったが、ほのかは彼女の気持ちを大切にしている。  このような遊戯は小夜とほのかの間で、この「内裏」の中で何度となく行われてきたが、ほのかの雌棒を小夜に挿入したことは一度もなかった。 「じゃあ……こうしよう」  ほのかは小夜のスカートをまくりあげると、ショーツを尻が完全に出てしまうまでずり下ろす。  そこでショーツを止めたまま、ほのかはぴったりと腰を押しつけた。 「え……なに?」  ほのかは上向きになっている雌棒を水平に押し下げ、その砲口を小夜の熱源へと向ける。 「ここで、可愛いがりっこしよう」  ちゅっぷう、つっぷつ。  ショーツと小夜の陰唇が結ぶ露の幾本もの筋。それを断ち切るかのように、ほのかの雌棒が突き入る。  じっとりと蜜を含んだ小夜の陰唇が、唇を這わすように、ほのかの雌棒を濡らした。 「ふっぅぁ、すっごいぬるぬる……」 「っく、んんっふぅ」  発散する熱が、お互いの性器を灼く。  くっぷ、つぷ、っぷぅ、ちゅぷ。  ほのかがいっぱいに腰を突き入れると、また肛門付近まで引き、また突くという動作を繰り返した。  ほのかの雌棒は肛門を撫で、陰唇をねぶり、少しく顔を出し始めている陰核を槍の穂先のような雁首で弾いた。 「ん、んんぅ、へん、へんなのぉ、うっふぁ、はぅっふぁ、あっぐっ、へんな声でるぅう」  むずがゆいようなもどかしい肛門、大胆に弄ばれる陰唇、体の奥に鋭くしびれるような陰核。それらの異なった刺激の波状攻撃に、小夜の理性の壁が崩れていく。 「ボクも、ぃいのお、声……いっぱい出して、小夜のやらしい声、んっ、いっぱい、聞かせてっぇええ、あん」  そこへ、コツコツと足音が近づく。その主は最後にカツ、と小気味よい音で踵を揃えた。 「お楽しみのところ失礼しますが」  ホルダーに挟んだ書類を、ほのかに押し付けるように差し出したのは、小白蓮の梅沢文代だった。  制服をお手本のように、寸分の隙もなく戦装束のように装備している。  髪は後ろでゴムでひとつにくくり、長く背中に垂らしている。そのゴムも黒く、飾り気がまるでない。  目が悪いのか眼鏡をしているが、それも銀縁のシンプルなもので、まるで人の見た目を気にしていないように思える。  その割に、眼鏡のレンズの奥はくっきりと絵のようにすっきりとしたアーモンド形のラインを描いている。  ナイフのように鋭い鼻梁、きりりとひきしめられた口元まで、計算しつくされたように整っていた。 「んっ、っふぁ……無粋な娘ね。知ってるけど」 「わたくしも承知しております。今日中に決裁していただきたく。読み上げましょうか」 「ああっ、いぃ……んっく、オーケー。それでいいから」 「読んでおられないでしょう。来月の菊桜会《きくおうかい》の会場と関連する予算についてです。わたくしは白蓮様に一ヶ月前からお渡ししていましたが、今日が先方に返答申し上げる期限になっています」  菊桜会とは、近隣にある菊理院《くくりいん》という学校と桜大路との連絡・親睦会のことで、定期的に行われていた。菊理院も女子校で、お互い歴史も深いためこのようなやりとりが行われていた。 「あ、明日、んんぁああああ、ぬるぬる気持ちいぃい」 「その言葉をそのまま先方にお出ししますが。『あ、明日、んああ、ぬるぬる気持ちいい」と』」  律儀に文代はメモにまでとる。 「それは、うっくぅ……あんっ、いくらなんでも……」  トントン。  控えめだったが、外と通じるドアのほうからノックの音がした。  さすがに、ほのかも腰の動きを弱めてそちらを向く。 「お待ちください」  文代は落ち着いたもので、ほのかと小夜の行為など何も知らないようにドアへと向かい、開けた。 「あ、すいません。二年の桜井です」 「三組の桜井園美さんですね」 「え……はい」  別に文代が全生徒の名を覚えているわけではない。小夜からは何度も彼女の話題がでていたから記憶していただけだった。  そして、わざわざ口にしたのは、幸いいまはドアの影になって隠れている小夜とほのかに聞かせるためだった。 「何か御用かしら」 「あの、紅蓮様にお話したいことが」  突然、文代は咳払いをした。  顔をそらした隙に、小夜の反応を見る。ほのかに腰をつかまれた形のままで、こちらを見て必死に手を振っていた。 「ごめんなさい。紅蓮様は……ちょっと体調が優れないとかで、先ほど帰られてしまって。――何か伝言しましょうか」 「いえ。そんな大層なことではないんです。有難うございます」  文代の折り目きっちりとした態度につられたのか、深々と礼をして園美は去っていった。  それを見届けて、文代は戻る。 「これでよろしかったでしょうか」 「う、うん……有難う」 「あーあーあー」  ほのかが急に小夜から身体を離し、大声をあげた。 「どうしましたか。決裁していただける気になりましたか」 「違う! 気が変わった!」  ほのかは小夜に目配せをすると、文代の背中に回って羽交い絞めにした。 「何を……」 「小夜、足!」 「わかってるわよ」  えっさえっさと文代を運び、寝室へと連れて行く。  三人が余裕で横になれるキングサイズのベッドの中央に、冷凍マグロを扱うようにして放り投げた。  スプリングが撥ね、文代の身体を弾ませる。 「あなたはそのカタいところを直さないとね。だからいまからお仕置きします」  レスリングで押さえ込むように、ほのかは文代の上におしかかって動きを封じた。 「決裁は」 「しつこい娘ねえ。それなら気がついて昨日先方に直接電話したの。問題ないでしょ」  これは嘘ではなかった。ただ気がついたのは本人ではなく、たまたま書類を見かけた小夜によるものだった。 「そういうときは、報告して頂かないと困ります。文書が残らないと何かあったときに確認が」 「ええーい、うるさいうるさい」  ほのかは身体をすばやくずらし、足を抱え込むと文代の長めのスカートの中に顔を突っ込んだ。  鉄面皮を保っていた文代だったが、ここで初めてあわてた様子を見せる。 「何を……小夜さんもいるのですよ」 「小夜は一人でしてたらいいよ」  そういうまでもなく、小夜はどこからか写真を取り出し、もう息を荒くしていた。さっきまで、ほのかに責められていた陰部はまだ熱でほてり、新たな慰撫を求めていた。 「園美……好きぃ」  左手で写真を持ち、右手にはシャープペンシルを手にしている。これは先刻、小夜がどさくさに紛れて園美から奪ったものだった。  シャープペンシルは小夜のスカートの奥、光を照り返す白のショーツ、そこのじっとりと濡れた部分に向かう。  ペンにあしらわれているクマの頭で、下のほうからさっと一筋に撫でただけで、甘美な痺れが背筋を走った。 「ひぃ、っく……ぅん。だめ、園美、お尻なんか舐めちゃ」  もう横の、ほのかと文代のことなど見えていないかのようだった。 「ほら、いまボクから見えないけど、小夜も一人で盛り上がってるみたいだし、おしおき続行だよ」  ほのかは頭を動かすことで、文代のスカートを器用にまくりあげた。  レースをふんだんにあしらった薄い水色のショーツが姿を見せた。腰の部分はひもで結ぶタイプだ。股間の部分だけレースではなかったが、その部分は狭く、黒い蔭りがレースを通して見えていた。 「あら、いやらしいお下着。誰に見せるつもり?」 「白蓮様が先日下さったんです。お忘れになりましたか」 「覚えてるー」 「七枚セットで、曜日ごとに変えろとの仰せでした」 「それも覚えてる。なんだ、素直じゃん。じゃあいうこと聞こうね」  ショーツから伸びる、上質の陶器のような白い輝きをもつ文代の太股。そこに顔を挟み込んで、ショーツの上から文代の秘部へ口づけた。 「白蓮様、いけません」  文代は抵抗して、ほのかの頭を押し、そこから顔を引き剥がそうとする。  ほのかは太股の下から腕をくぐらせて、しっかりと腰全体をつかみこんだ。 「ほうはいはん、へったいはなれないほ」 「何をおっしゃっているか、わかりません」  文代の股間に顔を密着させているためだ。  ほのかは、ぐりぐりと顔を動かして、文代の太股の柔らかさと、恥丘のふくらみと、布を一枚通した卑唇の香りを楽しむ。  洗剤か、柔軟剤か、下着から発せられる微かな花の香り。その奥の、まだ見えぬ人体の花びらが発散する牝の匂い。 「んぁ……白蓮様、やめましょう。もう、何もいいませんから」 「ははら、これはほひほひなんだっへ」 「何をおっしゃっているか、んぁああ、い、いや、やめてくださ、ひっ」  ほのかは鼻の頭で、縦にショーツをなぞる。陰唇の形を探るように、執拗に。ショーツの奥から発せられる牝の匂いが強くなり、湿り気も増した。  わざと唾液を舌にまとわせ、布地に塗りつけていく。ちゅ、ぺちゃ、という音が鳴った。 「ぃ、いけません。……そのようなところ、っう! はぁ、あ、いやいやあ、くっ、ん」  ほのかは大きく口を開けて、恥丘にまるごとかぶりつくようにした。歯は立てない。口全体であぐあぐと噛みしめる。意味のない行為だったが、気持ちが昂ぶってそうせずにはいられなかった。  しばらくそうしていて落ち着いたのか、やっとのことで、ほのかは顔をあげた。 「たいそう堪能させていただいたわ」 「じゃあ、これで終わりに……」 「しませーん。おしおきだって言ってるでしょうに。さ、きびきび動く」  ほのかは、文代に四つんばいになるように命ずる。けして気は進まないようだったが、いままでのように断固拒絶するという態度ではなくなってきていた。 「何を、なさるんですか」 「はい、質問はもう許しませんからね。ボクのいうことには常にイエス、その前と後ろにサーを必ずつけるの。サー! イエッサー!」 「お言葉ですが」 「なにかね」 「女性相手にはサーは使いません。マムが適当かと」 「……」  ほのかはもはや無言で、文代の尻に手をかける。ショーツをずり下げ、文代の見かけによらない豊かな尻肉を露わにさせた。  流れるように、とどみなく、ほのかは手をあげた。平手を振りかぶり、勢いよく振り下ろす。  ペシィィイ! 「ひきいぃ!」  痛みよりも、突然のことに高い悲鳴をあげた。手が当たった部分がそのまま赤くなり、痛みは後からヒリヒリとやってきた。 「謝りなさい」 「な、わたくしが何故」  ペッシイイッツ! 「きいぃぃいあっ!」 「そう。文代は悪くないわ。ボクが理不尽なことを言っているの。悔しい?」 「そんな、ことは……いやぁああっ!」  予告もなく、打ち下ろされる。そのたびに、文代の尻は赤みを増し、じんじんとした痛みとともに、熱をもった。 「さ、謝りなさい」 「も、申し訳ございません。わたくしが、悪かったです」  ピシイィイイ! 「悪いと思ってなんかないでしょ。そうよ。あなたはいい子。だからいじめるの。嫌? 私が嫌い? やめてほしい? それとも、憎い?」 「そんなことは、ありません。わたくしは。文代は……白蓮様のことを、あ、いや、いやぁあ!」  何度も、何度も打ちつける。痛みはやがて薄らいだ。同じ場所を殴られることで、麻痺してきたのだった。 「許してぇ、ください。お願いします……。お慕いしています……心から」 「こんなにあなたのことをいじめてるのに? ボクはあなたのこと嫌いかもしれないのよ」  文代は四つんばいのまま、首だけをほのかに向けている。許しを請う目は、目いっぱいに涙を潤ませ、虐待された小型犬のようだった。 「それでも、構いません。わたくしは、白蓮様に心から……奴隷として仕えます」  大きく振りかぶった。その風の音だけで文代は、ひぃ、と息を呑む。  だがその手は、そっと文代の尻に着地する。羽根が舞い降りるように。 「――ごめんね。文代のことは大好きなの。だけど、いじめたくなっちゃうの。好きだから。わかってくれるわね?」 「はい、はい、はい、白蓮様。愛していてくださるなら……わたくしをいかようにも扱ってください」 「よく言ったわ。いい子ね」  痛みを癒すように、赤くひりついた文代の尻を優しく撫でる。それから犬や猫がするように、舌で丁寧に舐めた。 「ありがとう、ございます」  ほのかはおもむろに、ずり下がっていた文代のショーツに手をかけた。そのまま、膝まで下ろしてしまう。  うす桃色に染まったすぼまりが谷間からのぞき、その下の陰部は、淡く覆われた陰毛が露をもって、きらきらと光っていた。  ほのかは、文代のその部分に指をやり、蔭りの奥に行儀よく重なった陰唇から蜜をすくった。濡れた指先を上にすべらせて、ひくひくと収縮する菊門へと到達させる。 「こっちも鍛えないとねえ」  文代の菊門に挿入した人差し指を、くりくりと動かし、内部から刺激を加える。 「ひぃっ……ふはぁ」 「ボクらも来年には卒業だものねえ。ちゃんとそれまでやれることはやっとかないと。だから小夜も──」  ほのかは、小夜のほうを見て驚愕した。 「くぅうふ! そ、そのみぃ、園美の太いの、だめ、そんなに太いの知らない!」  彼女が自らを慰め始めたとき、手に写真を持っていたのは知っていたが、いまや彼女の周りにはカルタ大会のように写真が並べてあった。  登校中の園美、体操服の園美、プールサイドで水着の園美。どうやって手に入れたのか、着替え中の写真もあった。 「ボクも知らないよ。ほっとこ……ほら、文代はここが好きなの?」 「はふぅうあ、すき、すき、ですぅ、文代は……お尻の穴をいじられるのが好きです」  ふん、と鼻で息を大きく吐き、指を抜く。ベッドの上をすべり、文代に顔を近づけた。 「気分、盛り上げてるじゃないの」  ほのかはスカートをはずし、下着も脱ぐと、天を仰ぐ肉棒をそそり立たせた。 「は、はぁ……」  その剛直に見蕩れ、ため息をもらす文代。 「顔をそのままにしていなさい」  ぐい、と眼鏡に押しつけられた。熱く猛る亀頭を。先から滲み出した汁が、眼鏡のレンズを汚す。文代はほのかの言葉に従い、歯医者の治療でも受けるように頭を動かさない。何度も、下から、上から、押しつけられる。すっかり眼鏡はずれてしまっている。 「――まだ動かしちゃだめよ」  ぺしっ。ぺっし。  ほのかは腰を横に振る。雌棒が文代の頬に当たって、立てる音だった。  今度は鼻の下から、持ち上げるように突く。鼻腔が上を向き、整った文代の顔が崩れる。 「ふぐ……ぐっ」 「質問したり、抵抗しないのね。それでいいのよ。文代はボクの玩具なんだから。さて、そろそろお情けをあげるわ」 「はい。有難うございます」  文代は、しずしずと体勢を変え、ほのかに尻を差し出した。 「存分に、お使いください」 「遠慮なく、いくからね」  ほのかは満足げに笑みをたたえると、文代の尻を乱暴につかみ、既に迎える準備が整った肉窪に「縁」を繋げる棒を突き入れた。 「うっぐぅ、ああっ! ああ、あっ、いきなり、あ、あ、ああっ、ん、つよ、つよくっ、ああっ」  遠慮なくという宣言のとおり、ほのかは最初から激しく腰を動かした。先ほどの殴打で真っ赤になった尻肉を打ちつける音、文代とほのかの敏感な粘膜が愛液をかき混ぜる音。それらがあいまぜとなって、淫猥な旋律が細かく刻まれていた。 「ん、んああっ、文代、いいわよ、あ、あなたの、狭くて、いいわ、ほめてあげる」 「あ、あふぅ、あ、白蓮様、あ、あああんっ、ありが、ありがとうご、うあ、ございます。もっと、わたくしの、もので、よろしければ、お好きに」  腹腔をえぐるように、ほのかの雌棒は文代の子宮口を突いた。奉仕する肉穴と徹して、文代は顔をシーツに伏せ、枕を抱え込んだ。尻だけが突き出て、そこをほのかに供物として捧げている。  しかし、いかに乱暴であっても、性器はその暴力を心地よい快楽に変える。背筋を高速に駆け上がってくる快感は彼女の理性に穴を開け、身体を、びくっ、びくっ、と立て続けに痙攣させた。 「あ、ああっ、いい感じよ文代、あ、だから、何か希望を、言ってごらんなさい」 「くぅ、ん、あ、あ、あああん、お顔を、あ、見ながら、ゃあん、イかせて、くださ、い、いぃぃい」 「……いいわよ」  勢いよく抜くと、ぷしぅ、と文代の陰唇が汁を吹き出した。雫で水玉の模様をつくっていたシーツが、一気に塗りつぶされた。  文代はくるりと身体を反転させ、仰向けになる。膝を持ち、腰をあげて大きく足を開いた。 「おいでください」 「いい声で鳴きなさい」  ほのかは蜜をたたえた文代の花に一転、ゆっくり、息を何度もできるほど、ゆっくりと差し入れた。 「ふぅ……ふぅぅあああっ、白蓮様」 「うぅ、んん……あふぁん」  文代の膣内の襞を、一枚一枚、亀頭で数えるように。奥に到達するとそこをノックするように、トントンと軽く前後し、またゆっくりと戻ってくる。  上半身でも、ぴったりと密着している。ほのかは文代の細い首に舌をはわせ、あごを辿り、耳をくまなく舐め、鼻を軽く噛むと、熱く唇を重ねた。 「ん……んむ、あふ」 「むっ、あっく……ふぁ」  口内の粘膜、膣と陰茎の粘膜が、熱を、分泌液を交換した。お互いを知るように、そのデータサンプルを多く集めようとするように。 「文代……愛してるの。んんっ、でも、こんな愛し方でごめんね」 「あっ、ああっ、いいんです、白蓮様のなさりたいように、ん、んああっ、わたくしを」  唇の交わりは、やがて舌の侵入に変わる。より多くの唾液の交換と、粘膜の密着を二人は求めた。それは下半身も同じく、ほのかは腰の動きを速めた。  じゅっ、じゅぶちゅ、ぷっ、ぷっちゅう、じゅっぷ、ぷぐ、じゅぶ。  小夜はその結合を見られる場所にいた。床に広げられた写真と、性器の交わりを交互に見て、自分と園美の性交を想像した。  恥じらう園美。迎え入れる小夜。どんな声をあげるのだろう。唇の味はどんなだろう。園美の放つ精液はどんな匂いがするのだろう。 「そのみ、そのみぃ、そのみのちんぽ、ほしぃ、ほしぃの、いっぱい、いっぱぁあい、あ、あ、して、いっぱいしてぇ」  考えるだけで、小夜は花弁を弄ぶ指に力がこもった。  ほのかと文代の交わりは、最前の後背位でのものと、徐々に同じぐらいの激しさになっていった。しかし、なかば拷問のようにも見えた先ほどの行為とは違って、お互いがお互いを求め合ってるのが、白昼夢の世界に旅立っている小夜の目にも明らかだった。 「あ、きぃ、きもちいいです、白蓮様の、あ、あ、ああああん、ああっ、もう、わた、わたくし、気をやって、んぁあ、しまいます、あ、いやぁ、いあやぁや」 「んっ、ぐん、ボクも、もうぅ、イっちゃいそ、もうぅ、げんかい」  二人は、両手で相手の身体をつなぎとめるように、しっかりと抱いた。上半身がしっかりと固定される。露わになった二人の白い下半身だけが、激しく交わりあい、汁や汗を散らしている。 「あ、わ、わたくし、さきに、さきぃ、イってしまいます、あ、ああぁあぁあ、あ! あ!ああああっ! いやぁあ、あああああっ!」 「ん、ボクもっ! いっく、イっくぅううううう!」  びっくぅ、と大きく文代の身体が跳ねた。膣肉がきつく収縮し、ほのかの分身は文代の体内で白い悲鳴をあげた。  どっっく! びゅっく、びゅううぅく、びく! びゅぶっつく!  小夜は二人が達したのを見てとり、想像の園美も、性感の極みの歓喜をあげた。激しく小夜を突いた肉棒が、小夜の膣内で爆発した。 「あ、もうだめ、私、あ、ああっ! イく、イっちゃう、すき、すきぃぃ! 園美、そのみぃぃいいい!」  腰を大きく突き出し、シャーペンのクマの耳が、ぐずぐずに塗れた小夜のショーツの一点を押した。小さいながら尖るばかりに勃起していたクリトリスは、そのピンポイントの襲撃を受け、小夜の頭を一気に真っ白にさせたのだった。  ──一方。  園美は、まだ「内裏」の近くにいた。手紙だけでも何か置いていこうか、などと考えていったんは書き、書いたもののまたしまったりして、逡巡していたのだった。 「あれ。なんか、私の名前を誰か呼んだような……気のせいかな」  耳を澄ましても、もう何も聞こえてこなかった。  第二章 初夏、新緑の色増すころ  春を越え、夏の兆しが訪れ、暑いという感覚を思い出すころ。  微小の雨粒が風にあおられる霧雨。濡れる土の匂い。完全な梅雨入りにはまだ早いが、この数日、晴れ間は少なかった。 「昨日もだめだったよ」  園美の顔も晴ればれしていない。  葵はその言葉に呆れ顔だ。 「まだ、あのときのこと謝ろうとしてるの? もう向こうは忘れてるんじゃない」  例の一件について、園美はなんとか小夜と会って、謝ろうと試みた。もう二ヶ月も前の話だ。葵が呆れるのも無理はない。  教室に行くと、体調が悪く休みだとのことだった。  放課後に「内裏」に行くと、ちょうど他校との会合があるとのことで出かけていた。それを告げたのは小白蓮の文代で、こちらが恐縮するほどの丁寧さだった。  登下校でも、時間をずらしてみても見かけることがない。 「避けられてるのかな」 「それはないと思うけど……避ける理由がないでしょ。運が悪いだけだって」 「うーん」  園美は根から真面目な性質だった。とりあえずとか、形だけとか、物事を自分のいいように解釈をすることができなかった。  赤信号のときに、周りに人も車もなくともそれでも信号を待ち続けるような、よくいえば律儀であり、悪くいえば不器用な性分だった。  二人は、北棟と南棟を結ぶ渡り廊下を歩いていた。雨はだんだんと激しくなって、斜めに降る雨が渡り廊下を湿していた。  北棟の裏が「内裏」になる。園美はそこからの帰りで、葵は北棟の教職員室の前の、部活の連絡板を見に来たのだった。 「今日は自主トレですってよ。まあ、帰ってもいいんだけど。園美、予定なかったら付き合ってくれる?」 「いいよ。でも何をすればいいの」  二人はいったん教室に戻ることにした。荷物はまだ教室にあったからだ。  教室には、一人だけ生徒が残っていた。  最後列の自分の席で携帯ゲームをしている、ショートボブの髪の少女。園美たちが入ってくるのにも構わず、ずっと携帯ゲーム機を見つめて、指を動かしている。ヘッドホンはしていないから、ドアが開くのは聞こえたはずだ。  椅子を後ろに倒し、足を机の上に乗せている。桜大路では、良家の子女ぞろいと言わないまでも、生活態度には厳しい環境で育っている娘が多いので、こうしたことをする生徒は珍しい。  名を、竹中涼子という。園美がちょこちょこと寄って、携帯ゲームの画面をのぞきこんだ。 「涼子さん、何やってるの」  涼子は目を携帯ゲームから動かすことなく、独り言のように返事をした。 「ボールペンがひたすら流れてくんのよ。それに蓋つけていくの」 「楽しい?」 「ちっとも。もうすぐ三千本いきそうなんだけどね」  涼子はやはりクラス内では浮いた存在であり、誰か友達といっしょにいることも少なかった。いつもゲームをしているし、話しかける者も少なかった。葵も彼女が苦手だった。嫌いなわけでもないが、どう接点をもっていいのかわからなかった。 「がんばってね」 「おうよ」  顔は動かさないで、涼子は別れの挨拶をそう締めた。二人は荷物を持って、ふたたび廊下に出た。  しばらく歩いてから、葵は尋ねた。 「あの子と話せるのって、あんたぐらいじゃない」 「そうかな。いい子だよ。こないだ余ったからって小さいフィギュア貰ったよ。いま家のトイレに飾ってあるの」  少々変わっているところが共通するところか、と葵は勝手に納得した。  廊下を進み、靴を履き替え、二人はバレー部の部室に向かった。 「むさくるしいところですが」  中には誰もいなかった。そう熱心でもない部活としては、こういう日は皆帰ってしまうのだという。 「でも……なんか面白いね。人の部屋に入ったみたいで」  片側にはロッカーがずらりと並び、ボールがぎっしりと入ったボール籠があり、中央に簡単な折りたたみ式の会議机がある。安い食堂で見るような背もたれのない椅子が数脚。壁にはポスターやカレンダーが、芸能人のものやら猫やら、アニメのものまで節操なく貼りつけられていた。 「みんな好き勝手に物を持ち寄ってくるからね。おかげで趣味も広がるんだけど」  机の上の青年漫画誌を取り上げて見せた。 「部員は何人なの」 「幽霊も入れれば三十人程度かな。幽霊抜けば十人もいないね。だから私のレギュラーは安泰なのよ――さて、とりあえず着替えようか」  今日は体育があったので、園美も体操服を持ってきていた。桜大路の体操服は、世間でも珍しくなったブルマだった。  制服がずっとデザインが変わらないのと同様に、体操服も三十年ほど前に現在の形になってから変わっていなかった。  エンジ色のラインなしのブルマ、上の体操服は袖ふちがブルマと同じ色のシンプルなものである。 「うん。なんか放課後に体操服に着替えるのって新鮮だね」  園美は帰宅部なので、そういう経験がない。手早く着替えた葵が、まだ着替え中の園美をまじまじと見据える。 「あー、園美って結構胸あるのね。Eとかあったりする?」 「まさか。ブラジャーであるように見えるだけだよ」  そう言うものの、葵の目には園美の胸は大きく張り出しているように見えた。園美の顔や仕草が子供っぽく、そのコントラストのせいもあったかもしれない。  ずっと胸を見つめていた葵だったが、体操服で隠れてしまうと目的を思い出したのか、園美に指示を出した。 「そこでやろ。マットをどこから持ってきたかは聞かないでね」  部室の一角には、体操用マットが一枚ひかれていた。葵によれば、普段は寝そべったりお菓子を食べたりトランプをしたりと、よき憩いの座敷になっているという。 「勝手に体育館から持ってきたの? 大胆だね」 「こそこそすると余計だめなの。向かい合って、私とおんなじことしてくれるかな」  葵はマットに座り込んで、あぐらをかくような形になる。足は組まず、両に膝を開いて、足の平を合わせる。 「いたた」 「体がかたいんだよ。膝を地面につけられる?」 「無理」 「即答か。まあいいや、じゃあゆっくりでいいから体を前に倒して」  園美はうんうん唸って必死に倒そうとするが、四十五度も曲がらない。葵は難なく、合わせた足の平のところまで額がつく。 「うぅ、すごいね葵ちゃん」 「園美がかたすぎるんだよー」  その体勢のまま、葵が目を上目遣いにすると、正面に足を開いて座っている園美の股間が見える。  足を開き、何度も上体を倒すことを繰り返したため、ブルマが食い込んで股の部分の布地が細くなっている。その少しふくらんだ部分を葵は注視している。 「どうしたの?」 「なんでもない。じゃ、次ね」  組んだ足を伸ばし、大きく開く。葵は指先を足先につけ、先ほどのように前屈運動をした。園美はまねをするが、そもそも足が葵のように開かないし、指先も足首に届くかどうかというところだ。 「いて、いてて。無理」 「少しずつ伸ばすといいよ。そのままで」  葵は立ち上がり、園美の後ろへと回る。園美の小さな肩に手を添えた。 「華奢、だよね」 「貧弱っ子だからね。細くもないんだけど」  園美のいうとおり、ある程度の肉づきはあり、女としての丸みはある。葵が普段触れているクラブの部員たちとは、筋肉のつき方が違うのだろう。 「痛くなったら、いってね」  ゆっくりと、肩を押す。乱暴にすると壊れそうな肩。同性ではあるが、そこに女の子らしさを認めずにはいられない。 「いてて」 「ちょっとは我慢して」 「うー。約束違うよ、葵ちゃん」  葵は顔を、園美の首筋に近づけた。園美の髪は、そう長くもなく、襟足の部分で毛先がそろっている。かすかに柑橘系の匂いが葵の鼻をくすぐった。  葵は黙って、腰を下ろす。園美の後ろにぴったりと、同じ姿勢で重なるようにした。 「葵ちゃん?」  園美が驚くのも無理はない。  葵の胸はぎゅうと園美の背中に押しつけられ、葵の下腹と園美の尻肉も隙間なく触れ合っている。  ブルマから伸びた二人の太股も、二人の肌のわずかな色味の違いが比較できるほどに並んでいる。園美の太股はより白く、つきたての餅のようにむっちりとしている。少し汗をかいたのだろう。わずかに湿気が触れ合った部分から伝わった。 「いい匂い、するから」  素直に言ってしまう。 「なに言ってんの。変だよ」  まだ園美は、葵がふざけているのだと思っている。まさか淫らな欲が、蛇の頭のようにもたげているとは思っていない。『縁』を結んでいない葵には当然ながら男性器はないが、彼女が生まれもった性器はぬるりとした液が染み出し、小さな男性器と類似した分は、かたくしこって勃起していた。 「ほら、頑張って」  身体全体で、ふたたび園美の身体を押す。 「いてててて、いたいよ、葵ちゃん」 「だめか。じゃ別の手で」 「いや、無理に私ができるようにならなくても、いいんじゃないかな」  園美の主張はもっともで、もともとは葵の運動につきあうだけのはずで、別に園美の身体が硬かろうが関係はないはずだ。 「身体がかたいといろいろ困るよ。リンボーダンスしなくちゃいけないとか」 「滅多にそんな局面はないよ」  困惑する園美の正面に、葵はまわりこむ。  園美の足を片方もちあげ、その下に葵の足を差し入れる。もう片方の葵の足は、逆に園美の足の上に乗せ、互い違いに足を組み合う格好になった。  葵は身体を前ににじり寄せる。自然、二人が足を開いて、股間を擦りつけあうまでに接近した。 「葵ちゃん」 「何?」 「なんか変なこと考えてるでしょ。私も馬鹿じゃないんだから」  おかしな格好もさながら、葵の顔は上気し、接近した葵の胸がどきどきと打つのが園美にもわかった。 「ばれたか」 「ばれるよ。こんな格好にして……んっ、やぁ」  ばれたら仕方がないとばかりに、葵はじっとこらえていた欲望のままに、行動を起こした。股間を押しつけ、ゆるやかなふくらみを見せる恥丘をぶつけた。 「あん、園美の、園美のあそこと当たってる。当たってるよう」  より身体の密着を求めて、強く園美の身体を抱きしめる。胸の双丘も押しつぶされ、ブラジャーが間にあるのがもどかしくなる。  乳首と乳首どうしを触れ合わせたい。  恥毛どうしを擦り合わせたい。  お互いの陰唇で、お互いをねぶりあいたい。  仲のいい友達のつもりだった。いや、そうであることに今も変わりはないが、いつからか葵には、園美を愛したいという衝動が宿っていた。  美女ではない。可憐というわけでもない。しかし、肌に触れ合いたい、恥悦に顔を火照らせて、喘ぐ声を聞きたい、そういった邪な思いを沸きたさせる何かが園美からは発せられていた。  それは、母性愛で守ってあげたくなる、園美の頼りなさでもあり、小鳥のような澄んだ声であり、文鳥の嘴の桜色の、ふっくらとした唇でもあっただろう。とにかく、葵がいまいちばん抱きしめたい存在、それが園美だった。 「葵ちゃん……んなぁ、あっ、変な感じがする、だめぇ、こんなの、いけないよ」 「ほんとうに、んっふぅ……だめ?」  葵はあごを、園美の肩に乗せ、耳元でささやく。その間も、股間をすりつける腰のくねりは止まらない。 「あ、だって、こんなことするの。好きな人とじゃないと。あひっ……ん、私なんかじゃなくて」 「私は……園美のこと好きだよ。あぅん……んっ、だから、したいの。園美は嫌い?」 「嫌い、じゃないよ」  葵のこと、と続けたかったのだが、唇をふさがれた。園美を頭を抱え込むようにして、濃厚に口づけされたキス。 「はぁ……園美が、えっち好きでよかった」 「そうじゃなくて、んっ! ああ、いやぁ、そんなとこいじっちゃだめ、いや、いあっ、ああっ!」  密着することにある程度の満足をした葵は、園美にもっと恥ずかしい声をあげさせたいと思った。右手を、園美のブルマの上にすべらせる。行き着く先は、熱い接触を繰り返した二人の股間の間で、指の先は園美のブルマの食い込んだ皺の間を走る。  その皺をさらに深くするように、葵の中指は上下する。  指の先は、その布の奥を触覚のみで想像する。  ふっくらとした肉のクッション。そこに指が沈み込んでいく凹みがある。ときおり指にひっかかるのは、微かに硬くなった突起だろう。 「園美、どう? 痛くない?」 「ひはぁ、いた、いたくない、でも……ん、んーっ! あ、あはあ、はぁ、はあん」  葵の肩を、しっかりと握っていた園美の手が、葵の背中に回りこんだ。 「気持ち、よくなってくれてるんだね。嬉しい」  指の動きに変化をつけ、園美の秘部をまさぐり続ける。そこから発散される水分、身体全体からの汗、湿っぽい吐息、それらで彼女たちの周囲には淫猥な湿った空気が満ちた。 「はっ、はぅっ、あお、葵ちゃん、私、私っ、っー! ん、ん! んんっー!」  葵の背中に回された腕が、しっかりとしがみつき、園美の痙攣をつぶさに伝えた。  軽く達したのだろう、葵はあえてそれを言葉で聞いて確認することはしなかった。  ぜいぜいと息を荒く吐いて、葵の肩に額を乗せている園美の頬に口づけた。やわらかな感触が唇に残る。 「こんどは、私も、ね」  園美をマットへ仰向きにさせ、葵自身は百八十度回転して膝立ちになった。お互いが、顔を近づけて陰部の愛撫を行える体勢になる。  葵は、園美の尻を少し持ち上げ、ブルマの股間の部分の生地を引っ張った。尻の部分は葵から見えないが、ほとんどTバックに近い状態になる。股間の隙間から、乳白色の尻たぶの下部がかすかにのぞく。  股間の部分はほとんど紐状になり、真っ白なショーツもはみ出し、薄めの陰毛もかすかに横から見えた。 「なに、するの」  まだ朦朧とするのか、園美が舌足らずの言葉で問いかける。この体勢では、葵の顔はよく見えず、股間に向かって話しかけるようになってしまった。 「できたら、同じようにして」  葵はブルマを引っ張る力をいったん緩めると、再び同じように股間を吊り上げるように引っ張る。秘部にくっきりと現れる、こんもりとしたふくらみを撫で、真ん中に出来た食い込みに指を沿わせる。 「ふぅぁ、あん、真似……するね」  遠慮がちながらも、園美は葵のブルマに手をかける。下半身をよく使うスポーツで成長したからか、葵の尻はボリュームがある。園美は小さな手を広げ、尻の両峰からブルマの裾を手繰り寄せる。  引っ張ってT型を完成させると、片手は尻の谷間に位置した布地を固定する。もう片手は葵が園美にしてくれているように、秘部へと伸びた。  楕円形にかたどられた葵の股間のふくらみは、園美が触れると暖かかった。汗ばんでいるような湿度も感じる。そこを小動物を撫でるようにやさしく触り、葵のするように中心線を指でなぞった。 「あ、ああんっ、園美、園美が、してくれてるぅ、あ、いぃい、すきぃ」  しばし同じ動きを繰り返し、時折、葵の指は尻の谷間に落ち込んだ。その奥のすぼまりを探し、指の先でドリルのようにぐりぐりと差し込む。 「んっ! ひうぅ」  ひときわ園美の声が高くあがり、位置が正しいことを証明する。 「園美も……そこ、して」  言われるがままに、園美も指を立たせて突き押す。三回目で、その位置を探し当てた。  二人はブルマの上から宝物を探すように、相手が甘い声をあげるポイントや、触れ方を試しあった。その奥を直に見たいという欲求は大きさを増すばかりだが、あえてそうはしなかった。 「あ、あ、葵ちゃん、そこへん、へんになるよ、うぅあぁっふん」 「んんっ、んーっ、ん、気持ち、それいい、いいの、もっとして、強くして」  もっと新しい、もっと違った刺激を求めて、二人の思考は激しく回転する。そんな葵の目に、あるものが目に入った。 「園美、ちょっと、ごめん」 「ん? んん……」  葵は園美から身体を離し、少し離れた長細いものに手を伸ばした。 「これ、使おう」  葵の手に握られたのは、赤い色のプラスティックの円筒。リレーに使われるバトンだった。 「使う、って?」  葵はブラジャーをはずし、園美にもそうするように言った。そうした二人の乳首は尖るように立ち、体操服にありありとその突起を見せる。 「足を上下に組ませて……そう」  向かい合って座り、片側は自分の足が上になり、もう片側は相手の足が下になるようにして、組み合った。座った形で、もっともお互いの恥丘が重なりやすいように、という葵の考えだった。  葵の思惑通り、さっきまで二人で慰めあった熱をもった部分が、お互いの湿り具合が熱気となって伝わるほどに密着した。胸も重なり、つんと突き出た部分が触れ合う。 「ここに、ね」  いったん密着させた部分に、バトンを差し込む。二人の股間の部分のふくらみに支えられて、バトンは男性器のように屹立した。  葵はその屹立を握り、上下に動かした。当然ながらバトンそのものへの刺激は二人とも感じることはできないが、バトンが上下に動くことによって、支えている二人の秘唇が震えた。 「んっ、んん、んあぅ」 「あふっ、ふぅ、あああ、あ、あ」  二人で交互にバトンをしごく。刺激としてはまどろっこしいが、男性器のような棒をつかむことで、間接的に性器を刺激するという行為が、男性のオナニーはこういうものだろうかという興奮を生んだ。 「こんな、なの?」  園美はおもむろに手を止めて、実際の男性器に比べての疑問を口にした。 「さあ、私も男の人のは……、でも『縁』で生えてきた人のはもっと小さかったな。勃起してなかったからかもしれないけど」  実のところ葵には、幼いころに近所の男の子とした「いじりっこ」の記憶があった。しかしそれも小さいときの話だし、勃起するところを見たものの、それは親指より少し大きい程度だったので参考にはならないと思って明かさなかった。  バトンを園美から奪って、ぐるぐるとクラッチレバーを回すような動きを加えた。 「ふぅぁっ、ひ、ぐりぐりくる、ひぅっ」  目を閉じて、新しい刺激に耐える園美。その表情がいとおしくて、葵は園美に唇を重ねた。目を閉じたまま、園美も葵に唇で応える。ついばむように唇の柔らかさを確かめあうと、舌をつ、つ、と突き合せた。  葵が自分の体操服に手をかけ、胸の上までたくし上げた。張りのある丸い乳房が、重力を感じさせずに現れた。続けて園美の体操服も同じようにして、園美の乳房と重ねた。園美の乳房は手のひらに納まりそうに小ぶりだ。  二人とも乳首は肌色に近い控えめな色だが、存在を主張するようにピンと突き立っていた。胸のふくらみが押しつけ合い、乳首どうしが擦れる。そのたびに、電気が通るようにぴり、ぴり、とした感覚が身体の奥を刺してくる。 「ふぅうん、んむう、むーっ、んん」 「はぁ、は、うむ、ん、んんっ」  ぴちゃ、ちゅっぷ、ぶっぷ、ぴちゅぷ。つっぷ。  舌をお互いの口内に侵入させ、唾液を交換する。あふれた雫が、二人の顎をつたって、乳房へと垂れた。 「っ、んーっ、も、もうだめ」  急に葵は離れると、ためらいなくショーツといっしょにブルマを脱ぎ捨てた。彼女の陰毛は、自ら滲ませた淫液で濡れそぼっている。続けざまに園美のブルマにも手をかけ、同じ姿にした。園美の股間も、濡れてつやつやとした光を照り返している。  マットの上には、ショーツとともにくるくると丸まったブルマが二つ、大輪の花のように並んだ。  どちらが言うでもなく、先ほどと同じ格好に戻る。その股間に位置するのは、もうバトンではなく二人の指だった。  くっちゅ、ちゅぷ、ちゅっく。ちゅっぷ、くち、くちちゅ、ちぅっぷ。 「あ、あ、ああっ、ふぁ、はぁうぅ、んんっ!」  すでに蜜を吹き出しているその部分を、音をたてて指が侵略する。 「園美、そのみぃ、園美の指、私のアソコ触ってる、さわってる、あ、あああっ」  奥に入れることはなく、陰唇をなぞり、こりこりに固くなって皮のフードから顔を出した淫核を指の腹で弾く。決して強烈な刺激ではなかったが、いままで焦れに焦れ、そして直接に指が触れたことでの昂揚は計り知れなかった。 「葵ちゃん、葵ちゃん、いやぁあっ、こんなのだめ、おかしく、おぁしぃくなう、なうぅ」 「いいよ、いいの。ぁう、ううっ、私も、おかしくして。固いとこ、くりくりしてぇ、えええ、あ、そこ、あぁ、ひぃぃぃっ、ん、んっああ!」  ぶちゅっるっ、ちゅっつゆぷ、ちゅっつく、ちゅちゅ、ちゅぶぶっ。  指が奏でる水音は、大きく、リズムが早くなっていく。びくっ、びくん、と二人の処女体に甘美にやってくる痙攣もより小刻みになっていた。 「ひぃん、ひん、んっん、あっ、あおい、葵ちゃん、やぁ、やああっ」  上体はふたたび、乳房どうしが叩きあい、乳首が剣での戦いのごとくぶつかりあい、下腹部で失われる水分を求めようとばかり、伸ばした舌で唾液を相手の口からすくう。 「園美、そのみの、舐めたい、あああっ、園美のアソコ、舐めたいのぉ」 「い、いいよ、私も、葵ちゃんの、葵ちゃんの舐める」  二人は上下に重なって、蜜が滴る秘部に顔をうずめる。熟した果実を思わせるような雌の匂いが卑猥な気持ちを昂ぶらせた。  葵は大きく口を開けると、園美の陰部を口で覆うようにして、全体を舌でねぶった。園美の目立たない陰唇を、舌で左に、右に寄せ、中央に溜まった雫をすくい取る。 「ああああっ、ひゃ、あっ! やぁあ、いいん、いぃい、きもちいいぃい、いいんっっ!」  葵のむっちりした太股に挟まれた園美が嬌声をあげる。ただされているばかりではない。園美も、葵の尻肉をつかまえて、顔を押しつけるようにする。さっき自分がいじられて気持ちよかった突起の部分を、クリトリスという名も知らないままに探しあてて舌で転がした。 「ああ、クリいいよ、クリされるの好き、すきぃ、あっ、もっとして、もっとぉ、おぉっつああ、あああ、ああっ!」  唇で、舌で、指で、快感を受け止める淫器を蹂躙し、弄ぶ。まだ未熟な少女の身体は、その大波に翻弄されて、大きく打ちあげられ、平常の生活とは違うところに連れて行かれる。  そこには普段の常識も、節度も、恥ずかしさもない。 「葵ちゃん、あ、あああっ、いいよぅ、いいの、じんじんくるの、あ、やんやんやあぁっ、なんかくる、お股からなんかきちゃう、すっごいのくる、あ、ああああっ」 「私も、園美におまんこ、ぺろぺろされて、イく、イきそう、おっきな声出していっちゃいそうだよ、あ、あああ、いん、いん、いいいん、あ、あ、やぁああっ!」  瞬間は、同時に訪れた。  喘ぎ続けた園美が、息が苦しくなりながらも、葵のクリトリスを強く吸ったそのとき。  葵が舌を尖らせて、膣口に軽く突き入れたとき。 「あ、あああ、いやぁ、きっちゃうぅ、くるぅ、だめぇえ、ええ、ああ、ああああっ!」 「イく、私イっく、ああ、あ、あ、あ、あああ、園美と、そのみと、い、いっしょにイくぅううう!」  二人は顔をお互いの淫液で濡らして、びくっ、びくっと、まだ納まらない痙攣に身を任せていた。 「私と、『縁』結ぶ気はない?」 「う……ううん」  くす、と。葵は口の端で笑む。  まだ身体に力の入らない園美の肩を撫で、立ち上がった葵は散らかった服を拾う。 「だと思った」 「え?」  園美のぶんだけ、その傍らに置く。葵は自分のカバンの中から水筒を取り出し、蓋のカップに中身を注ぐと、園美に差し出した。 「あんたは気づいてないかもしれないけどね。好きなんだね」 「ふえ? え?」 「いいのいいの。私は後輩でいい子を探すとしますわ」  二人はしばし休んで、着替えてから部室を出た。 「あ」  園美が、宙をにらんで足を止めた。 「どうしたの?」 「忘れ物してきた。先に校門いってて」 「おいよ。いつものことで」  夕日差し込む廊下を、園美は小走りで教室に急ぐ。  幸い、教室の鍵はかかっていなかった。先刻、カバンを取りに戻ってきたときのように、涼子が行儀の悪い姿勢でゲームをしていた。  さっきと変わったのは、光景が夕暮れの赤みをさしているところぐらいだった。 「涼子ちゃん、暗くなってきてるよ」 「ん……ああ、そだね」  涼子は、ゲーム機を少し操作すると、電源を切った。セーブをして終わったのだろう。 「何本、蓋つけられた?」 「おかげさまで、一万本越えた。なにしに戻ってきたの」 「忘れ物」  園美は机の中に手を差し入れて、筆箱を取り出した。 「ああ、それが有名な奴か」  噂話に興味のない涼子も、『筆箱をひっくり返して紅蓮様が道路に寝そべった件について』は知っている。 「うん。……まだ謝れてなくて。葵ちゃんはもう忘れてるだろうって言うんだけど」 「いいんじゃない」 「え?」 「気になるんだったら、納得するまでやんなきゃ。ん。それがいい」  涼子は何度もうなずくと、机に乗せていた足を下ろし、ゲーム機を無造作に鞄に放り込んだ。 「──いっしょに帰ろう」 「うん!」  涼子がそんなことを言い出したのは初めてだった。一気に距離が縮まったように感じた。  施錠をして、校門まで並んで歩く。もっぱら園美がたわいないことを話して、涼子は適当に「ああ」とか「うう」と唸るだけだったが、ゲームをしながらでなく応答してくれるので、ちゃんと聞いてくれているのだろうと思う。  陰を長く落としている校門には、手足をバタバタさせている葵がいた。 「園美園美そのみソノミ」 「何回も呼ばなくてもいいよ。何かあったの?」 「に、に、にににんじゃ」 「にんじゃ、なんにんじゃ。……てへへ」 「忍者がいたのよ!」  園美のダジャレをまったくスルーする。 「またまたあ」 「ほんと! ぜったいにいたの! あ、写メ取り忘れた! あ、竹中涼子がいる!」 「いて悪いか」  一方、「内裏」の話である。  白蓮こと菊村ほのかが椅子に深く腰かけ、頭に新聞紙を折って作った兜をかぶっている。  それに正対して、黒装束の者が膝立ちになっている。 「お館様、園美さんは桃谷葵さんと睦言を行ったものの、『縁』を結ぶことは断ったとの由」  黒装束が、そう報告した。すっぽりと身体を覆うような装束からは目しか見えないが、少女の声である。 「うむ、とりあえずは安心といったところか喃」 「ご質問が」 「何だね」 「わたくしはいつまで白蓮様の戦国ごっこに付き合えばよいのですか」 「私が飽きるまで」 「この格好は大変目立ちます。実際、数人に見られました」 「誰かわかんないじゃない。おけおけ」 「とりあえず暑いので、頭巾は取ります」  黒い頭巾から現れたのは、特に意外でもなく、文代の汗まみれになった顔だった。 「他人事だと思って気楽なものね」  少し離れてそれを見ていた紅蓮こと藤原小夜が、鼻で笑った。 「だからほれ、さっさと告白しちゃいなさいよ。私は園美が好きです。毎日自慰をするほど好きです。写真をアソコに押し当ててイったこともあります、って」 「なんで知ってるのよ!」 「最後のは適当だよ。やっぱり変態ねえ」  第三章 盛夏、涼風肌に心地よいころ  部屋の中にいても、蝉の鳴く声が届く季節になった。  桜大路は夏休みに入っていた。部活に入っている者は学校に通うが、そうでもない生徒たちは、あと何回も体験できない長い休みをのんびりと満喫していた。  園美の同級生、竹中涼子もそんな一人だった。  昼過ぎから起き、家から五分、自転車を走らせる。商店街の中にある店の前に自転車を駐めた。  涼子は、ひたすら同じ音楽をループで鳴らし続けるUFOキャッチャーの筐体の横を通り過ぎ、店内へ入っていった。冷たい空気が彼女を包み、同時に店内の視線が動いた。  桜大路の校風として、純粋培養のお嬢様とまではいかずとも世間擦れのしていない、いわゆる「女の子らしい」生徒が多い。  涼子は、ほぼ毎日のようにゲームセンターに通っていた。それだけでも桜大路の生徒としては少数派だが、彼女に視線を集めさせた、その服装も変わっていた。  ぎりぎりまで丈を短くされたホットパンツは、太股をまったく露わにしていたし、同じく丈の短いタンクトップは涼子の形のよい縦長の臍を惜しげもなく視線に晒していた。桜大路へと娘を通わせるような親にとってみれば、眉をひそめる服装だろう。  涼子は手に抱えていた上着を羽織った。これは肌を隠すためではなく、純粋にエアコンの冷気が身体に当たるのを防ぐためだけだった。その背には、ゲームメーカのロゴが大きくプリントされている。  彼女は桜大路のなかでも浮く存在ではあったが、この空間でも異彩を放っていた。  ここは、「タンスポ」と知るものには呼ばれているが、その正式名称について涼子は知らない。おそらくタウンスポットとかそんな略なのだろうが、看板を見つけて確認するほどの興味はない。  千円札を両替すると、無造作にジャケットのポケットに入れる。  じゃらじゃらと音をたてながら、迷わずにとある筐体に向かった。 「ワールドグレート」という、古臭いロゴ。古臭いだけではなく、実際に十年以上前に制作されたゲームだった。他のゲームセンターではとっくの昔に新台に追いやられているが、ここでは涼子が継続的にプレイしつづけ、さらに涼子に挑戦するプレイヤーがいるために、古いゲームながらもインカムを稼いでいる、店にとっては良台になっていた。  内容は2D格闘ゲームで、このジャンルが流行していた頃に制作されたものだった。世界の偉人たちが、なぜか時代と国を越えて格闘をするというもので、平賀源内が稲妻を撃ち、クレオパトラが目からビームを放ち、ニュートンがリンゴを投げつけるといった具合だった。  しだいに店の中がざわつき始める。  筐体があちこちでたてる音にかき消されて、その内容までは涼子の耳まで届きはしない。 しだいに客が涼子の周りに集まり始めたので、ざわつきの原因は知れる。  その集まりの中の、一段低い固まりが進み出た。 「RYK《リック》、勝負だ」  三人の少年だった。涼子をRYKと呼んだのは中央にいた背の一番低い少年。その左隣に、もやしのような眼鏡の少年、右隣には髪が肩まで伸びている、きちっと襟のあるシャツを着たお坊ちゃん風の少年。  RYKというのは涼子のゲームで使っている名前、スコアネームだ。涼子を三文字に収めただけの単純なものだが、本名を名乗ることはないので、RYKで通っている。  この少年、何度も涼子に対戦を挑んできている。名を名乗ってはいないが、お互いが呼び合っているので涼子は名を覚えている。もやし眼鏡がヨシツグ、お金持ち坊ちゃんのアキラ、背が低いわりにリーダー的存在のダイ。 「対戦台なんだから勝手にどうぞ」 「もし勝ったあかつきには!」 『あかつきには!』  ダイのあとに二人が唱和する。 『──なんでもいうことを、きいてもらうぞ』 「はいはい」  彼ら三人は、向かいの対戦台へと向かった。  挑戦を受けたのは初めてではない。だが、涼子が少年たちのいうことをきかされた試しはない。すなわち、負ける気がしなかった。  勝負のほかに彼らの下心がありありなのも、彼らが勝ちを得られない理由の一つだったろう。  対戦台の後ろにはアキラとヨシツグがいて、ダイのプレイを手に汗握って見つめている──ことはなかった。  その視線の先は明らかに涼子の胸元であり、股間だった。  冷房の効きの悪いタンスポで座っていると、おのずと汗がにじんでくる。その汗は首筋をつたい、胸の谷間へ吸い込まれていく。また、露わになっているお腹の部分からの汗も、重力に従って流れ、ホットパンツと肌の隙間を通って、やがては涼子の黒い蔭りの部分に迷い込む。  その汗の雫たちを競走馬の勝負の行方を追うかのように、執拗なじっとりとした視線が涼子の体の表面を行き交っていた。  もちろん、少年たちが気にしているのは汗自体ではなく、その汗がつたう彼女の身体だった。  彼らはその行為の呼び方は知らないだろうが、まさしく視姦以外のなにものでもなかった。  涼子の乳房の大きさを、乳首の色を、陰毛の多さを、まだ見ぬ女性器の形を想像する。 「濡れる」という現象について、涼子の喘ぎ声について、涼子の秘部への挿入について、拙い知識で補完する。  キャラセレクトをしている最中に涼子が横目でさらりと見ても、彼らの性への禍々しい好奇心がありありと伝わってくる。  アキラの膝丈のハーフパンツ、ヨシツグの半ズボンの股間の、こんもりと盛り上がりがうかがえ、それを裏付けている。 「あからさまだね」  涼子は苦笑する。小声だったので周囲の喧騒にかきけされて彼らには届いていないだろう。  対戦ゲームは三本先取制だったが、すべて涼子はライフを半分以上残して勝っていた。  両替をしてきたらしいアキラが百円玉の塔をダイのコンパネに積む。  連コインはマナー違反だが、周囲の人間もことのいきさつを知っているので咎めたりはしない。  また二回連続でダイと戦い、ストレートに負かす。  次はアキラが代わった。使用キャラも投げ技を得意とするガタイのいいおっさんに変わった。これも組みつきすらさせぬ間に瞬殺。露出の高い女性キャラを使うのはヨシツグだ。放ってくる波動攻撃を潜り抜けて、懐に潜り込んでコンボを叩き込み、宙に浮かせて何もさせずに勝利。  三巡したところで、涼子はあくびをこらえた。何回もかかってくるのはいいが、ワンパターンで成長がない。お金を使わずにプレイできるのはいいが、さすがに飽きてきた。  だいたい、勝ったときに何をしたいってバレバレだし……と考え、ひとつ思いついた。  わざと負けてやろう。ただ、わざとらしくてもいけないので、徐々に隙を見せ、癖をつくる。これで数回やれば、苦闘の末に勝利したように思うだろう。  ジャンプの着地を、相手が投げ攻撃をできるところまで近づける。飛び道具を、大きい一定のジャンプで避ける。ガードを入れるタイミングを遅くする。  これらの微小のミスを少しずつ増やすことで、涼子が勝つものの、勝ったときの涼子の体力ゲージは少なくなっていた。対戦台の向こうでは、そのたびに歓声が沸く。  そして、アキラが五枚目の千円札を両替しようとしたときに、ダイが勝利をおさめた。 「やったー! RYKに勝ったぞ!」  やんやと騒ぎひとしきりお互いが健闘を称えあうと、三人は涼子の前に胸を張って立った。 「さあ約束だぞ」 『なんでもいうことをきくんだ』  単純な子たちねえ、と涼子は心中で笑っている。 「じゃ、なんでもいうこときくけど、場所移動しましょ」  涼子は立ち上がると後ろも振り向かずに、自転車を店に置いたまま、とある方向に向かった。  三人は、涼子のあとに従って歩いた。  大通りをしばらく歩き、細道を一本入る。すると、一風変わった建物が立ち並んでいた。入り口がわかりにくく、それでいて豪勢に見える。ファッションホテル、古い直接的な言葉だとラブホテルだった。  涼子は戸惑うこともなく、家に帰るかのように自然にそのうちの一軒に入った。  後に続く三人は、身体をすぼめて早足で続く。彼らも建物の中を知らないまでも、何をするところであるかは知っていた。  涼子に要求をつきつけたときは、興奮で心臓が内から破れそうなぐらいだったが、ここにきて彼らは不安や恐怖のほうが大きくなっている。こそ泥でももっと堂々としているだろう。 「お、よかった。大部屋空いてたわ」  写真で部屋が表示されているパネルから、六階の一番大きな部屋を選んだ。迷う暇もなく、少年たちは他にどういう部屋があるのかと眺める間もなかった。奥のエレベータに向かう涼子を、カルガモの子のように急いで追う。  エレベータの中でも、涼子が鼻歌で「Bugってハニー」など歌っていても、彼らは隅に固まって一言も発しなかった。  六階に着くと、矢印の表示が点滅していた。その方向へ涼子は進み、突き当りの部屋へと入る。少年たちも部屋に滑り込んだ。 「ベッドは二つあってカップル二組用の部屋なんだけど、広めのこっちでね」  矢車菊の壁紙が清楚さすら感じさせる、上品な部屋だった。ゆったりとしたソファーに、部屋の隅にはマッサージチェアがある。大画面のプラズマテレビにはゲーム機と通信カラオケ機が据え付けられていた。  そして、その部屋で一番の存在感をもっているのが、天蓋つきの大きなベッドだった。涼子、そして三人がみんなで横になれる広さはゆうにある。  そのベッドに腰掛け、所在なくテレビの前に固まって立っている三人に尋ねた。 「──さて、君たちはどうしたいのかな? ちなみに私の名前は涼子。RYKはアルファベットそのまんま」  三人は顔を見合わせたが、やがて命を懸けて直訴するように、ダイが声を張った。 「り、涼子さんを、なぐさみものにするんだ」  涼子の笑いが弾ける。 「くはっ、ふひゃひゃ。どこで覚えたの? そんな言葉……いや、面白い面白い。具体的にどうすんの? 抵抗しないであげるからやってみ」  ダイは進み出て、涼子の前に立った。うんうん、とうなずく涼子の上着に手をかけた。 「脱がせる」 「いいでしょ」  脱がせるとはいったものの、ダイは袖を手で持っていただけで、自分から脱いだ涼子の上着は涼子の手で部屋の隅に投げられた。 「──さてさて。ここからは?」 「下、のほう」  おずおずと手を伸ばすが、涼子が座ったままではホットパンツは極めて脱がしにくい。腰のホックを外し、そこから涼子の下着がちらと見えたところでアキラの手は止まった。 「はいはい。よく頑張った。でもこれだと朝になっちゃう。さすがに君たちとお泊りはできないから……さ、ほかの二人も来て並びなさい」 「は、はい」  ほっとした顔のダイの両側に、アキラ、ヨシツグが気をつけの体勢で並ぶ。 「いろいろ教えてあげるから。私の言うことを聞きなさい。いいね?」 『はい』  声をそろえて返事をする。すっかり教師と生徒のような立場になってしまっていた。 「ズボンを下ろして、パンツを見せなさい」 「……え」 「見せなさい」 『はい』  三人が観念してズボンを下ろす。  ダイは白のブリーフ、アキラは少し大人っぽくグレーのブリーフだった。ヨシツグはトランクスだが、何かのイラストがワンポイントで入っていて、子供っぽさは抜けていない。  ダイは気をつけの体勢で手を横にやっているが、アキラとヨシツグは手を股間の前に持ってきていた。 「君たちも気をつけで、手を横」  手をどける。隠していた理由は明らかで、二人のその部分は盛り上がって、テントを立てていた。ダイもわかりにくいが、一点でつんと張っていて、その中が通常の状態でないのをうかがえる。 「さて質問」 『はい』 「自分のおちんちんをいじって、気持ちよくなったことのある人」  ダイは意味が解らないのか、きょとんとしている。両側の二人は、意味が解る、というか該当者なのだろう。きょろきょろと他の者の顔をのぞきこんでいる。 「──手を上げなさい」  もうわかったようなものだが、アキラとヨシツグが挙手した。  いい機会だと思い、涼子は質問を続ける。 「じゃ、どうやってするの? ヨシツグ君から」 「ボ、ボクは普通に……手で、こすって」 「ふーん。本とか見るの?」 「そういうの、まだ買えないから……頭の中で」 「じゃあ、私をオカズに抜いたことある?」  ぐい、と顔を近づける。うつむき加減だったヨシツグの顔が、さらに下を向く。 「あわっ」  ヨシツグが驚いた声をあげる。  涼子は、ヨシツグの股間に張り出したものを強く握っていた。 「私のいやらしい格好を考えて、ここを擦ったりしたのかな、って聞いてるのよ。わかってる?」 「あ、あ、あります」 「よろしい」  素直に答えたことの報酬なのか、涼子はパンツ越しに握った手を数度縦に動かした。 「ん、んぁ……」 「はいおしまい。次はアキラ君で」  涼子はアキラに向き直り、さっきまでヨシツグのものを握っていた手を、アキラのブリーフに向ける。そのテントの頂点に指で弾き、反応を楽しんだ。 「あっ、……んっ……ひん」 「アキラ君はどうやってオナニーするの?」 「僕は……ん、寝るときに、っ、お布団で」 「こすりつけるのね? そんなときは、何か見たり考えたりするの?」 「…………」  照れた顔をさらに赤らめて黙りこくる。 「わかった。私だけに言ってみ。他の子に聞かれるのが嫌だったら」  そう提案すると、やはり他の二人に聞かれるのがいやだったのか、涼子の耳に口を寄せて小声でささやいた。 「涼子さんの写真……僕しか、持ってなくて。二人には内緒にしてるんです」 「なるほど」  とりあえず二人の告白を聞けて満足した涼子は、ダイを弄ぶことにする。 「オナニー、知らないのね」 「う……うん」 「いいよ。私が教えてあげるから」  ベッドから腰を上げ、ダイの前に膝立ちで座りなおす。ダイのぴんと張ったブリーフの先端は、涼子の頭の下だ。その突起を、下のほうから両手で包み込む。  左手はその下のふっくらと丸い部分を支えるようにして、熱くぴくぴくと脈打っているのがブリーフ越しにもわかる棒の部分を軽く、親指、人差し指、中指の三本でつかむ。  あくまでも軽く、指に力も入れず、スッスッスッスッと素早く指を上下に移動させた。 「あ……なんか、ぴく、ぴくんってする」 「気持ちよくなってきた?」 「ん、うん。おちんちんから、なんか、じんじんする」 「オナニーは自分でそうやってするんだよ。じゃあ、もっとしてあげようね」  涼子は首を傾け、ダイの張りつめたブリーフの先端を口にふくんだ。木綿の生地越しに甘噛みし、その奥のものの固さを確かめる。どく、どくとした血の流れが感じられた。  涼子は唾液をその部分にまぶしていく。次第に白いブリーフは透け始め、中で雄々しくこわばっている肉棒の色を見せていった。 「はぅ、はあ、あうっ」  ダイは初めて体験する感覚に翻弄されて、足をガクガクさせながら、ただ涼子のすることを見つめている。 「そろそろ、みんなの大事なものを見せてもらおうかな」  涼子はダイのブリーフに手をかけ、ゆっくりと下げていった。腰のゴムの部分にひっかかったペニスの先端部分が外れるとき、びん、と元気よく跳ねて、涼子の鼻をかすった。  二人の下着も涼子の手で脱がし、そこからまろび出る少年たちの若きシンボルを晒す。  下半身が靴下を残して裸になった少年たちを、ぴったりと並べた。  ぴんと行儀よく屹立したものをじっくりと見比べたいのを抑えて、涼子はおのおのの体型や肌の色を観察する。  ヨシツグは女の子のように肌が白く、足もすらりとほっそりしている。ダイはその真逆に肌は小麦色で水着の焼けあとがあり、筋肉質だった。からだつきでは、アキラはその中間といった位置だ。  元気よく男性を誇示している少年たちの股間のものは、三者三様だった。  色も、形も、勃起の仕方まで異なっている。  ダイは小さいが太く、大砲を思わせるようにたくましい。砲台のように、四十五度ぴったりと斜めにそびえている。先は尿口のほんの少しの周囲だけ、ピンク色の部分がのぞいている。  アキラはすらりとしていて、日本刀のように美しい弧を描いていた。へそにつくぐらいに勢いよく勃起していても、皮が先端に余っていた。  ヨシツグは一番大きい。大きさだけは大人と変わらないだろう。それでいて、毛もなく、包皮からわずかに顔を出した先端のピンクの部分が幼く、違和感を抱かせる。大きいゆえの重さか、ほぼ横一直線に向いている。 「──じゃあ、味見していくから」 「はぁっ、ぼ、僕から?」  最初に涼子が口に含んだのは、アキラのすらりとした肉棒だった。先端の皮の感触を楽しむように、舌で転がす。皮の上から、亀頭の大きさを確かめるように咥えた後、皮を根元にたぐりよせ、輝くようなピンク色の部分を少しずつ露出させながら、唇でねぶった。 「うつぶせのオナニーは皮かぶりがちだから、控えめにね」 「は、はい。あ、ああっ、あああっ」  アキラにとって自慰行為は何度もしているが、それは手や床に擦りつけるものであって、こういうヌルヌルしたものが這うという刺激を受けるのは初めてだった。ちりちりと痺れるような感覚が肉棒を電線のように伝わり、根元に近い部分でびくっ、びくっという快感に変換され、身体全体に広がっていく。  すっかりと亀頭を出してしまうと、すっぽりと口に包み込んで、両の手をダイとヨシツグに伸ばした。 「ん、ん、んむぐ、んんっ。ん、一番最後までがんばった子に、ごほうびあげるからね」  ちゅっぱ、ちゅぱ、と音を立ててアキラの股間に吸いつき、手は二人の順番待ちで寂しい暴れん坊を慰める。 「さわってる、涼子さんが俺の、ちんちん、さわってる」 「はぁ、きもち、いいですう、いいです」  ヨシツグは、自分でも皮をむき慣れているのか、涼子が手を動かすとすんなりと亀頭をむき出しにした。一方、ダイのほうは、ビニールで包まれた新品のプラスティック容器のように、包皮は頑なで、皮を引っ張ろうとしても先端でひっかかってしまっていた。  無理にすると痛そうなので、手のひらで全体を握って少し上下するだけにとどめる。 「ちょっと移動するね」  アキラのものから口を離し、ヨシツグを口内におさめる。 「ふぁ、お口きた、んっ、涼子さんのおくちぃ、あああっ」  唾液を厚くコーティングされたアキラの陰茎は、より赤味を増していた。涼子は片手をアキラの未発達な雁首のところで親指と人差し指で円をつくり、早く小刻みに上下させた。 「あ、あ、あああ、それ、気持ちいいです、ですぅ、ふぅ、ううあはぁ」  また新たな責めを受け、アキラは身をよじらせる。先に口での甘美な感覚を味わったこともあっただろうが、生まれて初めての快楽に、早くも登りつめようとしていた。 「ん、んっ、アキラ君、もう、でちゃいそう?」 「ああ、もう、もうだめですっ、だめ。いやぁ、でるぅうっ!」  びゅるるぅぅっ! っびゅうっる!  ひとすじ、もうひとすじ。  長く、白い濁液がつくりなした線が舞った。  我慢が限界に達した幼い性器の、天に向かった放出だった。その多くが、涼子の身体へとふりかかり、顔、タンクトップ、ホットパンツ、太股を汚した。 「あれ、いっぱい出たのね。じゃあアキラ君はちょっと休憩」  ふらふらと後ろに下がったアキラは、ベッドに倒れこんだ。アキラの精液が浴びせられたことには特に頓着せず、ヨシツグの生意気に成長した淫欲の塊を責め続けた。 「んぐーっ、ん、むんっぐ、っむ、んっむーっ、ん」  自虐的に、その大きな塊を口奥まで押し込み、雫を漏らす鈴口まで、ディープスロートを繰り返す。 「ああ、んあああああっ、んー、んんー、んああああ、ああっ!」  自慰へ対する探求は三人のなかで随一なヨシツグは、自分の唾液を垂らして、ヌルヌルとした感触を楽しむことがあった。  しかし、竿の部分全体をつつむ温度、ねっとりとした舌の絡みつき、そしてなによりも、年上の女性が自分の性器をほおばっているという事実。これはそんな彼の苦心の自慰技術など問題にならなかった。  ぐっぷ、ぶぷ、つちゅっぷ、ぶっぷ、ぐちゅ、ぶっ、ぷっぷ、ちゅっく。 「ん、ん、ん、んーっ、むぐ、ん、んんんっ、んむっ」  口内の粘膜をすべて活用して、ヨシツグの陰茎をしごく動きは次第に速くなる。こぼれ落ちる唾液はヨシツグのつるつるの玉袋をつたい、あるものは床に滴り、あるものは鼠径部を経由して、太股を垂れた。 「あ、もう、もう、でちゃう、うっ、ううーっ!(ぶっびゅ、っびゅううぅうーっ!!)」  ヨシツグが放った精液は、涼子の喉奥を叩いた。涼子はむせ返りながら、まだ精液を噴きつづけているペニスを口から離した。 「けほっ……んっ、あ、すごい、まだ出てるんだ」  さきほどのアキラの射精も、若さを示すような勢いがあった。だがヨシツグのこれは、小便を漏らすかのように続けざまに放出を続けていた。しばし呆れるようにそれを見つめていた涼子だったが、片手では掬いきれそうにない白い水溜りとなって、やっとヨシツグの射精は終わった。 「すっごいね。いつもこんなに出てるの?」 「ボクも初めて……いつもはこの半分ぐらい」  それでも脅威の量ではある。この量をすべて膣内に注ぎ込まれることを思うと、涼子は心がはやった。 「最後はダイ君だったね。ダイくんもびゅっびゅって、しようか」 「ん、うん」  とはいえ、まだ皮をむくのも容易ではない。両手を使って、ゆっくり、ゆっくりと包皮の機嫌をとっていくしかない。 「痛かったら言ってね」  わずかにのぞいている包皮の開口部に、舌を尖らせてピンク色の部分に届かせる。尿口の周りをくるりとまわり、亀頭と包皮の間に水分を染みこませていく。 「はぁあっ、っふぁ、ふぅん」  チロチロとした刺激が、ダイの頭の中に小さな火花を散らせる。  濡らし、少し皮をひっぱり、露出する部分を少しずつ、少しずつ、増していく。やっと亀頭の三分の一ほどが顔を出した。 「かわいいね……テカテカして、生まれたてな感じ」  かぷ、と皮に覆われている部分も含めて、亀頭を飴のように口に含む。指では包皮を根元のほうに引っ張り続け、むけさせるべき部分は、唇で押し込むことにした。 「あーっ、すげ、ちんぽいいよ、きゅーってなる、あー、ああーっ!」 「もう……ちょっとだね」 「あ、あー、なんかあがってくる、なんか、くるぅ、あ、あ、あ!」 「ひっぱるね? がまんしてね」  亀頭の最も太い部分にまで、皮の端がたどりついたのを見て、涼子はそう声をかけるとともに、返答を待たず、力を強めて皮を根元に引き寄せた。 「ぅうーっ、あ、あああっ! ああーっ!(どるびゅるっ、びるるるっ! びゅるぶっ! びびぅっ!)」  涼子の口内に、ゲル状の精液が吐き出された。舌の上にたっぷりと乗せられた白濁の半固体は、ゼリーのようにぶるぶると固まっている。  飲み下しにくいそれを、何回か噛んでなんとか嚥下する。蛋白質の固まりは、涼子の喉を滑り降りて、やがて彼女の栄養となるのだろう。 「ん、んん。……さて、順番は決まったね」  涼子は三人の精液に汚れた衣服を脱ぎ捨て、一糸まとわぬ姿となってベッドに横たわった。少年たちにもすべて脱ぐように命じて、シーツの上に誘う。  すぐに行為には及ばず、子供どうしがじゃれあうように、抱きあったり、身体のあちこちをキスしあった。  ダイは涼子の胸を赤ん坊のようにしゃぶったし、アキラは涼子の髪の匂いを嗅ぐのが好きなようだった。ヨシツグはやたらと涼子の尻を撫で回していた。  そのたびに、三人の勃起した股間の硬いものが涼子の白い肌を弾く。こうやって戯れているだけでも涼子は大いに満たされたが、やはり身体の内では次なるステップへと進みたがっていた。  誰が言うともなく、さきほどの行為で最後まで射精を耐えたダイを残し、二人の少年が横に離れた。「一番最後までがんばった子」への「ごほうび」という涼子の言葉によるものだった。  戸惑うダイに、涼子は足を開き、これから二人が結合する部分を見せる。 「ここ、ね。ほら、触って……んっ、ぬるぬる、してるでしょ。ダイ君のおちんちんを入れる準備ができてるってことだから」  黒い茂りを横によけ、性器の形がよく見えるように陰唇を指で開く。ダイが想像していたよりも、それは複雑な形をしていた。少し肌より色の濃いひだひだになった部分があり、それは涼子の指で左右に開かれている。そこからのぞくピンク色の肉は水分をまとってつやつやと光っていて、おさまりきらない水分は雫となって尻の谷間へとつたっていた。 「じゃ、いくよ、俺から」  ダイがピンク色の亀頭を少しだけ露出させたペニスを手で構え、涼子に覆いかぶさった。 「ん、わかるかな……そう、そこだよ」 「うわ、すごいぬるぬるしてる……ぅあ、先っちょに当たるだけで気持ちいい」  筆がキャンバスをなぞるように、ペニスが涼子の淫蜜をその先につけて、縦に滑った。もう一度、目指す場所を確かめてダイは突撃の姿勢を構えなおした。 「そのまま、押し込んで」 「うん、ぁ、ぁぁあああっ」  つっぷぅぅっ。  傍らの少年たちにも聞こえる水音。侵入の成功を示す音だった。 「んっふ……ん、おめでとう。でも、ここからだからね」 「はぁあ、はぅう」  挿入しただけで、ダイは体中から力が抜けるような、痺れに似た感覚に襲われた。 「動けるかな。どう?」 「あ、ああっ、なんか、俺っ、あ、あああっ!(びぅぅぅっ! びっくっう、びびゅ!)」  いきのいい魚が跳ねるように、ダイは涼子の体の上でのけぞった。足をピンと張り、体全体をぷるぷると震わせている。 「ん、んっ……出ちゃってるね」  外からは見えないが、涼子は膣肉で、ダイのペニスが同じように上下に跳ね、精液の弾を撃ち出しているのを感じていた。  わけがわからないまま、どっと押し寄せる疲労感に、ふらふらと涼子から身体を離した。  涼子の愛液にまみれたダイの珍棒は本人と同様にぐったりとして、先端からじくじくとした汁を滲ませていた。 「次、ボクいきます」  おずおずと進み出たヨシツグが、交代して涼子への挿入を試みる。 「どうぞ。今度は私も楽しませてね」  涼子の手の導きを借りて、ヨシツグが身体を沈める。ダイよりも大きなこわばりは、難なく天然のローションであふれた涼子の膣中へと埋没していった。 「あ、すご、い。気持ちいいです」  ダイほどすぐに達しはしなかったが、初めての膣肉に包まれる感覚に、暴発を起こしてしまいそうだった。全体から伝わる熱、ぬるぬるとまとわりつく粘液と秘肉。性器同士の触れ合いだけでなく、太股や胸といった柔らかい女肉とのふれあい、涼子の汗のにおいといったものが、ヨシツグの射精感を高めていた。 「君は一人でしてたんだからわかるね? 腰を動かして……、ん。そう」  ぎごちないながらも、ヨシツグの陰茎が、涼子の膣内を往復し始めた。未発達ながら雁の部分が涼子の中をひっかかるようにえぐっていく。 「ふっぅあ、ああ、ちんちん、すっごい、ぬるぬるぅ」 「いいよ、あ……いい感じ、がんばって」  それから、一分はヨシツグは耐えた。ぐったりしていたダイも起き上がって、その様子を学ぼうとばかりに見つめている。和合した部分からは、白い濁り汁がその隙間から垂れこぼれて、シーツを汚した。  まだ性知識が三人のなかで一番とぼしいダイも、それがさっき自分が涼子の性器の中で放ったものだとわかった。  毛のまだ生えぬ陰嚢が揺れ、涼子の肉をぺしりと叩く。  ぐっちゅ、っぶっく、ぐぶちゅ。  結合部から漏れる水音、つるりとした玉袋がペチペチとたてる音、全速力で走るように喘ぐヨシツグの声。涼子がこぼす甘い声。 「ヨシ君、すごくがんばってる。おちんちんが涼子さんのところに出たり入ったりしてるよ」  自分で見えぬ部分を、ダイやアキラが解説してくれるが、ヨシツグの耳にはほとんど入っていなかった。目をつぶると、頭の中に明るく星のように光が点滅する。  ヨシツグは頭の中で計算をしてみたり、宿題のことを思い出したり、爪で自分の手を傷めてみたりしたが、それでも限界の瞬間は目の前にやってきていた。  なるべくその瞬間を先延ばしにしようと頭では思っていても、身体は強い刺激を求めて、腰の動きが早まる。 「も、もうだめ、ボクも、ダイちゃんみたいに、なかで、なかで」 「あ、いいよ、そのまま、ん、射精しちゃっていいよ」  あまりの動きに、ヨシツグの張りつめた男根が涼子の膣内から抜けた。急いでヨシツグは再び蜜壷の中へと差し入れようとするが、慌てているのでうまくいかない。 「あ、はいんない、あれ」 「焦らなくていいから、ほら」  涼子がヨシツグの、さまよえる股間の主を捕まえる。少し強めに握ってしまったのだろう。  膣内とはちがう、ぎゅっと握られる強さが心地よかった。ヨシツグはなんとか涼子の中に戻ろうとして、涼子の手の中で陰茎を前後させてしまう。 「うぁっ、も、もうだめええぇええ!」  どっぶびぅーっ!! っびびっびゅゆううううっ! っぶっぷ、びゅっっく!  射出、というよりは、放出だった。  ホースから出るように、そのほとばしりは太く、ぼとぼとっ、と涼子のあごのところまで、雫の筋を作った。 「あああっ、まだ出る、まだ出るうぅぅぅ!!」  涼子の手の上から、さらに自分の手を重ねて、上下に擦る。そのたびに、絞られるように、っぶぶゅうっ! びっびゆっうう! と一直線に雫を重ねていく。 「す、凄っ……」  まだ青い少年たちを手にかけてきたことは、両の手の指では足りない涼子だったが、若いにしてもこれだけの量を出すのを見たのは初めてだった。全部集めると、小さなコップにはいっぱいになりそうなほどだった。  ようやく射精がおさまると、謝りながらヨシツグはティッシュで涼子の身体をぬぐった。ダイたちもそれを手伝ったが、それでゴミ箱がだいぶ埋まってしまった。 「アキラ君は、ちょっと変えよう」  涼子は起き上がって、アキラにあお向けで横になるよう命じた。  アキラのペニスは、男性器のまがまがしさを全て拭い去ったように、可愛らしい小動物のようにすっくと立っていた。勃起はしているものの、皮はその保護の役割を最大限発揮して亀頭をすっぽりと覆って、余った皮は先端にすぼまって野菜のヘタのように見えた。 「また、すぐかぶってきちゃうんだね」 「僕も……みんなみたいにむけてくる?」 「たぶんね。でも手でむいたらむけてくるんだから、問題はないよ。私はかぶってるの、好きだし」  その皮につつまれた肉棒をツクシ摘みでもするようにつまみ、涼子はその上にまたがった。 「僕は、どうしたら」 「何もしなくていい。下から突いてくれてもいいけど、慣れてきたらね」  涼子は、前触れもなく腰を落とす。  つぷぷっ、と一気に根元まで、肌色のツクシが涼子の陰部に呑み込まれた。 「ひゃんっ」  少女のような声をあげるアキラ。  初めての挿入に見せる表情は三者三様だ。過去に涼子と交わった少年たちも、誰として同じということはない。 「アキラ君は……んんっ、女の子みたいで、可愛いよ」  ゆっくりと腰をあげて、いったん涼子の中からアキラの屹立を抜く。涼子の愛液に浸されて、飴菓子のように部屋の照明を受けて、きらきらと輝くタワーになった。 「いやぁ……抜いちゃ」  アキラの小さなタワーの頂上は、涼子の淫泉から数センチ離れたところにある。そのままにしていると、アキラが焦れて腰を浮かせた。 「どうしてほしいのかな」  涼子が口角を上げる。アキラが女の子のような声で、欲望に任せて淫らな行為をせがむのを聞きたかった。 「おちんちん……いれたいの」 「どこに、も言わないと」 「涼子さんの、ぬるぬるしてる、とこ」 「じゃあ、大きな声で続けて。最後にお願いします、ってつけるのよ」  アキラは頬を赤らめて、こくり、とうなずく。 「涼子、さんの」 「大きな声で」 「りょ、涼子さんのぬるぬるしてるところに、僕のおちんちん入れたいです! お願いします!」  言って、手で顔を覆った。卑猥な言葉を叫ぶことで興奮したのか、アキラの肉棒は、ピクリ、ピクリ、と前後に揺れた。 「よくできました……っ」 「はゆうぅん!」  再び、涼子の腰は勢いよく落ち、アキラの小ぶりな刀は再び涼子の鞘へとおさまった。  今度はじらさず、涼子は腰をくねらせるように動かし、アキラのものを秘肉でこねくりまわした。 「うっぁっ、ん、んーっ、きもち、きもちぃい、いーい!」 「っ、っん……まだまだ、コースはいろいろあるんだからね」  次には、涼子は腰を上下に小刻みに跳ねるように動かした。キシキシキシとベッドのスプリングが鳴る。 「んん、んんぁん、んぁぁあ、いやぁ、やあぁあん」 「あ、ほんと、女の子みたいね、ん、んああっ、ちっちゃいおちんちんなのに、ん、いぃ」  傍らでは、ヨシツグと、やっと起き上がったダイが、結合部をのぞきこむようにしている。ヨシツグはまた元気満タンになった自分の肉棒を手で擦って慰めていた。それを横目で見て、ダイも真似をする。 「ダイちゃん、こうだよ」  自慰はしたことがないと言っていたダイのその手の動きは、じつにぎごちなかった。ヨシツグが見かねて、ダイの猛ったそこへと手を伸ばす。 「あ、ヨシ、うあ」 「ボクのも、ダイちゃんがしてくれる?」  二人は横に並んで、アキラと涼子の性交を凝視しつつ、お互い寂しく感じている幼い息子を慰めあった。二人とも、まだ涼子の愛液の湿りで、少し強めに動かしても、痛みは感じなかった。 「ヨシの、すごい、ああっ、熱い、ん……俺のより、太くていいな」 「そんなことないよ、ダイちゃんのもカチカチで、ん、ん……、かっこいい」  それを横目に見ながら、涼子は下で嬌声をあげるアキラを心地よさげに鑑賞した。自分の口から出てしまう黄色い声が恥ずかしいのか、目を閉じて顔を横に向けている。手はしっかりとシーツをつかんで、漏れてしまう声をこらえているようだった。 「もっといい声で鳴きなさいな」  近くで聞こうと、上体を前に倒す。尻だけをレゲエダンスのように器用にカクカクと動かして、性器の交わりを強めた。 「ひっぃいいぅ、いいい、いやぁ、おちんちんだめ、だめえぇ、ちんちんきちゃう、きちゃうのぉ!」 「ん、ん、ああっ、でちゃうのね? でちゃうの? お姉ちゃんの中に出しちゃうの?」 「うん、でるの、ぼくのちんちんからでちゃうの、あ、もうほんとに、で、でぅ」 「出るときに、イくって、大きな声でいいなさい、じゃないと、もうしてあげないから」 「いう、いいます、あ、いく、いっく、ぼくイっく! イく! ああん、イっちゃ、イっくぅぅぅううう!(どっっくん、どっぴゅゆう! びっく、っびっゆう!)」 「あ、俺も出る、ヨシの手でイくよ! あ、ああぅ、出るぅ!」  びっくん! っびゆう! っびびゅう!  アキラが、身体の中からすべてを放つように絶叫すると、その声に刺激されてか、ダイもヨシツグの手の中で果てた。  挿入から射精まで、三人の中ではアキラが一番長持ちだった。涼子もオーガズムにまで達しはしなかったが、アキラの悶える姿で気持ち的には十二分に満たされた。 「ん、ん……アキラ君、可愛かったよ」  やさしく、アキラの柔らかくて長い髪を撫でた。  三人がそれぞれ初体験を果たし、涼子は冷蔵庫にあったフリードリンクのお茶を飲みながら、次のプレイをどうするか考えていた。  せっかく好みの三人に恵まれたことだし、もっと濃度の高い交わりにしたかった。 「あの」  ヨシツグがおずおずと声をかける。 「ん、どうした?」 「本で、読んだんですけど。……お、お尻で、したいです。あ、ごめんなさい」  それがアブノーマルだという知識もあるのだろう。  涼子は興味を持っていた。ただ、アナルセックスは未経験だし、オナニーでその部分を慰めることもなく、まったくの未開の処女孔だった。  この子たちなら──と考える。いまだ手つかずの菊門を犯されるのも許せるし、ゆっくりと段階を踏むように指示すれば問題もないように思えた。無理に思えたら、そこで止めればいいのだ。 「じゃあ、私もあんまりしたことないけど……お尻で、しよっか。誰からにする?」  三人がいっせいに手をあげ、ジャンケンの結果、アキラに決まった。 「さっきまでしてたのに、ずるいや」 「またボクが、してあげるから、ね」 「あ、ああ……」  ダイは不満顔だったが、ヨシツグになだめられて我慢する。  不意打ちのように、ヨシツグはダイに唇を寄せた。小鳥がついばむような軽いキス。 「あ、嫌だった? ごめんね。なんか、ダイちゃんの顔見てたら」 「嫌じゃ……ねえよ」  ダイから、顔を近づけて、より長いキス。  ちゅっ、ちゅぅっ。ちゅばっ。  舌を吸い、唾液の交換がたてる音。  少年同士の異常な仲の良さに、涼子は内心ホクホクしつつも、アキラにこれからの行為のために、秘めたる窄まりを向けた。 「じゃあ……口で可愛がってくれるかな」 「はい」  アキラの眼前にさらされる涼子の尻穴。尻の谷間に咲いたそれは野の花のようにつつましやかで、本来のその機能を忘れそうだった。  不浄の穴であるはずだが、アキラにはそこに口をつけることが、まったく抵抗なく行えた。  口をまるく同じ形にして、慈しむように口づける。力が入ったのか、穴全体がすぼまった。 「あんっ、変な感じ」 「舐めてもいいですか」 「うん……ぺろぺろってして」  舌に唾液をいっぱいにまとわせて、敏感な花弁に塗りつけていく。 「涼子さんの……涼子さんのお尻の穴、舐めてる……お尻の穴」 「あ、ふぅう。あ、あああ。なんか、なんか変なの、変なきもち、ぞくぞくする」  ひとしきり舐め終わって、尻の谷間を秘処に向かって唾液が垂れていくまでになった。アキラは、舌を尖らせて、ツン、ツンと突く。そのたび、警戒するように肉色の菊門は、収縮して侵入を拒む。  それに逆らって、アキラはさらに舌に力をこめて硬くする。放射線状になった穴の中心めがけて、その奥をめざしてほじくるような動きをさせる。よりピンク色の肉壁がわずかに見え、それがアキラの情欲を煽りたてた。 「涼子さん、お尻のぉ、奥まで、んふぁ、舐めたいの……」  尻肉を両に開き、鮮烈なピンクの内壁の部分をよりむき出す。そこを狙って、欠食児童のようにその部分へむさぼりついた。 「あ、いゃあぁ、おしり、めくっちゃいやぁ、あっ、ふぅぅやあ、ん! んぅぅーっ、あ、ちょっと待って、ちょっと」  涼子は引きずられそうな思いを振り切って、アキラを制止した。  唾液でもいいが、よりスムーズにこれからの行為を続けるにはローションのほうがいいだろう。そう考え、アキラにローションを買うように指示した。 「その冷蔵庫の横、開けると自動販売機あるから」  アキラは涼子に言われるままに、床に落ちた自分のズボンから財布を取り出した。  その小さな自動販売機の番号ボタンを押し、表示された金額の紙幣をスロットに差し入れた。  コパ、という軽い音とともに扉は開き、アキラは中の透明の容器を取り出した。 「おつりはセロハンテープかなんかで止めてあると思う」  アキラが容器の底を見ると、硬貨が貼りつけてあった。こういうことで、おつりを計算しないで済む、簡易な仕組みになっているのだろう。アキラは単純に感心した。 「さ、それ使って」  ピンク色のけばけばしい蓋を開けると、アキラは容器を傾けた。とろりと透明な液が粘っこく、アキラのちいさな手のひらにたまっていった。  アキラの舌によっていくらかは湿度をもった涼子の菊門は、これから侵入物を受け入れるとも思われず、きゅっとすぼまっていた。そこにアキラは手のひらのローションを塗りつける。 「ひぃうっ……冷た……ふぅぅあ」  冷えているわけではないが、体温より低い液体が触れたことで、涼子は尻肉全体に力が入り、肛門もそれに従ってすぼまった。しかし、ぬるぬるとした液体がアキラの指によって塗りつけられることで、むずむずとする感覚が広がっていく。 「涼子さんのお尻の穴……ひくひく動いてる」 「うん、こんなに小さいのに……入るのかなあ」  ダイとヨシツグは、アキラの両側に座って、見学するように涼子の淫靡にすぼまった穴を見つめていた。 「指……入れてみて。ゆっくり」 「はい、人差し指でいいですか」  うん、と答えた涼子は、顔をシーツに伏せて、いまだ知らぬ侵入に備えた。  注入式の浣腸も、自分の指も入れたことのない、まったくの処女孔だった。知識として、そこが膣とは違う快感をもたらしてくれるのは知っているが、それがどういうものか、まったく想像もできないでいた。  つぅっぷ。 「ひぃぃいいっつ……ん」 「あ、痛かったですか!?」  涼子も、アキラも予想外だったことだが、すんなりとアキラの人差し指は涼子の尻穴に入っていった。 「……いや、痛くない……ごめん、ちょっと、そのままで……」  言われるとおり、アキラは指を第一関節まで入れたままで止める。呼吸をするように、肛門がきゅう、きゅうっと軽く締まった。  涼子はそのたびに、本来閉じている部分に異物があることで、むずむずするような感覚がじんわりと溜まっていく。 「──もうちょっと、奥に」  アキラの指はさらに進み、第二関節の部分まで入った。 「だいじょうぶ、ですか」  涼子の荒くなった息を聞いて、明が心配げに声をかける。しかしその咽びは、苦痛ではなく未体験の愉悦に揺さぶられているがためだった。 「少し……ちょっとだけ、指を中で動かして」  アキラの指は、先ほどより強い力で締めつけられていた。きゅっ、ぎゅ、ぎゅっと、そのテンポも速い。第二関節の部分はそうやって固定されているので、先の部分だけをくいくいと動かした。 「こんな、感じ? 痛くない?」 「くぅーっつ、んはあぁっ、はっぁあ、んふっぅぅうあ」  膣にされるのとは違う、じりじりと焦げるような猥感。素直に受け入れようと、なるべく力を入れないようにしていたが、ついに耐えられなくなり、尻の括約筋に力が入った。 「──ん、んーっ!」  本来の機能のように、力が加えられた筋肉は、異物であるところのアキラの指を排出した。抜ける瞬間、とろけるような刺激がそこに残る。  過呼吸ぎみに、熱い息を不規則に吐く。まっくらな闇に飛び込んでいくような戸惑い、そしてその向こうには新しい世界が待っていそうな胸の高鳴り。恐れと、貪欲がせめぎあう。  まもなく、その勝負はついた。 「さ、おいで」  涼子は豊かな尻肉を両手で広げ、唇と同じ色のアヌスはわずかに横長になった。  尻肉の谷間はローションがまんべんなく塗りつけられ、重力に従って下へと流れ、その流れ着く先は涼子の陰毛からしたたっていた。 「は、はいっ」  アキラは涼子の腰に手を沿え、膝立ちになった足をずらして、うまく亀頭を涼子のすぼまりの前に持ってくることができた。  涼子も再び処女を奪われるような一種の恐怖を感じているが、奪う側もそう気楽ではいられなかった。指でもあれだけ苦悶の表情を浮かべたのだ。まだアキラの未発達なものとはいえ、猛り勃った男根は、太く、女を犯す武器として尖っていた。 「いれ、ますね……」  菊門に、男の武器の先端が接する。食虫植物のように、きゅうっとすぼまり、明らかに肉体は侵入者を拒絶していた。  アキラはしばし、菊門がもとの大きさに戻るのを待つ。それを見計らって、押し込むように腰を進めた。ちょうどアキラの包皮がめくれている、ほんの先端のところまでは、ローションの助けもあってスムーズに進んだ。が、ここで抵抗を感じた。 「だいじょうぶ」  シーツに顔を押しつけたまま、涼子は声を発した。  思い切って、涼子の腰をつかんだ手に力をこめ、手前に引き込んだ。 「あ、あああぁ、うぁぁああう……あぐっぅ」  じわじわと、それでも確実に、アキラの亀頭は涼子の直腸をさかのぼっていった。  涼子の肛門が、自分の肉棒が押し込まれることで広がっていくのがわかる。  腸壁の感触というよりも、絶えず締め上げてくる圧力に、ペニス全体が絞られるかのようだった。 「うぁ、すご、すごいです、ぎゅうって……してきて」 「ん、んんぅ! ふぅう……んんっ」  なるべく力を抜こうとは思うが、直腸は本能的に異物を搬出しようとして、括約筋が収縮する。  アキラの肉棒がそのたびにぎゅうぎゅうと締めつけられるのはもちろんだが、同時に涼子の肛門も、挿入されているアキラのペニスによって内側から圧迫される。 「んーっ、はあっ、ぐっ、うっ、ううぅ」  アキラが突き込むのをやめると、自然にペニスは押し出される。それにまかせて後退し、抜けそうになる前にまた前進を行う。ゆっくりとだが、ペニスの前後動はそうやって行われ、次第にスムーズになっていった。 「ああっ、……んぐっ、んぐ、ん、んっむ……ああ、あ、ああああ」  堪える声も、甘さを増していく。  ぐーっちゅ、ぎゅっ……ぐぶっちゅ、ずちゅ。  ローションがたてる音が、リズムをもちはじめた。絶えず締めつけられるアキラの性器はじんじんとしびれるようで、涼子の性器ではない排泄のための門は、淫らな役割を新しく割り当てられ、その快感をむさぼっていた。 「りょ、涼子さん、お尻、お尻いい、気持ちいい、お尻の穴、きゅうきゅうするお尻、すご、ああ、すご、もっと、もっとするね、あ、あひっ、あああ」 「うん、私もいい、お尻なのにこんなにいい、肛門好きなの、肛門におちんちん入れられるの好きなの、あ、ああ、あめ、だめえ、あ、ああ、もっとして、お尻ぐちょぐちょして、お尻の穴、アキラくんのおちんちんで、いっぱい、ああっ、あ! いっぱい、いっぱいぃいい!」  この上ないと思われるほどの快楽の中で、もっと楽しんでいたいと思うアキラだったが、それには彼はあまりにも若く、経験は少なすぎた。  それは涼子にしても肛門での性交においては同じで、急な風にあおられるように二人は急速に絶頂へと上りつめた。 「あ、私イく、イっちゃう、お尻に入れられてイっちゃう、いや、いやぁぁあっ! お尻イく、アナルでイく、いや、いや、もっと、もっと、あっ!」 「あ、あ、もうだめです! だめ! でちゃう!」  ぎりり、と音をたてそうなほど、涼子の尻穴を収縮させる筋肉に力が入った。  急速に押し出されそうになるアキラの亀頭は、そのついでとばかりに未発達の雁首で肛門を内側からえぐっていった。 「あ、あっ、ああっ! いっく、うぎぃ、いっくぅううううう!!」 「あ、くぁああああっ!!!」  じゅっっうっ、ぷっ! ぶっぴゅ、どっぷ、びゅびぶっ。  アキラのペニスがすべて涼子の尻穴から排出され、亀頭が外に出きったと同時に、アキラは精を放った。  二度と挿入させまいときつくすぼまった菊花の門に、勢いよく白い粘液が打ちつける。アキラの屹立したものは、やっとの解放に悦びを表現するようにビクンビクンと力強く上下に震えながら、射精を続ける。幾度と打ち出された精液は、いくつもの固まりとなって涼子の乳白の尻に溜りをつくった。 「俺もやる!」  そのアキラの精液がまだ降り注いでいるなか、呆然とするアキラを押しのけるようにして、涼子の尻へとダイは覆いかぶさった。 「え、もう!?」  先刻まで、アキラが涼子の尻を犯しているのを見て、おぼえたての自慰でつたなく自身のペニスをしごいて我慢していたが、辛抱は限界に達していた。  涼子に背中からしがみつくようにして、高まりきった肉棒を涼子の肛門へとねじりこんだ。 「うぁあ、ああああっつ!!!(ぶびゆぶぶっ! っぶっ!)」 「あああっひうぁ、あ、ふうっぅは……お尻で、出てる……もうダイくん……乱暴なんだから……」  一気に亀頭をすべて涼子の腸内に押し込むと、そこでの初めての締まりにダイはたちまち絶頂に達し、涼子の腸奥へと白濁液を吐き出していた。  だが、ダイ自身はそれでは満足できないようで、涼子から離れることはなく、射精で身体を震わせながらも、腰を次第に動かしていた。 「あああ、すごっ、涼子姉ちゃんのお尻すごっ、すごいギュッギュするんだ、すごいよぅ、うあああ、ふぁぁああ」 「あっ、ダイくん、くっぅふうぁ、お尻へん……ぐいぐいって動いてる……お尻なのに気持ちいい……」  ゆっくりとではあったが、ダイの硬棒は肉圧に負けず、涼子の直腸を心地よくえぐりながら前後動を続けていた。  ダイが吐き出した精液が、その前後動でペニスにまとわりつく形となり、それがよいローション代わりとなっている。それが彼の動きを助けてもいた。 「ずるいよ、僕も涼子さんとしたい」  そう言って、涼子の腹の下にもぐりこんできたのはヨシツグだった。涼子はそれを見て、手を伸ばしてヨシツグの入るスペースをつくってやる。ダイに貫かれたままだったので体勢は動かしにくかったが、なんとかヨシツグをまたぐ形にして、勢いよく上を向いたヨシツグの太めの肉棒を自分の蜜壷へいざなった。 「……ん、ヨシくんは、下から突いて。ダイくん、ちょっと腰を落とすからね」  涼子は尻の位置を下げ、ローションと精液で滴った陰毛にかげった性器でヨシツグの猛ったものを受け止めた。ヨシツグの肉の塊が、すべるように涼子の肉壁へと呑み込まれていく。 「これえ、涼子さんのおまんこ、ぬるぬるすきぃ」 「んくぁ……二本いっぺんに、これいぃ、いぃよぅ……」  ダイはセミのように涼子にしがみついたまま、ペニスを尻穴と結合させてその動きに従った。  涼子が腰を動かさずとも、ヨシツグがひきつけを起こしたように下から突き上げ、ダイは単調ながらも動きを休めず、ついに二回目の射精をむかえていた。 「あ、またでる、またでちゃうぅ、ふぁあああっ!!(びゅっる、ぶっ、びびゅぶっ)」 「ん、んあ、またでたの、ダイくん? お尻、ほかの子に代わってあげない?」 「やだ、まだお尻する……ここ好き、涼子さんのお尻俺の」  二回目の射精を終わっても、ダイはそのまま速度を落とさずに前後動を続けていた。  その背後に、何かを手にしたアキラが近づいていた。 「あ、何ぃ?」  お尻に冷たさを感じて、振り返る。それでも腰の動きは止めていない。 「ダイくん、お尻きれい……ボク、ダイくんのにするぅ」  アキラは、先刻涼子に使ったローションをダイの尻穴に塗りつけていた。 「なに、だって俺、男だぞ」 「お尻は男の子にもあるでしょ? 僕、ダイくんのお尻に入れたいんだ」  ダイに有無をいわさず、ダイの菊門が潤ったのをみて、アキラはペニスを挿入した。 「あ、あああっ、アキラの、アキラの入ってくるよ、あっ、んあっ」  初めはやはり抵抗を感じたが、アキラのペニスに肛門にまぶされたローションが程よくからまると、動きはスムーズになっていった。 「ダイくんのお尻、おしりぃ、きもちいい、きもちぃ、おちんちん、ぎゅうぎゅうされてる、ダイくんのお尻の穴、すき、お尻で、いっぱい、僕のおちんちんいじめてぇ、ぎゅうぎゅうして」  身体の大きさの違いと、男女の差もあって、ダイは涼子のものより強く締めあげた。  ダイもいくらか苦しいはずなのだが、自分のペニスが涼子の尻穴でしごかれる快感で麻痺して、より快楽だけを増す形になった。 「涼子さん、涼子さん、あ、あああっ、おまんこが、僕のちんちんにからみついてくるの、いっぱい、いっぱいのお汁で、とけちゃうよ」  ヨシツグはがむしゃらに下から突き上げ、ダイも力いっぱいに背中にしがみついて腰の動きを激しくする。肛門で三人がつながった最後尾のアキラは、同性の少年の尻穴に没入している。涼子の代替ではなく、いとおしい友人と淫欲を交換できることを喜んでいるようだった。  ぶっちゅ、ちゅっぶ、ぶっ。っぷっつう、ちゅっぷ。ぐぐぶっ、っちゅっぷ。  三つの結合部分で、それぞれ違う音をたてる。涼子は前後で突かれながら、なお貪欲に淫感を取りこぼすまいと腰をなまめかしく動かした。 「涼子さん、僕、僕もう出る、もう出ちゃう、ちんちんから白いの出る」 「僕も、もう、もうだめ、もう根っこのとこまで来てる、もう出ちゃうよ。ダイくんのお尻に出るのぅ!」 「俺も出る、涼子さんのお尻の中にいっぱい出る、出るでるゥっ!!」 「いいよっ、イっていいよ、いっぱい発射して! おちんちんからいっぱい出して!」  三人が絶頂を予感し、宣言する。涼子も限界に近く、少年たちの熱い精液を膣と腸内で受け止めることで、押し上げられるように達してしまうだろうことは明らかだった。  わずかに早かったのは、ダイだった。涼子の肛門が収縮し、ちょうど腰を引く動きになったところで、雁首が削られるほど強く擦られた。びくぅ! という大きな震えが、身体は繋がった全員に伝播した。 「うぅぅぅうっー! でるぅうううぅぅぅぅ!!(びゅびゅびゅるっ!)」 「あぁっ! でちゃう!!!(びゅっ! びゅっ! びゅびゅびゅびゅ!!!)」 「うっ!(びゅく!) 出てる! でてるぅ!(びゅぶぶぶう!)」 「ああああっ! 精子いっぱい! せーえきいっぱいきてるぅ! おちんちんでいっぱい出てるぅ! おまんこと、おしりで、いっぱい、あ、あついぃひ、あ、イっく、イっくぅう、イっちゃうぅぅうううう!!!」  四人は倒れこむようにシーツに沈み、少年たちはまだ、びくり、びくりと硬さをゆるめつつあるペニスから白濁液を吐き出していた。  それだけでは終わらず、結局涼子たちはこの部屋で三時間の延長をし、外はすっかり暗くなっていた。汗を流そうと風呂に入り、そこでも身体を交わらせ、戻ってきてベッドで休んでいるうちにまた身体を交えて、という有様だった。  二回目の風呂をあがって、さすがにもうする元気もなく、飲み物を口にしたダイが言った。 「いっぱい、教えてもらっちゃったね」 「最後に、教えてあげることがあるから」  涼子は、親指と人差し指で円をつくった。 「──清算機の使い方をね」  第四章 中秋、秋色日毎に深まるころ  風はいつしか冷たくなり、服装は冬服になり、道の端には落ち葉が目立つようになった。  秋は学園祭の季節でもある。  桜大路でも他の学校と変わることなく、模擬店を開いたり、研究を発表したり、大きな製作物をつくったりする。  基本的にはクラスごとの活動になるのだが、部活ごとや、仲のいいものどうしでの活動も許された。  たとえば、「縁」を結んだ上級生・下級生のグループに入ってもよく、何かしらひとつの活動に参加していれば良しとされた。  園美と葵は、クラスの模擬店に参加することにした。焼きそばの模擬店で、葵は仕入れ、園美は売り子の担当になった。  ソース系の食べ物がほかに出店がなかったせいか、焼きそば屋は好評だった。売れ残ったそばが鉄板の上でカチカチになるのは客から見ているだけでも惨めなものだが、焼けば焼くだけその場から売れていった。  家業の定食屋を手伝っているという生徒が、必死の形相で賽の河原のように延々と具材を炒め続けている。手伝ってもらえればよさそうなものだが、そこは彼女の料理人のプライドが許さないらしい。具材を刻むほかは、味付けまでぜんぶやっている。  もっとも、忙しいのは彼女だけではない。  園美は今日いちにちの短時間で無駄に接客業の経験を積んでいたし、葵は二度目の買出しに出かけるところだった。 「葵ちゃん、キャベツもうひと箱、あとソース!」 「わかった、何本?」 「あー、もう最初から用意してた五本がもうなくなりそうだから……そんぐらい」 「ん、適当に買ってくる」  葵は財布を片手に、駆け出した。  校門近くで、見覚えのある顔を見かけた。  小中学校と同じだった、男子生徒。名を松本浩太という。  小さいころは一緒に遊ぶことも多く、中学生になってもよく話をしたりする仲だった。  それからは学校が分かれたこともあり、ほとんど没交渉だった。街で出会ったこともなく、手紙や電話でやりとりをしたこともなかった。  声をかけようかとも思ったが、買出しを急がねばならず、悔いに思いつつも葵は足を止めなかった。 「いらっしゃいませ! 焼きそばはいかがですか!」  制服の上にエプロンを身につけた園美は、片手に盆を持ち、そこに何皿か焼きそばを持って客をさばいている。店の前だけで応対していると混み合うので、とっさにとった策だった。  離れたところで、わたがし屋の屋台に隠れてそれを見ている三人がいる。  紅蓮、白蓮、文代の三人だった。 「ああ、あんなに声をあげて……園美の唾液が混ざっているかも」  そう思うだけで、ショーツの奥を濡らす小夜であった。 「やめてよ。勝手にト書きまで使って捏造するのは」 「でも食べたいんでしょう。園美ちゃんの唾液の入った焼きそばを」 「変な言い方をしないで頂戴」 「じゃあ買ってくればいいじゃない。あなたの唾液入りの焼きそばをひとつ、って」 「しつこいわねえ。それができるようなら隠れてないわよ」  そんな言い争いをしているなか、文代がつかつかと物言わず園美のほうへ歩を進ませた。  少々のやり取りの後、焼きそばを一つ持って帰ってくる。 「さっきまで食べたかったので買ってきたのですが、急に食欲がなくなりました。もったいないので紅蓮様、召し上がっていただけますか」 「あ、……ありがとう」  小夜は宝物でも捧げ持つように受け取ると、青ノリも気にせずその場で豪快に食べ始めた。 「そういや文代、何か話してたみたいだけど」 「はい、お二人とも気にされていたようなので、園美さんの唾液は入っていますかと尋ねました」  ぶっ。 「ああ、きちゃないきちゃない」 「無論、嘘です」  生徒会の三人がそんなことをやっている横を、葵が段ボール箱をかかえて走ってくる。 「キャベツひと箱! ソース十本!」  店の裏に回って勢いよく箱を置くと、ノートパソコンに向かっている涼子にくしゃくしゃになったレシートを差し出した。  汗だくの葵とは対照的に、涼子はかき氷を食べて和んでいる。傍らの金庫から滑らかにお金を取り出し、葵に手渡した。 「おつかれ」 「まったくね」  ノートパソコンにレシートの内容をパチパチと打ち込むと、涼子はまたかき氷をちびちびやり始める。屋台の中でここだけが異空間だった。 「適材適所なのよ」  何か言いたそうな葵に、そう説明した。確かに売り子には向かないだろうし、箱いっぱいのキャベツを運ぶのも想像がつかなかった。 「まあいいわ、私ちょっと出てくる。聞かれたらそう言っといて」 「へい、いってら」  雑踏の中に混じりこむ葵を、涼子はひらひらと手だけ動かして送った。  ノートパソコンの画面を切り替えてゲームをしているところに、聞きなれた声が届いた。 「涼子お姉ちゃんいますか」 「おう」  見なくても誰かわかる。例の三人だ。招待状を他に渡す相手もなく、ゲームセンターで彼らがせびってきたのでその場で渡していた。  彼らは涼子を見つけると、裏に回ってきた。 「焼そば屋さんなんだ。おごってよ」 「嫌。公私混同できません」 「けち」 「アキラ君に出してもらいなさいな。うなるほどあるんだから。それより、後で待ってなさい。遊んであげるから」 「ほんと?」 「ん。三時ごろには品切れ閉店っぽいし、それぐらいに」 「わかった!」  うきうきと喜色を隠さずに、三人は去っていった。  ついでに、焼きそばを買っていったようではある。応対した園美が、客の切れ目を見てやってきた。 「どの子かが、弟さん?」 「んや、全員彼氏」 「へ?」  間違ったことは言っていないのだが、それだけに余計に園美は混乱した。リンゴジュースと酢を間違えて飲んだような顔をしている。 「ああ、桃谷さんがちょっと出てくるって言ってた」 「あ、了解です。ずっと忙しかったからね」  その葵は、先ほど見かけた旧友の姿を探していた。  さっき見たのは校門近くだったので、いろいろ見て回っているところだろうか。  校内に入って、教室をのぞいて回る。一年生が研究発表、二年生のなかでも喫茶店など屋内の模擬店。文科系の部活も、囲碁将棋部がただ盤を並べていたり、化学部が実験を公開していたりと様々だった。  文芸部のやる気のない模造紙での発表を少しのぞき込んだだけで戻ってきた葵に、誰かが声をかけてきた。 「誰かお探しですか?」   「お探しですかじゃないわよ」 「いや、僕も探してたんだ。さっき見かけたときは忙しそうだったし。今はいいの?」  葵と浩太の二人は、渡り廊下を並んで歩いていた。 「ちょっと間があいたからね」  わざわざ探しに抜けてきたとは言えない。  二人は幼なじみで、小中学校とも同じだった。仲はよかったが、だからといって友人以上に進展することもなかった。二人でいることも多かったが、周囲からも公認の友人関係だった。  二人としては、友人よりも感覚は家族に近い。実際のところ家族どうしのつきあいも多かったし、年は同じだが浩太のことを兄のようにも感じていた。 「元気そう。よかった」 「なんか、松本、少し変わった」  葵にはそう思えた。背は高くなったし、雰囲気が落ち着いている。 「そう? 桃谷はあんまり変わってないかな」 「女の子相手にそれはないかも」 「ああ、間違ったか」  にこにこと笑う。この笑顔は何一つ変わりない。葵が安心できる笑顔だった。 「──でも、僕の頭の中の桃谷がそのまんまだったから。ほんとは安心してるんだ」 「口もうまくなったみたい。そういえば、誰かときたの?」 「ううん。ひょっとしたら桃谷に会えるかなと思って。だから良かったよ」 「どうなんだか」  チケットは姉から貰ったのだという。その姉は葵も知っている。桜大路の卒業生だったはずだ。  二人は、昔の話や最近のことを話しながら、出し物を見てまわった。  お化け屋敷、音楽部の演奏、体育館にまわって演劇など。  昼を少し過ぎたので何か食べようということになり、どうせならと葵のクラスの焼きそば屋に向かった。  浩太を連れているのは、なんとなく誇らしげな気持ちだった。 「あら、お連れ様?」  まだ続けて売り子をしている園美が、浩太を見つけて声を弾ませた。 「昔の友達よ。松本君。二皿お願い」  園美に札を手渡した。浩太が自分の分を出そうとしたが、それをやんわりと断った。 「はーい、二皿ご注文いただきましたー!」 『よーろこんでー!』  店から元気のいいコダマが返る。誰かがふざけて始めた唱和が、すでに癖になっていた。ひたすら焼き続けている定食屋の娘も、ゲーム中の涼子まで、口を揃えていた。  しばらくして、園美が焼きそばを持って戻ってくる。葵と浩太にそれぞれ手渡すと、葵の手のひらに札を乗せた。 「おつりです」  葵は眉根を寄せる。 「おつりじゃないでしょ。千円から三百円を二かけたの引いたらいくらになる? 小学生からやりなおすか、君」 「会計係さんがいらないって」  園美が指差す先は、ノートパソコンに向かって、手だけこちらに向かってひらひらさせている涼子だった。  その仕草は「気にするな」のようにも「あっちいけ」のようにも見えた。 「あの娘に借り作ると、何で返せばいいのか正直わかんないのよね。ま、いいか。あんがとって言っといて」  二人はそこから離れて、校庭に下りる階段に腰かけて食べ始めた。 「大変そうだな」 「みんな素人だかんね。シェフはおうちが定食屋ですって。でも、みんなもなんか板についてきたよ。今日で終わるの勿体ない」  二人そろって、一口入れた。 「シェフはちゃんとお店を継げそうだね」 「うん。私も初めて食べたけど、これなら走り回った甲斐もある」 「あ、ちょっとトイレ」 「タイミング悪い男ね。はい、持っててあげる」 「どもども」  そそくさと浩太は人ごみの中に入っていった。当然ながらトイレは校舎にあり、見当外れの方向になる。葵は不安になったが、すぐに浩太は何かを手にして戻ってきた。 「セットメニューでどうぞ」  模擬店で買ってきたのだろう。浩太が手にしていたのはお茶のペットボトルが二本、プラスチックのトレイに乗っているのはスライスされたパイナップルだった。 「あれあれ、あんがと。いくら?」 「いいって。はい俺の焼きそば返して。食べよ食べよ」  今日はよくおごられる日だ、葵はそんなふうに思った。 「昔から、そういうとこマメだよね。もてるでしょ」 「通ってるの男子校なんだよ。そういうのは一切なし。購買とか事務員のおばちゃんには愛想よくされるけど」  それはわかる。浩太は中身もそうだが、見た目から朗らかで温和そうなので、年上に限らず人好きのするキャラクターだった。  中学生のとき、やたらと道を聞かれると言っていたのを思い出した。逆に、知り合いでもない人にも、ちょっとしたきっかけで話しかけるのを葵もよく見ていた。  手にした地図をのぞきこんでいる人、犬を散歩している人、釣りをしている人、そんな人たちに怖気もなく、好々爺のように話しかける。 「こっちも女子高だからね」 「でも、桜大路だと……なんていうか忘れた。女の子どうしで」  浩太は『縁』のことを言っているのだろう。この桜大路独特の風習は校外にもよく知られている。 「こないだ、断られた」 「あれれ。でも理由があったんでしょ」 「言ったわけじゃないんだけどね。他に好きな人がいるんだ、きっと。本人もわかってないみたいだけどね……。って、なんでわかるのよ」 「俺だったら、断らないと思って」 「げへっ、けほ」  さらりとこういうことを言ってしまう男だった。  食べながら、いろんな話をした。いまの学校のこと、昔の懐かしい話、たわいないこと。特に盛り上がったり、大笑いすることもないが、飽きることなく話は続いた。  デザートのパイナップルまで食べ終わると、浩太はプラスチックのトレイを葵の分も重ねて捨てに行った。 「まだ、桃谷はバレーボールやってるの?」 「細々と。中学のころは県大会とか目指して必死だったけど、いまはもう趣味だね。でも好きだから」 「好きなことがあるのはいいことだよ」 「あ、部室見て行かない? 滅多にない機会だよ」 「いいの? 勝手に入って」 「私がいいんだから大丈夫」  部室のほうには、人通りはなかった。遠く学園祭の喧騒が聞こえるが、それ以外はひっそりとしたものだ。  部室の鍵を開け、浩太を招じ入れる。  部員でない者とふたり、この部室に入るというシチュエーションに、どうしても園美との一件を思い出してしまう。  あのときは、葵から誘った。邪な思いとともに。  なぜ、部室に誘ってみたのだろう? 園美にしたのと同じような下心が言わせたのだろうか? そんなはずはない、と葵は首を振る。  浩太は親しい友人であって、それ以上ではない。中学生のときもずっといっしょだったが、恋愛には発展しなかったではないか。 「意外と、いろいろあるね。なんか生活感ある」  葵が自問している間にも、浩太は興味深くきょろきょろとしている。ボール籠からボールを取り出して、レシーブのまねなどをしていた。  胸がとくとくと、速く打った。  変に意識しているのは自分だけなのだろうか。自分の股間に違和感を感じて、浩太が向こうを向いている間に手をやる。  下着の中に手を入れる必要もなく、身体はすでに反応していることが判った。 「立ってるのもなんだから、座りなさいよ」  へたりこむように先にマットの上に座り、マットをぽんぽんと叩いて促した。 「ん。いや、なんかテンションあがっちゃって」  ボールを籠に投げ込み、隣に浩太が腰を下ろした。少し手を伸ばせば相手の手に届く、そんな距離だった。 「あ、あのさ。なんか思い出すよね。秘密基地。工事でつぶされちゃった」  葵は何か話をつなごうとして、部室の雰囲気から思い出したことを口にした。 「あれね。見事に木っ端微塵になった奴」  浩太もすぐに思い出した。記憶を確認するように、何度かうなずく。  葵は、小学生のころは女子よりも男子と遊ぶことが多かった。たまたま近所に同学年の女子がいなかったのもあって、学校でも男子にまじってボール遊びをしていたし、放課後も男子と一緒に山の中を歩き回って、服にくっつき虫をたくさんつけて帰ったりした。  三年生のころ、メンバーが集まらず、浩太と二人で町内を探検していた。雑草で覆われた空き地があり、背の高くなったススキをかきわけて奥に進むと、プレハブの小屋があった。  鍵もかかっておらず、簡単に中に入れた。中は鉄パイプが何本か隅に置いてあったりする他は何もなかった。当時の葵たちには推測もつかなかったが、資材置き場に使われたのかもしれない。何にせよ、何年か人の入った形跡はなかった。  これはよい隠れ家だった。何があるわけでもないが、大人が知らない場所を持つというのは心を躍らせた。  二人は他の友人にはこの場所のことは話さなかった。知る人間が多いほど、価値が薄まるような気がした。  時には、お菓子を持ってきて二人で食べ、また時には、トランプやゲームを持ち寄った。普段の遊びとは変わらないことでも、この隠れ家ですることで、楽しみが増幅された。 「こんなの拾ってきた」  葵がふんぞり返るように胸を張って差し出したのは、一冊の雑誌だった。ビキニ姿の女性が表紙だった。いわゆるエロ本だが、コンビニもまだそんなに多くなかったころ、そういった雑誌を子供が見かけることは少なかった。本屋でも隅のほうにひっそりと置かれているか、もしくは怪しい自動販売機で売られていた。 「どこにあったの?」  葵は下校途中に通りかかったマンションのゴミ捨て場から拾ったという。縛っていた雑誌の束のヒモが外れていたので、漫画でもないかと漁っていたら、もっと興味深いものがあったとのこと。 「束の中のほうだから、雨にも濡れてないよ」  葵の言うとおり、本屋で買ってきたばかりのように綺麗だった。 「……読んだ?」 「まだ」  二人は横に並んで、雑誌を床においてページをめくりはじめた。  始めのほうは、二人もテレビで見たことのあるアイドルのグラビアページだった。ぺらぺらと先を急ぐようにページを進める。  その次はセミヌード。二人はページをめくる手を止めなかった。  さらに数ページ進むと、男女が絡み合う写真が現れた。ストーリー仕立てで、女子社員が上司と誰もいなくなった職場で、というものだった。  ただの裸体ではなく、彼ら二人の知らない「行為」を、幼い瞳に焼き付かせる。 「これが……せっくす? だよね」 「うん。虫とかの交尾みたいなやつ」  裏本ではなく、しかるべき場所には肌色のボカシが入っている。 「どう、してるんだろ」 「うーん……擦りつけたりするんじゃないかな」  挿入するところまでは、当然ながら考えが及ばない。 「どんなのか、見せてみてよ」  言い出したのは葵だった。 「やだよ、恥ずかしいよ」  当然ながら浩太も嫌がりはした。  だが熱心に葵が頼むもので、二人だけしか知らない場所という安心感もあって、浩太はパンツといっしょに半ズボンを下ろした。  まだ幼く、皮を完全にかぶっている。性器の本領はまだ隠されており、浩太本人の認識としても、「おしっこの出るところ」でしかない。 「……こんなのがぶらさがってるんだ。邪魔じゃない?」 「ずっとあるからね。そんな風に思ったことはないよ」  もの珍しそうに葵はいろんな角度から見ていたが、それだけでは満足しないようだった。 「触っていいでしょ」 「あ、だめだよ、だめだめ」  葵の手から逃れようとするが、ずり下げた半ズボンとパンツが足かせとなって尻もちをついてしまう。葵は好機とばかりに足の上にまたがり、虫を扱うように浩太の股間についているものをつまんだ。 「なんか、ぐにゃぐにゃしてる」 「だめって、いってるのに」  葵は最初おっかなびっくりで、親指と人差し指でつまんでいるだけだったが、だんだんと大胆に両手でいじりはじめた。 「なんか、固くなってきてる」 「たまに……そうなる」 「ふうん。なんで?」 「僕もわかんないよ」  経験としては、固くなるときがどういうときかは知っていた。けれど葵にそれを言うことは、はばかられた。葵のスカートがめくれて、パンツが見えたときもそうだったからだ。 「棒みたいになってきた。……どんな感じ?」 「むずむず、する」 「気持ち、よくない?」 「ちょっとだけ」 「こう……棒のところを縦にこすってみるね」  ただ固くなるだけでなく、浩太の棒状の部分はピンと上を向いていた。もちろん葵には知識はないわけだが、なにか会得するものがあった。  葵の推理では、男性と女性がセックスをすることイコール、秘部を擦り合わせることだと考えていた。そのために男性器のほうは固くなって、女性器をより強く擦りつけることができるようにするのだろう。  となれば、雑誌の写真のように擦りつけ合いをするのなら、この棒はしごくように縦に擦ればいい、という結論だった。 「あ、なんか、気持ちいい。じんじん、って、する。……ねえ、葵ちゃんのも触らせてよ」 「ん、うん」  葵は、浩太の足をまたいだまま、スカートをたくしあげて、パンツを下ろした。  ふっくりとした肉のふくらみの中心に一本の縦筋が走っている。 「なにも、ついてないんだね」  葵にしてみれば何かぶらさがっているのが疑問だが、浩太にしてみれば当然、何もないのが疑問だった。おしっこはどこから出るのだろうと不思議に思いながら、その部分を下から覆うように手のひらを添えた。 「ふぁっ……他の人に触られたの、はじめて」 「僕だってそうだよ。いろいろ触っていい?」  こくり、と葵はうなずいた。浩太のを触っているうちに、自分の股間もむずむずとするのを感じていた。だから、浩太がそう言ってくれたのは渡りに船だった。  浩太はやわらかいお菓子を扱うように、さわさわと前後にさすった。 「ん、んっ……、くっぅん」 「痛くない?」  いまだ聞いたことのないような葵の声に驚き、手を止める。 「うん。私も、気持ちいいよ。だから、もっと触りっこしよう」  単調な動きながら、二人はお互いの幼い性器を弄りあった。少しずつ、少しずつ、相手が気持ちよくなるような触り方や、強さを覚えていく。  浩太の股間の棒は、大きくなっているせいか、覆っている皮がピンと張っている。だからか、あまり強くするとそれが引っ張られて痛いらしい。  葵は痛くない程度に、アスパラガスのように見える先のほうの、穂先のくびれのところを握って、上下に手を動かした。その動作が気持ちいいことは、ぴくん、ぴくんと葵の手の中で細かく跳ねていることからもわかった。  いっぽう、浩太のほうも葵の体の変化に気がついていた。鼻にかかった声が多くなり、はあ、はあという荒い息が浩太にまで届く。そして浩太が弄っている葵の割れ目の部分は、少し粘り気のある液体で湿ってきていた。その正体はよくわからないが、ものを食べていると唾が出るように、ここが弄られると何か液が出てくるのだろうと推測した。葵を喜ばせている証拠だと思い、浩太は喜んだ。  っぷ、……ちゅぷっ、……ぷっちゅ  その液が微かな水音をたてる。割れ目の両側の肉の膨らみと、浩太の指の間で、密やかな音を奏でていた。  体が浮くような、目の前がくらくらするような、長くお風呂に入った後にのぼせるような感覚が葵を支配し始めていた。浩太が触っている部分から、甘い疼きが立ち上ってきている。 「こう、浩太、私、おかしくなってる、なんか変、あ、あっ……へんだよう。気持ちいいけど、へんなの」 「んっ、僕も、僕も、ちんちん、へん、あっついの、ちんちん、あっつい、ああ、ああっ」  二人は、まったく未知の体の変調に、とまどい、恐れを感じた。しかしそれを大きく上回って、びくり、びくりと身体に響いてくる快感をむさぼろうとしていた。 「あ、あああっ、浩太、あ、私、いや、いやぁああっ!」  大きくぶるぶるっ、と震えるのが浩太にも伝わった。顔を天井に向けてそう叫ぶと、くったりと横たわった浩太に身体をあずけてきた。葵の軽い体重が心地よくかかる。  浩太は愛おしくなって、葵を両手でがっしりと抱きしめた。  ちょうど、二人の股間は重なり合う位置になった。屹立した浩太の肉棒、その先端が、水気をもった葵の割れ目をなぞる。浩太は衝動的に腰を動かし、肉棒の先端を押しつけた。 「葵ちゃん、葵ちゃん、すきぃっ、っ、っん、んんんっ!」  びくん、びくん、びくくっ!  まだ幼い性器が絶頂に震える。精を放つことはなかった。しかし、そのときにやってくる性感は、わけ隔てなく少年の身体を走っていった。 「こんど、続きしようよ。今日は遅くなっちゃったし」  葵の言葉に、二人は顔を赤くしながら指切りをした。夕日のせいもあったが、その半分は初めての淫欲の貪りによるものだった。  しかし二人がその続きをすることはなかった。  次の日、二人が下校後に急いで隠れ家にやってくると、そこにはものものしい重機があり、ヘルメットをかぶった大人が作業を行っていた。  あまりにも突然ではあった。  二人はそれから、その小屋のことは口に出さなかった。  してはいけないことをしたから、そのバチがあたったのか、と考えた。二人でそのことを話題には出さず、それぞれの心の中にしまわれていた。  友達づきあいは表面的に変わりなく続いたが、お互いを「葵」、「浩太」、と下の名前で呼び合うことはなくなった。ただ単に年齢のせいもあったろうが、何か意識するものがあったのかもしれない。 「うん……あそこって、どうなったのかな。あれから行ったことなくて」 「僕も。近くは通るんだけど、無意識で避けてるんだろうな。子供のころだからあの空き地、大きく感じたけど、普通に家になってるんじゃないかな」 「そっか、そうだよね。工事してたんだし」  浩太と葵はそんな話をしていても、頭の中は最後の日にした行為のことが思い出されていた。幼い日に、性についてお互いの身体で試しあったこと。そして、夕日に照らされる中でした約束。 「……覚えてる?」 「う、うん」  何を指しているかは、言葉にせずとも判る。 「いまも、あの約束、生きてるかな」 「や、約束だもんね。約束は、守るよ。子供のころの、遊びの、続き」  子供のころ、遊びだった行為。その意味はもう二人は知っている。  ただ擦りつけるだけでないこと。  愛し合う行為。愛だけでなく、淫欲をも満たす行為。  男性器が勃起する意味。女性器が濡れる意味。  遊びの続きでも、いまの二人には遊びではなかった。  それでも、あくまであの日の遊びの延長として、二人は身体を動かしていた。 「僕が、こう横に、なってた……よね」 「うん。私がこうやって、上になってた。……そう、ちゃんと、あの日と同じにしないと」  葵は、浩太のベルトに手をかけた。ベルトを葵が外すと、浩太は自分でズボンとパンツをずり下げた。  長い時間を経て、葵の目の前にそれは再び現れた。  次第に成長していた身体全体は、中学校の頃まで見ていた。この部分は、あの日以来の再会だった。大きさは問題にならず、赤黒い亀頭が禍々しく包皮から半分露出していた。 「すご……、おっきい」 「普通、ぐらいだと思うよ」  浩太は他人との比較で言ったが、葵にとっての比較対象は、あの日の毛も生えていない皮ですっぽりと覆われたそれだった。同じものが、ただ「ぶらさがっているもの」から、れっきとした「男性器」として成長していた。  葵は目を見開いて、姿をすっかり変えた浩太のものを見つめている。  その間、浩太は手を伸ばして、葵のスカートの中に手を入れた。太股に沿って手を上に滑らせ、ショーツの腰の部分を見つけて、ゆっくりと下げる。  つぅ、と股間から透明の糸が伝う。  浩太も、この部室に入ってから股間の昂ぶりをおさえられないでいたが、葵も秘めやかな期待でショーツを濡らしていたのだった。  葵が片足をあげて、シンプルな白いショーツを抜き取った。 「見て……みる?」  浩太がうなずくと、葵は制服のスカートの端を、胸までたくし上げた。  幼い日の記憶ではつるんとしていたところに、形よく生えていた黒い茂り。そこにまず浩太は目を引かれた。下の部分は濡れているからか、カールのかかった一本一本どうしがまとまって、筆のように先細りになっていた。 「きれい」 「……あんがと」  お互いの成長を確認すると、お互い手を伸ばす。  葵の手には、びくびくと脈打つ熱い肉棒が握られ、浩太の手は、ぬるりとした液をまとわせた、秘唇を撫でた。 「……っん、ん」 「はぁあっ、あ、触られてる……」  あの日の続き。それを二人とも意識せずにはいられなかった。知識もなく、お互いの性器を触りあったあの日。いまは、性の知識もあり、性を交えることの目的を達せられるように身体も成長した。  葵は園美との一件があったものの、異性に関しては二人とも寄り道はなく、あの日と今日は直接繋がっていた。時間と場所は違えども、感情は確かに連続していた。  熱気を放ちそうに昂ぶっている男根を、葵はさらに煽るようにしごきあげた。その先の鈴口からは、噴火寸前の火口のように、透明のマグマが漏れ出している。それは垂れて葵の手へとたどり着き、上下にしごく運動をなめらかにさせた。  浩太の指は、精密機器を検査するように、すみずみと、ゆっくりと動く。  恥肉のプリーツをなぞり、端から、端へと。陰毛がさやさやと、その指をくすぐる。それから、指で襞の全体をはさみこむようにして、小刻みに動かした。  ちゅっ、ぷっ、ちうっぷ、ちっ、つぅっぷ。  ヒダの間にためこまれた淫らな汁が、指の圧力を受けてあふれだす。あふれた汁は浩太の指をびっしょりと濡らした。 「ほんとに……濡れてくるんだ」 「はぅ、ん、いやぁ、お、音、たてないでよ。んっ、あああっ」  浩太の指が、小さな突起物をさぐりあてた。  現実に触れたそれと、浩太の知識が一致した。指先でそれに優しく触れ、小さな、ほんの小さな子供の頭を撫でるように、指先を微動させた。 「――っひぅううん! ああっ、そこっ、あひぃっう、いぃい、ああはぁあ」  目を閉じ、声ならぬ声を葵はあげた。  アダルトビデオで女優があげるような甘い声、淫らにゆがむ表情。幼馴染の少女が、友人たちに見せる顔とはまったく違った顔を、浩太にだけ晒していた。 「かわいい。葵ちゃん」 「だめえぇ、そこ、クリばっかりしちゃ、あ、あ、ああっ、浩太、こうたぁ」  二人は、名前で呼び合っていた。あの日から、ずっと、相手のことを思い浮かべるとき、心の中での声は「葵」、「浩太」と呼んでいた。  葵は、浩太への愛撫をやめ、両手を床についてひたすら淫核への責めに耐えていた。 「葵ちゃん、イって、僕にイくとこ見せて」 「いや、いやぁ、恥ずぃ、見ないでぇ、あっ、あああっ、んっ、んんーっ、んっ、んうっ!」  葵が達したと見て、浩太は手の動きを止めた。葵はしばらく下を向いて荒く息をついていたが、あるていど息が整うと、紅潮した顔で浩太を見つめた。 「──浩太も」  葵はいったん身体を離してスカートを脱いで、丸められたショーツの横に軽くたたんで置いた。葵にうながされて、浩太もズボンとトランクスを脱いだ。  二人、下半身に身につけているのは靴下だけになった。 「触りっこしたから、次は舐めっこしよう」 「うん。……私、また上になるね」  淫らな欲をむさぼる大人の心と、性の好奇心を満たそうとする子供の心。そして、お互いに心惹かれあう若い心が、二人の行為を進めていた。  先に上を向いて横たわった浩太の顔を、葵がまたいで秘部をさらした。 「腰、下ろしてくれるかな」 「あんまり、見たら、だめだから」  顔が熱くなるほどの羞恥。ただし、葵は背中を浩太に向けているので、顔を見られないことだけが幸いだった。 「でも、近づかないとできないよ」 「わかってる……んっ、息、かかる」  浩太の吐いた息が、葵の露で濡れた陰毛を、雨上がりの草のようにそよがせた。  葵も口を近づける。雌の淫猥な匂いをさらに濃く感じる。  目の当たりにすると、その複雑な形状に圧倒される。そのテラテラと照る肉のヒダは、わずかに動いて、浩太を手招きするようだった。  舌を伸ばし、その招きに応ずる。  秘部に、舌が触れる。  舌が、秘部に触れる。  初めて他人の口が触れる場所。葵はびくり、と身を引いた。  初めて味わう味。少し舌を刺すようで、浩太も舌をたじろがせた。  荒い息をひとつ吐く間、二人の動きは止まった。しかし、初体験を乗り越えた接触は、ゆっくりとだが、より大胆になっていった。  葵がもとの位置に腰を下げ、浩太も舌を伸ばす。  今度は、より多くの部分が触れ合った。 「ううふぅっぅ、ああっ」  葵の腰がまた浮こうとするが、太ももをつかまえた浩太の手がそれを止める。  尻肉に力が入り、えくぼのような凹みをつくった。  ちゅうっ。くっちゅ、ぷちゅ。じゅぅっ、ぷっ、ちゅくっ。 「――あ、あああっ、いやぁ、音、いや、たてるのぉ、あああぁっ、息も、だめ」  葵の滴らせる雫が、自らの肉襞と、浩太の舌によって水音をたてた。  浩太は口がふさがっていて、鼻で荒く息をしていたが、それが葵の肛門へと吹きかかっていた。 「……っむ、葵ちゃん、いっぱい……出てくる」 「だって、浩太が、こうたぁ、っ、んんんっ! そこ、やぁああ、あああ、むいたらだめ、だめぁえぇ、まだ、つっ、つよすぎるぅう!」  浩太の舌が動きを変えた。陰部全体を嘗め回すような動きから、さっき指の愛撫でいちばん葵が反応を返した場所、そこを舌の先端でほじくり返す。  つんと勃起した葵のクリトリスは、さらなる刺激を受けようと包皮を邪魔がっているようだった。浩太の舌がそれを手助けし、ピンクの肉粒がついに解放された。 「っあ、あ、葵ちゃんの、これ……かわいいよ」 「んんんっ、んんーっ! はぁ、はあああっ、だめ……、私も、浩太の、するう」  葵は上半身を倒して体重を浩太の身体に預けた。ここちよい重さが浩太の胴体にかかる。  両手で葵は陰嚢ごと浩太のものを包み込んだ。浩太からはその様子が見えないが、その手の感触が伝わり、次いでみずみずしい感覚が亀頭に触れた。 「っん、ああ、口が」 「男の子の、よくわかんないから……言ってね」  どうすれば気持ちいいか、という意味の「言ってね」だったが、少し言葉が足りなかった。  同時に、「男の子の」は余計だとも思った。女の子とはしたことがあると白状しているようなものだった。  だが、浩太本人はその言葉の意味を探っている余裕はなかった。  自分の、ふだん表に出さない場所、排泄器官でもある場所、女性器に分け入るために固く勃起している肉棒を、恋焦がれていた女性の口が触れている。  さっきまで元気な声を弾ませていた唇が上下から浩太のものを咥えこんでいる。  その事実が、浩太を混乱にも似た昂揚に追い込んでいた。  攻める一方だった浩太だったが、葵も口による愛撫を始めたことで、浩太の攻めは少しおろそかになる。  達する寸前まで高められていた葵だったが、これによって互いの奉仕のバランスが成立した。  ちゅっ、ぷうぷちゅ。ちゅ、ちゅ、じゅる。  ちゅーぅっぷ、ぷっ、ぷっ、っぷぷちゅ、ぴちゃ、っぷ。  二人の陰部でたてられる水音。それに混じるのは、悦びのむせびと、うなされるように呼ぶお互いの名。  名前を口にするだけで興奮は高まった。その名をもつ異性を、いま口で愛し、愛されている。  未知の機械を扱うように、おそるおそる口の動きを試していた葵だったが、浩太の反応で少しずつより良いやり方を覚えていく。時に小刻みに、時に大きなストロークで、先端を、くびれた雁首の裏を、唇で絞り、舌で舐めあげる。  いったん平衡になったバランスが、また傾きを見せ始める。  じりじりと痺れるような感覚が、亀頭から陰茎全体、そして身体じゅうに伝播していく。心地よくはあるが、沸々とたぎるものを一気に吐き出したいという思いが激しくなった。  激しい思いは、自分の欲を優先させた。  浩太は葵の豊かな尻肉を力強くつかまえると、顔をぎゅうっと葵の秘部へと押しつけた。鼻からあごまで、顔の大部分が葵の恥液にまみれる。  そして、腰を下から突き上げる。 「ん! っ、……っぐ! んーっ、むぐっ……んっ」  葵の口内を欲のままに犯す。急な浩太の動きに驚いた葵だったが、浩太が欲望に正直になったことを悟り、苦しいながらも嬉しい気持ちがあった。  思うがままに口内を暴れまわる肉棒が、葵の舌を巻き込み、やわらかい頬の内側をえぐり、歯ブラシのように歯をねぶる。  その硬軟の刺激がすべて、浩太の陰茎の根元のほうへ、マグマのように溜まっていく。びくん、びくんと、噴火を目前にした赤黒い砲塔が脈打つ。 「あっ……ぐ、んううっ! ごめっ、あおい、葵ちゃん、ぼくっ!(どっくぅっ! びゆっびゅぶっ! ぐっびゅっ! ぶっ、ぶぐびぅっ!)」 「むぐむぅっ! んっ、んんっ、ぐふっぅむ、ん……んくっ、っむ!!」  身体を反らせぎみに、腰を浮かせた浩太の砲塔が、熱い塊を撃ち出した。  半固体の濁液が、尿道の内側をこそげるようにしながら、射出される。初弾が葵の喉奥を命中するのを待つことなく、第二弾、第三弾が矢継ぎ早に撃ち出されて、葵の口内を汚した。  葵はその白濁液を飲み込もうとするが、口の中にまだ硬さを失わない浩太の肉砲が邪魔をしていてうまくいかない。口をもごもごしているうちに、口の端からぼとぼととこぼれ落ちてしまう。  ようやく、かつてない射精感から解放された浩太は、自分がしてしまったことを認識する。 「葵……ちゃん、ごめんね」  まだ浩太の精液と肉棒を含んだままの葵は返事ができない。ゆっくりと口をすぼめながら、肉棒を口から離して、首を振った。ようやく口の中にまとわりついた分も含め、嚥下する。 「いいの。気持ちよくできた?」 「うん。すっごく……、こんなの初めてだった」  どちらから言うともなく、唇を重ねた。  そうしてから、葵は自分がさっきまで口にしていたものに気がつく。浩太がそこまで意識していたどうかは葵にはわからなかったが、浩太をより愛しく思った。  次にすることは、決まっている。二人の頭の中のイメージを、身体でトレースする。  静かに葵が仰向けで横たわり、少しく広げた脚の間に身体を割りいれた。  と、そこで浩太が動きを止める。 「あ……、タオルとかって、あるかな」 「ん? あ、あるけど。そこにかかってるの、私のだから」 「じゃ、ちょっと借りるよ」  汗でも拭くのかと思ったが、浩太はタオルを取ると葵の腰を少し上げさせて、そこにタオルを畳んで敷いた。下は体操用のマットなので、痛いのを防ぐ、というわけでもないらしい。 「――こうしとくといいらしいよ」 「? あんがと」  いぶかりながらも、礼を言う。  再び同じように身体を重ねた。下半身の肌と肌が大きく触れ合う。葵の太股のきめこまやかな滑らかさを、体温とともに感じ取れる。 「いい?」 「いまさら」  照れ隠しに笑う。二人とも耳を当てずとも、互いの心臓がトクトクと早く脈打つのがわかる。初めての体験に、期待と、恐怖がせめぎあう。 「痛かったら、言って」 「ん、うん」  浩太はあごを引いて、自分の屹立するものを見つめる。  これが、葵の身体に入っていく。根元まで入るとすれば、陳腐なたとえだが、まさにバナナ大のものが身体に入っていくことになる。  葵が処女であるかは浩太の知るところではない。  そうだろうと思っているし、そうであって欲しいと願っているが、だったら破瓜の痛みはなるべく少なくしたいと考えた。 「……ふぅ、ぁ」 「っ、ん」  性器どうしが触れ合った。  唾液よりもより粘度のある液を、互いににじませている。触れ合った瞬間、亀頭の先が少し滑った。  焦り気味に位置を修正しようとする浩太の手。導こうとする葵の手。触れ合って、同時に手を引いた。  苦笑を交わす。浩太は無理をせず、葵にゆだねることにした。  葵が浩太の陰茎を、自らの花弁に誘う。浩太もそれを確認して、腰をゆっくりと落とした。 「っ! んっ、んーっ!」  びくっ、と葵の身体に力が入る。異物が挿入される恐れ。浩太を愛しく思う気持ちも、それをゼロにはできなかった。  まだ、痛みはない。  浩太の先端が、わずかに花びらをかきわけて埋まったのみだった。  それでも、より多く、性器同士が触れ合うことになった。葵の蜜口を、浩太の亀頭が蓋をするように抑えつけている。 「――だいじょうぶ」  心配げな浩太に、そう微笑みかけてみせる。  まだ、いまのところは言葉のとおりだ。いまのところは。 「無理っぽかったら、……言って」 「うん」  再度、侵入を続ける。  ミリ単位で、少しずつ腰を落としていくが、それがつかえる地点に着いた。身体の重みだけで浩太は進んでいたが、自らの力をこめていく。 「……痛くない?」 「だいじょう、ぶ、だよ」  言葉どおりでないことはわかる。それでも、やめるわけにはいかない。どうしても経験しなければならない苦痛なら、より軽くしてやることは自分の責務だと浩太は考えていた。 「ごめん……ねっ」 「ぐっぅっ、っむ、んっ! っうぅっ、う、ううっ……」  堰を破ったように、浩太の陰茎が半ばほどまで呑み込まれた。  葵は歯を食いしばり、悲痛な叫びを抑えている。  ここで、浩太の中でひとつの変化が起きた。  この瞬間まで、世界で一番優しい男であろうと心がけていた。それにふさわしい態度をとってきた。  どこからか黒い衝動湧き上がってくる。清純な水に黒いインクを落としたように、浩太の心の中で広がっていった。 「葵……ちゃん、葵ちゃん!」 「ふっ、……ああっ! あああっ! あっ、いやぁああっ!」  鋭い欲のアンテナとなった浩太の肉棒は、あまりにも大きな刺激を受け止められきれなかった。少年には大きすぎた肉欲が、紳士であろうとする浩太の優しさを、理性を、あっけないほどに押し流していった。  自分で握るだけでは得られない、ペニスへの吸い付く圧迫感。とろりと潤滑させる天然の少女のローション。肌のぬくもり。結合部がたてる湿った音。軽くウェーブした陰毛のくすぐり。愛しく思う少女が発する、AV女優のような喘ぎ。  すべてが新しい体験であり、浩太の理性の壁を壊す精強な新兵だった。 「っふ、ああっ、あ、あおいちゃん、あおいちゃん、すきっ、すきいっ!」 「あ、あああっ、こ、こうたぁ、いっ、ぎぃっ、ゆ、ゆっくりぃ、ひっ、あぐぅっ!」  息をするのも苦しそうな葵。彼女の苦痛を感じたくないかのように、浩太は目をつぶり、ただ自分の欲望に任せて腰を動かした。  浩太が快楽を感じている結合部のぬめりは、分泌される愛液だけでなく、葵の破瓜の血液も混ざっている。しかし、浩太はそれを見ようともしない。察してはいるが、肉欲の邪魔とばかりに、そのほんの少しの配慮を、意識から追い出していた。  しだいに増してくる射精感。それを我慢することなく、もたらされる淫欲を、飢えた奴隷のように貪欲に受け止めた。 「うっ、も、もうっ、葵ちゃん、でっ、でっる、あ、あおいちゃ……っ!」 「あ、あああっ、こうた、こうたぁあ!」  名を呼ぶと同時に、浩太の背をつかむように爪をたてた。  その痛みが、かすかに浩太の理性を針のように突いた。 「くっ、っつっ、っつぅっ!」  ぶびびっりゅびゅっ! ぶびびっ、ぐっぶっ! どぅっ、ぐびゅっ! びぶっ! ぶっ!  おびただしい量の白濁液が、弧を描いて舞う。葵から受け取った快感をすべて吐き出して、葵の腹に、太股に、制服の上に、溜まりを作った。  浩太は手をつっぱったまま、それを呆然と見つめていた。  咄嗟に腰を引いたのは、浩太が瞬間取り戻した理性によるものだった。射精のあとで、それが凄まじい勢いで戻ってくる。  荒い息で、葵の白い腹が上下している。  そこに、濁った小さな水溜りが点々としている。葵の肌色と比べると少しクリーム色を帯びていた。 「あ、あっ。ご」  謝る言葉がつかえる。目を合わせることができず、視線はさまよう。敷いたタオルに赤い染みができている。すぐに目を背け、浩太は自分の股間に視線を落ち着けた。いまいましいことに、勢いを少しも失わずに誇るように反っている。  葵は上体を起こして、浩太に顔を近づけた。何か言わなければと小さく動いている浩太の唇を、自らの唇で抑える。 「まだでしょ」  何がまだなのか考えているうちに、浩太の投げ出された足の上に葵がまたがった。向かい合う形になり、葵は両腕で浩太の頭を抱えるようにした。 「──腰、おろしてくから」  浩太の顔は、葵の肩あたりに密着していて何も見えない。そのかわりに、葵の肌が放つ パンのような温かい匂いを、いっぱいに吸い込んだ。  子供が力いっぱい手を伸ばしているような浩太の肉棒が、みずみずしい秘唇に触れた。葵が押し殺したような声を喉から漏らすと、浩太は暖かな肉につぷりつぷりと包まれていった。 「あーっ、は、入ってく」 「ん、んっ、んぁっ、もう、あんまり痛くない、みたい。ああはあぁっ」  やはり、さっきは痛さを堪えていたのだろう。ただ堪え咽ぶだけの先ほどの声に、明らかに甘みが入っていた。  自分では動けないので、浩太は葵の背中に手を回した。滑らかな肌を撫で、背筋をたどるように首をたどり、髪をすくいあげた。 「女の子の、匂いだ」 「他の子の知ってるの? ……動くね」  ゆっくりと腰が上がり、葵の蜜肉に埋もれていた浩太の肉茎が姿を現す。互いの陰毛は、互いの淫液で濡らしあって、海草のようにべったりと肌に貼りついていた。  浩太のもので押し広げられていたスペースが元に戻っていくのを葵は感じることが出来た。わずかに先端のみ触れるところまで浩太のものを膣内から出してしまうと、葵は腰を水平に動かして、陰唇で浩太の亀頭をくすぐった。 「ふぅうあぁあっ、さ、さきっちょ、気持ちいい」 「あっ、ああぅふっ、気持ちいいの、いっぱいだね、これも、いいいっ」  違った種類の快感を探しつくそうかとするように、二人は性器どうしの摩擦の方法を試しあった。速さを変えて、深さを変えて、角度を変えて、口にする淫語を変えて。 「葵ちゃんの、葵ちゃんのあそこ、ワレメの中に、ちゅぷちゅぷ音たてて、あ、あああ、出たり、入ったり」 「これいい? 浩太もいい? 私もいいよ、浩太の、浩太のおちんぽ、私の、私のびらびらのとこ、すっごい擦ってるの、ああっ、クリのとこも擦ってる、ああっ、あひうっ」  数十秒の探求の末。深く奥まで密着し、長いストロークでお互いの秘肉を交錯させて、それから入り口のところで細かい動きで敏感なところを味わいあう、というのが二人のお気に入りになった。  そのセットを数回繰り返す。飽きることなく、より濃密に、二人は性器の交わりを続けた。湿った吐息を交換し、二人の身体をめぐっていく。 「──あ、あっ、くぅっ。くぅ、クるぅう、きちゃうっぅ」  葵が、そのルーティンを壊した。ぶつけるように、勢いよく腰を下ろし、すぐに引き上げると、また下半身をおおきなハンマーのように打ち下ろす。その激しさに浩太が戸惑っていると、浩太の背に回された腕が、ぎゅうっと締めつけ、同時に結合部も浩太を締めあげた。 「あ、葵ちゃん、うっ、うあああっ」 「こ、浩太ぁ、ぐ、ぐうぅう、ん、んーっ、んんーっ! むっぐっ、んんっ! いっ、っぐ! ん! んんっ!」  声を殺そうとしたのか、浩太の肩に口を押しつけて葵は喘いだ。葵は達したらしく、余韻のように数回小刻みに浩太を膣壁で絞めつけると、ぐったりと力が抜けた。浩太は葵を支えると、ゆっくりとマットに身体を預けさせた。  顔が近づき、葵がキスを求める。浩太は横に並んで寝そべり応じる。伸びた葵の舌を唇ではさんで吸うと、蛇がからみあうように浩太も舌を伸ばして、葵の桃色の唇にすべりこませた。  浩太のまだ猛っている肉棒は、葵の太股に触れていて、汗が引いてひんやりとした感覚を楽しんでいた。そこに、葵の手が添えられる。葵は無理な体勢ながらも、浩太のそれを握って慈しむように上下した。  浩太も手持ちぶさたな右手を伸ばす。葵のなめらかな尻肉の感触を楽しんでから、谷間へと潜ませる。じっとりと濡れた恥毛の奥、指先だけでも湿度を感じた。その湿地に指が達すると、力を入れずとも指は沈んでいった。  唾液を交換しながら、互いの手が性器を慈しむ。快感をむさぼるのではなく、愛しい人の秘めやかな部分を尊敬すらこめて愛撫した。  幾たびもの唾液の交換。そのいくらかはのどの奥へ、いくらかは口の端からこぼれた。  少し距離をおいて、お互いを見つめ合った。 「後ろから……いい?」  浩太の誘いに、葵は目を細めてうなずいた。  葵は体を起こし、ひざをついて四つんばいの体勢になった。恥ずかしかったのか、浩太を迎え入れる部分を向けてではなかった。浩太は内心苦笑しながらも、葵の尻のほうに回る。  部活動のたまものだろう、鍛えられた下半身に浩太の目は引きつけられた。張りのある大き目の尻肉の双丘、筋肉の発達を感じさせながら、女性ならではの丸みのある豊かな太もも。  そしてやはり目がいってしまうのは、恥毛の蔭りにありながらも水分に満ちてきらきらと照る、秘部のふくらみだった。  汗ばんだ葵の白い尻に手を沿え、その高さを確かめる。鋭角に上を向いている浩太の砲身を手で水平に定めると、そのまま腰を前に進めることで目標に到達できることを確認した。 「顔、見えないと、少し不安」 「うん……声、かけるから。……いくね」  先端が触れると、その部分から水音が立つ。同時に、前からは甘い息が吐かれるのが聞こえた。  さらに深く挿入していく。ゆっくりと腰を引き、浅く、速く。リズムと深さを変えるたびに、結合した部分と少し離れた葵の口から違った音が奏でられた。  大きな肉の楽器に高い音を出させることは、すなわち葵の淫感をひきだすことでもあった。  よりよい音を出す弦を、浩太は探っていく。しかし弾くのは弓ではなく、浩太の股間から伸びた熱い性棒だった。その傘に張った部分を有効に使って、敏感な弦を探る。見つけたら、そこだけ集中的に細かく何度も弾き、あるいは大きな動きで強く弾いた。 「あああっ、ふぁああぅ、っぅっ、っうぁ、っあっん、んっ、んんっ、ああ、ひぃいう、いっ、いいぃん、っ」  葵は最初、手を伸ばしていたが、いまではマットに上半身の体重をあずけて、顔を横にしてマットに押しつけるようになっていた。口からこぼれる唾液がマットを濡らした。  それ以上に淫水がこぼれる量は多く、あるものは結合部から直接水しぶきとなって落ち、あるものは雫となって葵の内股をつたい、ひざのところでマットを汚した。 「葵ちゃん、葵ちゃん、んぅっ、好き、好きっ」  約束どおり、浩太は間断なく、葵の耳の近くで声をかけ続ける。葵の背中に自分の胸を押しつけ、葵の肩にあごを乗せる形だ。体重がかかり、葵には少し重く感じるかもしれなかったが、こうしたほうが体が密着しているようでよかった。そうでなく、上半身を立たせた形だと、葵を一方的に犯しているようで、気持ちが落ち着かなかった。あまりに自分の劣情を募らせると、また葵を乱暴に扱ってしまいそうだった。 「ああっ、深い、ふかいよぅっ、ああ、ああーっ」  葵が乱れた声をあげ、浩太は自分だけが快楽を貪っているのではないことを知る。明らかにいま、性器を交えることでお互いに悦びを与え合っている。浩太の強張った肉棒が、葵の粘り湿った秘肉が、まるで違った形と特性をもって、だが同じ結果をつくりだしている。 「もぅ、っ、僕……またっ」 「あ、ん、わ、わたしもっ、浩太の、こうたのっ! なかで、だ、だしてっ、いいから、私の中で、あふぅぁ、ああっ!」  喘ぎを交え、葵は自分の膣内で果てて欲しいと望む。もとより浩太にとっても望ましいことだった。  精を膣内に放つという行為には、征服欲や、動物的な本能によって生殖を果たすという意味も含まれるだろう。だが浩太にとっては、絶頂に達する瞬間まで愛する少女と性器を触れあっていられる、そのことが最上の喜びだった。  射精までの道程が、門が開かれるように次々と迫ってくる。その速度は次第に増し、白いほとばしりは、葵の愛液をたっぷりとなじませた膣内を、爆撃をくわえる敵艦のごとく間近にとらえていた。 「あ、葵、葵、あおいちゃ、ぁっ、あおいちゃん、いくよっ、葵の、なかで」 「うん、くぅん、きて、いっぱい出して、私の中で、私のおまんこの中で、いっぱい、いっぱい射精して、精液出して、あ、あああ、あんあんあっ、んーっん、あ、あ、あ、ふっぁ、ああ、あ、あ」  部室のコンクリートむきだしの壁に、パツパツパツパツと尻肉が打たれる音が響く。  その間隔は極めて短くなり、浩太は暴力的に腰を動かして、拷問のように葵の淫穴を 突いた。  最後に大きく腰が振られて、杭を最後に力いっぱい打ち込むように、浩太は若い剛棒を突き入れた。先端は葵の秘奥の子宮口と力いっぱい口づけする。 「うっ、もう、もうっ、葵ちゃんっ!!(びぅっ! びびゅるぅぅっ!! ぶびゅるぶっ、びっびゅびゅぶうっ!)」 「あ、ああああっ! あつ、あつういぃぃいっ、いいいっ、いイっくうーーうっ!」  浩太のたぎる精液の放出を膣奥で受け、それを引き金とするように葵は高みへ到達した。  浩太とは電話番号とメールアドレスを交換して別れた。  また今度の休みの部活がないときに、映画でも見ようということにした。  もっとも、二人とも映画だけで終わらせるつもりもなかったが、あえて口に出して確認するまでもなかった。  葵が屋台に戻ってくると、日はずいぶん傾いていた。周りの模擬店も、ちらほらと閉店したところがある。葵のクラスの焼きそば屋も、もう片づけをしているところだった。園美は涼子とともに裏にいた。 「あれ、お連れさんは?」  エプロンを畳んで胸に抱いている園美が、葵に気がついて声をかけた。 「さっき帰ったよ。おつかれさま」 「いやー、そちらもおつかれさんで」  ノートパソコンを閉じた涼子が茶化す。あまり表情を崩すことのない涼子が、歯を見せてニヤニヤしている。通常の人でいう、腹を抱えて大爆笑のレベルにあたる。 「何よ」 「首に。首に」  そう指をさす。身体に氷が通りぬけたように、心臓が冷えた。 「え? え、なんか痕ある?」 「なんもないよ」  きき、と高い声を漏らす。逃げる涼子、追いかける葵。  よく事情が呑み込めない園美だったが、二人がとっても楽しそうに見えた。  第五章 歳末、寒さもひとしお身にしみるころ  師走。先生が走り回る姿こそ見かけはしないが、年の瀬を迎えてみな心はせわしない。  期末テスト、クリスマス、お正月と、イベントは数多い。なかでも、親しい友人にプレゼントを贈りあうクリスマスは少女たちの心の多くを占めている。  その贈る相手が、ただの親しい友人というだけでなければ、なおさらだ。  雪がいまにも降ってきそうな重い色の空が、窓の外に見えた。  放課後の窓際。涼子の席を、園美と葵が囲んでいる。涼子は相変わらず、携帯ゲーム機を操作している。 「マフラーとか、編んでみようかなと思うんだけど」  葵がそう言う。彼女が学園祭のときに会った男子生徒と付き合い始めたことを、園美も涼子も知っていた。 「あ、なんか古風だけどいいじゃない」  園美は素直に賛成するが、涼子は特に反応もせず、言葉も発しなかった。 「うん、なんか愛情こもってる感じだよね。でもどれくらい日にちかかるもんだろ。間に合わなかったら意味ないし」 「うーん。三時間ぐらい? 三ヶ月ぐらいかかるかな?」 「あんたの想像は幅が広すぎて参考になんないわね」  もちろん二人とも編み物などしたことがない。 「シンプルなものなら、初心者がちびちびやってもクリスマスには十分間に合うよ」  ぼそっとつぶやいたのは、携帯ゲームにタッチペンで操作をしている涼子だった。 「涼子ちゃん、編んだことあるの?」 「んー、セーターとか手袋とか、ひととおり。昔ディスクシステムで」  涼子が一気に語ったところによると、昔ファミコンのソフトで、編物教育ソフトのようなものがあって、それで覚えたということだった。 「あんたは、ゲームに関係のないエピソードは持ってないの?」  葵は呆れ顔である。 「涼子ちゃんに教えてもらえばいいよ。いいよね?」 「聞かれれば答えるよ。でも本とかあったほうがいいかも。インターネットでも初心者向けのサイトあるから見てもいいし」  涼子の言葉は細切れで、つっけんどんではあるが、最近はこの三人が集まっていることが多かった。園美が涼子になにやら話しかけ、それに葵もついてくる、というパターンだ。そのことに涼子も特に不快を感じているようではなかった。 「今日は何のゲームやってるの?」 「第二次世界大戦のシミュレーションなんだけどね、国の主義思想変えたりできるの。いま共産化した日本がソヴィエトと同盟を組んで、中国大陸を赤い旗で埋めてるとこ」 「楽しい?」 「楽しくないねー。ぐだぐだやってたらもうー九六二年だし。でもまだプロペラ機で戦争やってる」  とても趣味を共有するまでには至らなかったが、園美が自らも意識せず出している雰囲気のせいか、お互いに気を使わない関係ができあがっていた。  週末に道具を買いに出かけることに涼子の曖昧な返事を引き出してから、葵は部活へ、園美は帰宅のため下駄箱に向かった。涼子は東南アジアを共産化してから帰るとのことだった。 「あら園美さん、お帰り?」  下駄箱のほうからポニーテールを揺らしながら歩いてきたのは、文代だった。初めて「内裏」で会ってから、顔を見れば挨拶を交わす仲になっている。 「ええ、お先に失礼します」  双方軽く頭を下げ、別れた。  園美が靴を取り出そうと扉を開けると、靴の上に赤い封筒がまっすぐに行儀よく乗っているのが見えた。  首をかしげながら、園美は取り出す。小さなクリスマスツリーのシールが貼ってある。裏も見たが何も書いてはいなかった。封はしていない。  中には、カードが入っていた。「クリスマスパーティーへのお誘い」、そうタイトルにあり、シンプルに内容が書かれている。隅には生徒会主催とあり、会場は「内裏」だった。  桜井園美、と宛名にあり、間違いでないことがわかる。 「むー」  園美は唇を鼻につきそうなまで上に寄せ、しばらく立ち止まっていた。しかし何か決心したのか、一人うなずいて、封筒を大切にしまった。 「来てくれるかしら」  柱の影には、その様子を見守っている者がいた。「招待状」を園美の下駄箱にいれた張本人である文代、指示をしたほのか、小夜だった。 「気になるぐらいだったら、直接渡して言えばいいじゃない。馬鹿ねえ」 「できるぐらいなら、こんなところで隠れていないわ」 「恋で女は馬鹿になるというようです」  ぼそり、と文代。 「お、文代もそういうことを口にするようになったか」  ほのかは、ひじで文代のわき腹をぐりぐりとえぐった。 「朱に交われば、とも申します。墨と一緒に置けば、純白の紙も汚れましょう」 「ねえ小夜、遠まわしに馬鹿にされてるみたいだよ」 「あなたがね」  さて、忙しく日々は過ぎ、パーティの当日。  この日は授業は午前までとなっている。桜大路は仏教系の学校だが、異教の一大イベントには寛容で、生徒たちへの配慮がされていた。  「内裏」でのパーティは昼から行われた。パーティとは言えど、特に着飾ることもなく制服のままで、プレゼント交換もない気軽なものだった。  大きなテーブルに清潔な真っ白のテーブルクロスがひかれ、そこに料理が載っている。家政部が提供したものであり、自分から志願してきた一年生が給仕をする。軽音楽部が片隅で演奏をする。そのほか諸々のこの会の運営については誰が取り仕切るわけでもなく、各自が思うがままに会を盛り上げるべく、また楽しむべく、「内裏」へと集まるのだった。  もっとも、誰も彼もというわけではなく、「招待状」を送られたものだけが権利をもつ。  前述のように、何らかの役目が期待される者たち、もしくは生徒会ひいては両蓮と近しい者ということになる。  園美は所在なく、新しい檻に入れられた小動物のように、遠慮がちに「内裏」の中をうろうろしていた。「招待状」の真意がまだわからなかったからだし、あれだけ会おうと苦心していた紅蓮の小夜も目に入るところにいるが、常に何人かが周りにいて話しかけることが出来なかった。  そんな園美を見つけて、近づいてきたのは文代だった。 「楽しんでますか、園美さん」 「あ、文代さん。なんか……こう場違いみたいで」 「そんなことはありませんよ」  文代は目をすべらせて、小夜のほうを見つめた。小夜もこちらをちらちらと見ているようだが、こちらに近づいてくる様子はない。鼻で小さく、ふぅとつぶやいた。 「──そうだ。よろしかったらなんだけど、奥でケーキを作っているのだけど、人手が足りないようなの。少し手を貸してあげてもらえないかしら」 「はい、喜んで。貧乏性かな、なんかしてるほうが落ち着くみたいで」 「お願いしますわ」  園美が部屋から出て行くのを見送って、文代はきゅるりと音を鳴らして踵を回した。ポニーテールが鞭のようにしなった。  まっすぐと小夜のほうに向かい、人形使いのようにぴったりと後ろについた。 「可愛そうですよ」 「あ、ありがとう。で、でも……いや、どう言ったらいいのか」 「ご決心を」  そう言い残すと、文代はふたたび人の波を泳ぐ。本人が動かない以上、余計な世話かもしてないが、周囲で策を弄するしかないだろう。その役割は自分しかないという自覚があった。 「おー、文代! お前も飲め。ぐははははは」  ほのかが瓶を手にして、顔を赤くしている。手を伸ばして、子猫をつかむように、文代の襟を引っ張りよせた。 「ご用意したスパークリングワインはアルコールの入ってないもののはずですが」 「もちろんそうじゃよー!」  ほのかが手にしている瓶のラベルを見る。黄色のラベルには仏語で「ヴーヴ・クリコ」と書いてあった。文代が知る限り、名の通ったシャンパンのはずだ。 「瓶の中身は違うのでしょうね。そう信じます。──それはよしとして、お耳を」 「いゃーん、いやっ、ほのか感じちゃうっ!」  耳に口を近づけると、ほのかはぐねぐねと身をよじらせる。 「まじめに聞いてください」  文代は強く耳を引っ張って、ほのかの耳をエルフ族に似せた。 「いで、いででで……何よ。酔っ払いには優しくしてよ」 「聞かなかったことにします」  大人しくなったところで、ほのかの耳にささやく。聞き終わって、ほのかは眉を上げた。 「世話かかるわねえ」 「かかります」 「まあいいわ、人のためと思えばね。──じゃあ顔洗って酔い覚ましてくるわい」 「聞かなかったことにします」  ほのかは手洗いへ立った。テーブルの上に残されたグラスには、発泡している金色の液体がわずかに残っていた。それを手に取り、飲み干した。 「──つまらないことには、労を惜しまない人なんだから」  その味はまごうことなきジンジャーエールだった。    日が陰り始めていた。  園美は自らが手伝って作った少し不恰好なケーキを食べていた。その傍らには、文代もいる。  そこに、ほのかが近づいてきて声をかけた。 「園美ちゃんだよね。ちょっと、いいかな」  いぶかりながらも、園美は着いていく。「内裏」からは裏にあたる、ベランダへ出た。 ベランダは広く、横幅はキャッチボールができそうなぐらいある。端には階段があり、少し開けた庭に続いていた。  建物の中からは見えない位置まで移動して、ほのかは足を止めた。 「小夜がいろいろ迷惑かけてるみたいで、ごめんね」 「いえ……逆です。私がご迷惑をかけてしまったので、ずっと謝ろうと思っていたのですが」 「でも、なかなか謝れなかったんだよね。……うーん。あのさ。小夜にとったら、怖かったんだよ」 「怖い……ですか?」 「うん。嫌われるのが」 「嫌われる、というのは、私が、紅蓮様をですか?」  ほのかの言葉の意味が、頭の中を素通りしていく。「紅蓮様」にとって、なぜ園美のような一生徒の存在が、そこまで大きな意味を持っているのだろうか。 「片思いな感じかな。ずっと好きだったみたいよ。園美ちゃんのこと。ずっと見ているだけでもいいと、小夜は思ってたみたいだけどね。……違うな。そう言ってるだけで、気持ちはそうじゃないんだろうけど」 「私、なんかが」  想像もできなかった。容姿がいいほうでもない。内面に関しても、そもそもまともに話したこともなかったから、わかりようがない。 「詳しいことはわかんないけど。聞いても教えてくれないしね。まあ、そんなこんなで小夜にしたら遠くで愛でていたい対象だったわけ。それがちょっとした事件で関わり持っちゃって、いざそうやって接近の機会をもっちゃったら、怖いのね。あなたに好きって言うのも、その結果も」 「そんな」 「園美ちゃんはどうなの。小夜のこと」 「私は、紅蓮様のことをどうこうは言えません。でも」 「あ、いいやいいや。聞いちゃうといろいろまずい気がする」  園美の顔の前に手をやって、言葉を制する。園美も背が高いほうではないが、それ以上に低いほのかは、手を上げぎみになった。 「──で、ボクの話なんだけどさ。ボクと『縁』結ばない?」 「え? 何をおっしゃっているのか」 「正式には確かに『縁』は一人だけ。形式的にはそうでも、過去には何人とも結んだ人もいるしね」  くるりと身軽く、ほのかは園美の背後にまわった。両手をまわすと、ぴったりと身体を重ねる。 「こ、困ります」 「簡単に考えてくれればいいよ。正直な話、小夜の気持ちがわからなくもないんだ。園美ちゃん、自分でどう思ってるかわかんないけど、可愛いし。率直にいっちゃうと、園美ちゃんとエッチなことしたいな、って」  ほのかが腰を押しつけてくる。『縁』を結ぶと現れることがあるという、女性にはもともとないものが硬い強張りとして、スカートの上から感じられた。  背後から回されたほのかの手は、片や園美の胸をまさぐり、片方はスカートをまくりあげて、園美の下着の感触を探る。 「や、やめて……ください」 「ね、文代とも仲いいみたいじゃない。いっしょに、三人でしごふっ」  ぶん、と。園美は背中に風を感じた。蔓のようにまとわりついていた、ほのかの体がはがれる。園美は目の端で、宙を飛ぶほのかと、新たに現れた背中の人物の、量の多い髪がふっさりの靡くのをとらえた。 「なぁにさらしとんじゃあ! わしのスケに!」 「紅蓮……様」 「あ」  小夜は鋭い蹴りを繰り出したまま、足をバレエのように突き出していた。園美の視線に気づき、ゆっくりと下ろす。 「やっと……お話できました」 「あ、ああ……ご、ごめん、ごめんね」  庭の芝生を数回転したほのかは、そのまま建物の陰に入った。すでに傍には文代がいて、ほのかの顔の足形をぬぐっている。 「こうでもしないと、動かないんだから。ほんとに馬鹿な子」 「いい飛びっぷりでした」 「あんがと」  二人で、園美たちを見守る。  園美は、やっとの機会を逃すまいと、小夜の両袖をしっかりと握っていた。 「まず、先日はありがとうございました。それと、連日押しかけて申し訳ありません」 「う、ううん。なんて、こと……ないから」 「さっき、白蓮様がおっしゃっていたことは」 「あ、うん……ほんと……あの馬鹿……勝手に」 「嬉しい、です」 「え?」 「嬉しいんですよ。好きって言われて怒る人はいません。だから、私も紅蓮様を」 「いや、いや、い、ちょっと、待って。私は、私は……そんな、様付けで呼ばれるほど偉い人間でもないし、それに……私は、園美、あ、園美さんに、好かれるような人間じゃないのよ?」  隠れて見ている、ほのかが眉をひそめる。 「あの子お得意の逆走が始まりそうだよ。ボク、蹴りをお返しして止めてきた方がいいかな」 「大丈夫ですよ。相手は園美さんですし。私は安心してます。私も、紅蓮様が、園美さんを好きな理由、なんとなくわかりましたから」  小夜は目をつぶって、罪を告白するようにしゃべり続けた。 「──ほのかみたいに明るくもないし、文代みたいに頭も良くないし、私は、園美さんのことを勝手に好きになって、でも言い出せなくてうじうじしてて、でも、でも、好きだから、陰から見てたり、写真を手に入れてずっと持ってたり、あまつさえ……いやらしいこと考えたり、実際にしたり……だめだから。だめなの。このままで、よかったのに。私は、園美さんに好かれない」  いつの間にか、小夜はぼろぼろと涙を流していた。えぐえぐと顔をしかめ、子供のように咽び泣いた。息が苦しかった。 「思い出しました」  小夜の泣き顔を見て、ただ戸惑うだけだった園美が、急につき物が落ちたように顔を晴れやかにさせた。 「──小夜ちゃん、だね。遊園地で会った」  小夜は息を呑んだ。 「覚えて……たの」  園美の古い記憶にいた少女。  あのときも、ひとりで涙をぼろぼろとこぼしていた。  迷子になったのだろう。ベンチに座って一人泣いている少女に、園美は遠くから走ってやってきた。うつむいていたからか、周りの大人は誰も気づかないようだった。  後から園美の父親もやってきて、泣いている少女を事務所に連れて行った。そこまででも十分親切だったが、園美はまだ泣き止まぬ少女とともにここで待っていると言い張った。 「園美ちゃんの遊ぶ時間なくなっちゃうよ?」  それでも、父の勧めを園美はきかなかった。泣き疲れを知らぬ少女のそばに座って、聞いているかもわからないまま、最近あったことなどをとりとめもなく話した。通っている幼稚園のこと。家の庭の花が咲いたこと。母親が料理で失敗したこと。  十分も経っただろうか。それでも少女は涙が尽きぬかのように泣き続け、園美の話に耳を傾けようとはしなかった。  突然に園美は、うつむいている少女のあごにそっと手をやってこちらに向かせると、少女の小さな唇に、自分の唇を重ねた。  驚いたのだろう。少女は泣くのをぴったりとやめ、その行為の意味を探るかのように、園美をじっと見つめた。 「おまじないだよ。ママが怒ってても、パパがこうするとなかよしになるの」  泣き止んだ少女は、小夜と名乗った。 「年上、だったのですね。ごめんなさい」  現在の小夜も、涙を止めていた。 「私にとって、鮮烈で、貴重な体験だった。あなたの入学式のときに気がついたの。名前を確認して、間違いないこともわかった。あなたは今年の春から私に謝ろうとしてくれていたみたいだけど、私はずっと今までの間、あなたに感謝の言葉をいいたかった」  言葉を続けようとしたが、言葉をつむぐ頭の回転が、感情に追いつかない。伝えたい気持ちが大きすぎて、なかなか口が動かなかった。唇を噛んで、鼻で深く息をした。 「──その機会をうかがっていた。でも遠くから見ているうちに、園美は昔と変わっていないことがわかった。園美の周りは、幸せが漂っている。無愛想な人にも、笑いを浮かべさせる力がある。辛そうな人に、同情でなく同じ気持ちになることができる。だから、好きになってしまった。親しくなりたいという気持ちを一気に越えて、私は」 「紅蓮様」  園美が、小夜の言葉を制した。袖を握っていた手は、いつしか少しく下に移動して、小夜の白い両手に、優しく重ねていた。 「──私は、紅蓮様のことが一年生のときは憧れでした。お綺麗で、行事のときに拝見するお姿も、とても凛としておられました」 「それは私の表の姿で、すべてじゃない」 「そうかもしれません。でも、私の筆箱、体ずくで止めてくださっていたじゃないですか。謝りたいのも勿論ですけど、ほんとは、私、仲良くなりたかったんです。紅蓮様と。親しくしている友達から、『縁』を結ばないかって言われました。彼女も私のことを好きでいてくれたし、私も彼女のことが好きでした。でも、断りました。やっぱり、その時点で私の心の中では、『縁』を結ぶ相手は決まってたんだと思います。だから、私、紅蓮様のことが」 「ちょ、ちょっと待って」  今度は小夜が、園美の言葉を制した。 「──嘘じゃ、ないのよね」 「はい」  その返事と、園美の瞳に、濁りはなかった。 「社に、行きましょう。園美が、嫌でなければ」 「喜んで、お供させていただきます」  二人は、遠慮がちに手を握り、歩を揃えて社へ向かった。  物陰に隠れた白蓮の二人がその背中を見守る。 「白蓮様、後をついていきますか?」 「若い二人にまかせるよ」 「そう言ってみたかっただけでしょう」 「まあね。でも、ボクたちは帰ってくるのを待とうよ。あんまりパーティから抜けてるわけにもいかないし、いろいろ準備もあろうってもんでね。くくく」 「白蓮様」  けらけら笑うほのかを、文代が正面から見据えた。 「何だよ。お小言はたくさんだよ」 「私も、精一杯尽くさせていただきます」 「文代、最近お前、より可愛くなったよ」  わしゃわしゃと、文代の頭を撫でる。髪が乱れてしまったが、文代はそれが嫌ではなかった。  桜大路の敷地内ではあるが、校舎とは離れたところにぽつんと忘れられそうな場所に、件の社はある。したがって、往き道に人影はまったくなく、薄闇にぼんやりと浮かぶ月だけが二人をみつめていた。  小さな社だった。田舎の地蔵を祀っている祠のようでもあるが、注連縄を巻いて、中央に鏡がうかがえることから、神を祀っているものだろう。  高さも二人の背より低い。二人は、並んで正面に膝をついて座った。  余計な言葉を交わす必要はなかった。  ここに二人で来て、することはひとつだった。 『私は』  素直に気持ちを伝えられなかった小夜。  次第に、愛する気持ちを募らせていた園美。 『あなたを』  過去の記憶から、その優しさが失われていなかった園美を。  憧れるだけの存在ではなくなった小夜を。 『愛しています』  大切に、心から慕い思った。  空気が激しく流れる音がした。社から満たされる光、二人を暖かく包み込んだ気流。  それらは瞬く間のできごとだった。 「園美!?」  小夜は自分の股間に手をやった。変化はない。 「私……みたいですね。なんか、変な感触です」  二人が「内裏」に戻ると、すっかりパーティは終わっていた。片付けもおおかた終わり、文代がテーブルの上を拭いていた。  揃って帰ってきた二人を見て、文代は笑みで迎えた。 「おめでとうございます」  椅子に座って、シャンパンの瓶に入ったジンジャーエールを傾けていたほのかは、顎で寝室のほうを指し示した。 「ごゆっくりどうぞ」  小夜は苦笑しながら、園美の肩を抱いていざなった。  歩みが徐々に早くなり、ドアを通り抜けるころにはもう駆け足同然だった。気がはやる。社から「内裏」に戻るまでも、その距離までがまどろこしかった。代わりのように、繋いだ手を、何度も指を組み替えた。体位を試すように、指を触れ合わせていた。  ドアを閉じると、どちらからともなく顔を近づかせた。  ひな鳥が餌をついばむような、小刻みなキス。  互いに腕をまわして、身体を密着させながら、いままでの時間を取り戻すように、執拗にキスを繰り返した。ゆっくりと唇を押しつけあい、唾液がこぼれるのも気にせずに、大きく口を開いて、舌を迎え入れる。侵入した舌は、口腔をぐるりと探索するようにして、二人の唾液を攪拌させた。  熱い息が、口から、鼻から漏れる。その熱は顔からだけではなく、身体全体からも滲み出してきて、同時に個人差のある微香を放った。  さらに、小夜にひときわ熱を与えていたのは、小夜の下腹部にごりごりと当たっている、園美に新しくできた部位だった。二人のスカートを通してもわかるその形状は、しっかりと上向きに反り返っているのがうかがえた。  先に唇を離したのは、それを早く目にしたいという欲求に耐えられなかった小夜だった。二人の口の間を、唾液が幾筋もの糸をねっとりと引いた。 「園美の、見せて」 「はい、紅蓮様」 「お願い。『お姉さま』って、呼んで」 「わかりました。お姉さま。……ご覧、下さい」  スカートの端をつかんで、おずおずとめくりあげる。  薄水色のショーツには、幼さを感じさせる小さなリボンがひとつついていた。しかし、股上が浅めだったため、子供用のものとは一線を画している。  その股上が浅めなことが、園美の身体の異変をまざまざと見せつける結果になった。  ショーツの上から、周囲からは少し濃い目の肌色がのぞいている。それは股間の部分からまっすぐ上に伸びたものであり、棒でもそこに突っ込んでいるように、長細いふくらみをつくり、それが内側から下着を押し上げているために、股の部分は隙間が空いてしまっていた。  夢見るように待望していた小夜はもとより、園美も初めて目にする異形の物体に、しばし目を奪われた。ショーツからはみだした先端部はその多くをまだ包皮に覆われており、ぴくり、ぴくりと震えていた。包皮からわずかに露出した肉の部分はつややかな桜色で、小さな口から滲んだ液が満ちて、水溜りのようになっていた。 「触るね、園美の、これ」  小夜はかがみこんで、股間から上へ、白い指を這わせる。 「はぁぁ、ああふっ」  性的な快感を、他人から与えられるのは初めてではなく、葵とで経験している。そう頻繁ではないが、その時からは自分で慰めることもあった。  この新たな性器がもたらす性感は、やはり新しい性感だった。下着越しで摩擦されるだけでも、びくっ、びくっと、肉棒は頭をもたげる。 「すっごく堅い。出てきたばかりなのに、こんなに勃起して。痛くないかしら」 「痛くは、ないです。でも、変な感じで」 「じゃあ、もう少しいじってみてもいいわね」  手のひらで覆うように、全体的にしごくような動きに変える。  下げるときには包皮が引っ張られて、みずみずしいピンク色の亀頭を大きくのぞかせた。「ふぅっ……ああ、お姉さま、んくっ、っぐ、あああっ」 「気持ち、いいのね」 「う、うっん、は、はい。気持ち、いいですっ」  次第に強くしているとショーツがずり下がって、園美の授かりたての肉棒は根元のほうまですっかり出てしまっていた。ショーツ越しではなく、小夜は直接に握って包皮を上下する。ゆっくりと根元にひっぱるようにしてみると、きのこのように傘になった部分までが露出した。淫猥な濃い香りが小夜の鼻を心地よくくすぐった。 「かぶってるけど、ちゃんと全部むけるのね。立派よ」 「あ、ありがとうございます。あ、ああっ、そんなこと」  前触れなく小夜は、飴玉のようにつややかな光をもつ、すっかりと露出した亀頭を、すっぽりと口に含んだ。  体温よりも高い温度と、ぬっとりとした感触。それに加えて、愛すべき人が、口を使って性器に奉仕をしてくれる、その行為を目の当たりにしたことが、園美の興奮を一気に引き上げた。  口での淫技については、ほのか相手に経験を重ねていたので、ここは腕の見せ所だった。いきなり強い刺激を与えるのはもったいない。料理の献立を考えるように、薄味なところから濃厚に持っていかなくてはならない。  ちゅっ、つぷっ、ぷぅうっちゅ、つぷっ。  初めて外気に触れた亀頭に、洗礼を行うように丹念に舌でねぶる。雁首の下にも舌を尖らせ、小夜の唾液で覆いつかせていく。その唾液よりも、いくぶんか粘度の高い液が先端から染み出ている。その味を楽しみながら、ねっとりと亀頭の愛撫を続けた。 「ふぁあ、あふっ、お姉さま、お姉さまぁっ! やぁ、あああっ、ひぃ、ひんっ」 「どう、園美? おちんちん、気持ちいいの?」 「はぅ、うう、はい」 「じゃあちゃんと言わなきゃ。おちんちん気持ちいです、って」  まだ園美は、自分の股間に新たに生えたこの淫らな塊の名を呼んでいなかった。小夜は、園美にそれを口にさせることによって劣情を高め、まだ園美を縛っている羞恥から解放しようとした。  こう言葉を交わしている間も、小夜の手は園美の陰茎を握って上下にしごく動きを止めていない。 「お、ぉちん、ちん……んっ、気持ちいいです」 「それをどうして欲しいの? 言ってごらんなさい」  既に部屋に入った時点から顔を赤らめていた園美だったが、首まで羞恥に赤く染まる。 「私の、おちんちんを、お姉さまのお口で……しゃぶって、ください」  園美にとっては、高いところから飛び降りるような気持ちで、淫語を発した。恥ずかしくはあったが、それが小夜の望みならば、小夜が喜んでくれるなら、充分に我慢できることだった。 「わかったわ。いっぱい、おしゃぶりしてあげるからね」  再度、小夜の唇が肉棒を這う。横から咥えるようにして、根元のほうまで唇と舌をすべらせ、先端へは舌を裏筋にそわせた。先端でちろちろと舌で刺激し、また亀頭全体を口にほうりこむと、口をすぼませて内側の柔らかい肉を密着させた。 「あ、わ、あああぁ、はぁああああっ、っあ」  園美は恍惚となって、口を半開きにしたまま、ふしだらな声をあげる。スカートをたくしあげていた手には力が入らず、忙しく動かす小夜の頭の上に、スカートがかぶさる形になった。  気づいた小夜は少し中断し、手早く園美のスカートのホックをはずし、床に落とさせた。片手で再開すると、片手は自分のスカートに手をかけ、同じように床に脱ぎ捨てた。  その手はすぐに園美の股間に戻ることなく、小夜自らの太股の間に滑り込んだ。内股がしっとりと濡れるほど、ふんだんにレースのあしらわれた華やかな白い下着には蜜が染みこんでいた。  触れるだけにしようと思ったが、触れた瞬間にもたらされた痺れは、小夜をそれだけで我慢させられるものではなかった。布地に隠された陰裂をなぞりだすように、縦に指を押し込む。濡れたスポンジを圧迫したように、じわっ、と水分が吹き出した。 「んっ、んんーっ、うんむ、んっ」  初めての官能に朦朧としていた園美だったが、小夜が漏らす声に変化を感じた。その原因も、小夜の左手が自らを慰めているためだとすぐに気がついた。 「お姉ぇ、さま。っ、ごめんなさい」  腰を引いて、小夜の口と手から逃れる。 「どうしたの」 「お姉さまのも、私が、したいです。あ、っ……」  先ほどの小夜の言葉を思い出して、言い直す。 「──お姉さまの、お、おまんこ、私に、っ。な、舐めさせて、ください」  園美のそんな真面目な様子に、小夜は微笑んでしまう。素直さに子犬すら想像させる。 「わかったわ。じゃあ、一緒に愛し合いましょう」  小夜と園美は、二人でベッドの上に移動した。小夜は、横たわった園美のショーツを丁寧に脱がせ、自分も脱いでベッドの隅に並べて、見える位置に置いた。後で持って帰りたいと思ったぐらいで、まだしばし目に入れておきたかった。  園美の肉棒は、元気よくやや反り返り気味で上を向いている。もともと薄いほうなのか、細目の恥毛はその根元にわずかな蔭りとなっていた。小夜はそこに頭をあわせて、園美の顔をまたいで、期待の大きさをその濡れようで表現している秘部を晒した。  小夜の控えめに咲いた陰唇は鮮やかな肉色で、それに大きなコントラストをもたらしている漆黒の恥毛は櫛でといたのかと思うほど、小夜の髪の毛のごとく美しく生え揃っていた。  二人は心中、互いの恥部を誉めそやしたが、それは言葉より行動で示した。園美は一級品の白桃のような小夜の尻を抱え込むと、まさに桃にかぶりつくように、蜜の滴る場所に口を押しつけた。 「お姉さまっ、小夜姉様、好きっ、好きです。私のっ、私のお姉さま」  その勢いに気圧されつつ、小夜も再度、園美の屹立した性器に口を寄せる。  しかし、さっきまでのように技巧を駆使したものにはならなかった。なぜなら、園美が拙いながらも、小夜の花芯に口と指で精一杯の愛撫を行っているために、自分の行為だけに専念できなかったこと。それに加えて、一生懸命に小夜に武者ぶりついてくる園美が愛しくて、衝動のおもむくままに激しく単調なものになったからだった。  園美を気持ちよくさせようという思い以上に、園美の肉棒を口にしたい、舐めあげたい、口の中にいっぱいの精液を吐き出して欲しい、そういう欲求が膨れあがっていた。  唇を丸くして、その輪で雁首を集中的にしごきあげた。くっぷ、くっぷという音がテンポ良く響く。亀頭から先がじんじんと痺れ、びくびくと足掻くように肉棒は震える。  園美は、かつて経験のない到達点に連れて行かれることを察し、小夜の陰唇との口づけを中止して訴える。 「あ、ああっ、お姉さま、き、きちゃいますっ、私の、お、おちんちん、やっ、きちゃう、お姉さまの口に、でちゃいますうぅっ!」  性知識の乏しい園美だが、絶頂に達したときに男性器がどう振舞うかは知っていた。このままだと、小夜の口を汚してしまう。だから口を離して欲しいという頼みだったが、小夜にとっては、ゴールへの距離が短いことを示す道標に過ぎなかった。  つっちゅっぷ、ぷっ、つぶっ、じゆっぶ、ちゅぶ、ぷっ、ぶっ、ぷっちゅ。  小夜の頭の動きはより激しいものになる。変化をつけようと、強く吸いながら、ゆっくりと口を引いたとき、園美の腰が跳ねた。 「やっ、あああ、ああっ、でる、いや、でる、でるぅぅぅっ! あ、ああ、あぐっ、う、あ、ああああっ!(びぃぃゅうっ!) やっ、あああっ!(びぶびびゅるぅぅっ!) で、でてるうっ!(びっ、ぶっびびゅぅっ!)」  どくどくとした粘体が、激しく噴きだして小夜の口腔を打ちつけた。  小夜は貴重な初精をこぼすまいとするが、あまりの勢いにむせかえってしまう。園美の暴れ馬は小夜の口から逃れると、何回も大きく跳ねながら白濁した汁を吐いた。  一部は口に残り、小夜はねっとりとした白い凝りをのどに絡ませながら飲み下した。だが多くは、小夜の顔、髪にかかり、眉を垂れ、通った鼻筋の横を流れ、薄桃色の頬に乗った。 『縁』で得られた男性器により、射精される精液は生殖能力を持たない。男性器そのものも、排泄器としての役割は持たない。よって純粋に性器であり、性快感を与え、受け取るための器官になる。尿口ではなく射精口であり、放たれる液は生殖のためでなく、オルガスムスに達したことを表すものでしかなかった。 「いっぱい、出たわね。おめでとう……でいいのかしら」  顔に付着した白蜜を、指ですくいとって舌に運ぶ。比較する対象が、ほのかのものとしかなかったが、初めてだったからか濃さはひときわだった。指ですくっても、指の上からこぼれずにプルプルと震えている。味については、愛するものへの贔屓目からか、少し甘みを感じさせるようにも思われた。 「も、申し訳ございません。お姉さまの、お顔を」  園美は息が荒いまま、身体を起こして、自分の粗相を詫びた。小夜にとっては鳳凰が舞い降りたがごとくの吉祥だが、園美は小夜の顔を気持ち悪いもので汚してしまったととらえていた。  大丈夫、と言いかけたが、小夜の中で嗜虐心が頭をもたげる。 「そうね。じゃあ綺麗に舐め取ってもらおうかしら」 「はい、お姉さま」  疑いも抱かずに、飼い犬が芸をするがごとき従順さで、園美は小夜の顔に舌を這わせる。自らが出したものとはいえ、初めての精液の味は園美にとって素直に受け入れられるものではなかったようだ。舌で口に運んだあと、飲み込むのに苦心している。 「あら。人の口の中に出しておいて。自分が飲むのは嫌なの」 「そんなこと、ありません」  とは言うものの、嚥下するときには目を閉じているのは隠せなかった。  その健気さに、園美を抱き寄せ、柔らかい髪を撫でる。 「いい子ね──それに引き替え、あなたたちは何をしてるのかしら」  小夜が首を回した方向ではドアが少し開いて、そこから隣の部屋の明かりが漏れていた。  ひょい、と手が伸び、こちらに向かってひらひらと手が振られる。  それに続いて入ってきたのは、既にショーツだけを身につけた、ほのかと文代だった。 「おっじゃまー」 「邪魔するなら帰ってもらえないかしら」 「恩人にひどい言葉だこと。ここまで持ってこれたのは誰のおかげだと思っているのかしら。ねー」  文代に同意を求めると、こくりと素直に首を縦に振った。その顔は紅潮しており、ドアの向こうでも何かが行われていたことが想像される。 「硬くするのは体の一部だけにして、みんなで楽しくやりましょうや」  新参の二人もショーツを脱いだ。文代が眼鏡をかけているほか、人工物はなにも身につけていない状態で、四人はベッドの上の人となった。  小夜と文代は同じ方向で横になって並ぶ。乳白の肌に、胸に咲く紅い花、芝のように茂る翳りが映えた。  力を抜いて投げ出された足は少し開いて、黒い茂りの奥の花弁が露を浮かべて照りかえっていた。  ほのかは文代の足を開き、身体を入れて膝立ちになり、屹立した肉棒を文代に見せびらかすように横に振った。  園美も続いて、小夜の両足の間に位置する。 「園美ちゃん」 「は、はい」 「小夜に、やさしくしてあげてね。……ずっと、あなたを待ってたんだから」 「わかりました」  今日たてつづけに初めての経験で目のまわりそうな園美だったが、いまからは小夜にとっても初めての体験を行うことになる。  小夜の顔をうかがうと、穏やかな笑みを浮かべている。緊張はしていたが、顔には出ないようにした。苦痛を伴おうとも、ひとつになれる喜びに比べれば何ほどのことか。 「あっ、あふぅっ、ああ」  先に嬌声をあげたのは文代だった。首をそらし、眼鏡がわずかに鼻の頭のほうに傾く。 「んっ。ん、可愛いよっ、文代」  ゆっくりと腰の運動が始まる。ポンプ運動は、文代の泉から湧き水をくみだし、二人の口から熱い息を噴き出させる。二人は自分たちだけの小さな世界をつくり、もう隣の一組からは目が離れていた。 「では、お姉さま、はじめますね」 「いらっしゃい」  小夜の可憐な桃色のつぼみを、園美の亀頭が押し割っていく。強引でなく、おずおずと、だが、まっすぐに。とろりとした粘感。口内より高い温度。挿入を深めると、すぐに抵抗を感じた。 「――いいのよ。園美に、してほしいの」 「はい」  返事は短く、凛々しかった。小夜の思いを受け止める決意。受ける愛に、応える愛。見返りは求めずに、相手に注ぎあうもの。  いまの園美の愛の形は、堅く、赤銅色にたぎって、小夜の、深い、深い場所に入っていった。  小夜は微笑んでそれを迎えるが、目の端の少しのゆがみが苦痛をうかがわせた。園美には、より粘膜が触れ合うことで幾倍もの性感が伝わっていたが、それに溺れることができずにいた。 「お姉ぇ、さまっ。わ、私」 「園美、私、嬉しい。嬉しいの。好き。大好きよ。だから、あなたのしたいように、思ったように、していいのよ」  心配げに小夜の表情をうかがっている園美を、両手で抱きすくめる。内からも、外からも、園美の肉体を包み込む。存在のすべてを慈しむように。 「はい、お姉さま。お姉さまっ。好き、好きです。お姉さまを、もっと、欲しいですっ」  遠慮を捨てたわけではない。しかし、欲望をそのままむき出しにぶつけることが、小夜には最大の心遣いだと園美は思った。  腰を押し進める。より深く、より多くの面を接するため。新しい器官を、小夜の体に埋める。  応えるように、小夜が内側で締めつける。圧力をかけながら、愛液でぬるりと、心地よく。  外側からも、小夜の細い腕が締めつける。滑らかな肌が、優しい小夜の体温を乗せて、心地よく。  小夜に包まれ、小夜の中で動いた。無邪気な子供が遊ぶように、母親が子供をあやすように、恋人がキスを繰り返すように。  初めてもたらされる淫感。小夜は痛みを感じながら、それを制してあまりある肉欲にひたった。心からお互いの肉体を、心を欲する二人には、それを同時に満たすこの行為はあまりにも甘美だった。 「あっく、ぐっ、ぅうっ、あああっ、園美、園美、いいよ、園美の、あああっ、もっと、園美を、園美の大きいの、私で、私で気持ちいいの? 気持ちいいの?」 「あっ、ん、んっ、んっつふあ、は、はいっ、気持ちい、いい、気持ちいいです。お姉さまの、お姉さまの中で、私、私、すごく、あああっ、いっ、いいんです、いぃひっ、お姉さま、お姉さまぁ!」  じゅっ、ぷじゅっ、ぐっぷ、っじぅ、ぷっく、くぶじゅっ。  胸の高鳴りが、重なり合う乳房を通して伝わりあい、それが園美の動きを煽る。小夜もただ迎えるのではなく、園美との結合をより強いものにするよう、腰を前後にうねらせていた。  次第に、やみくもではなく、自分が気持ちよく、また相手にも高い声をあげさせる場所がわかる。  淫棒の雁首が張り出して鉤になった部分が、複雑な膣壁のなかほどのある一点をこそげるように動く。前後に出入りするときには上下にずらし、茎の部分が小夜の肉芽を擦りあげた。  二人には隣での、ほのかと文代の交わりは見えていない。大人しくもない喘ぎも耳に届かない。 「っ、んんっ、文代。園美ちゃんを、見て。あんっ、あんな可愛い顔して、すごいね」 「はぁ、は、園美さん、小さなお尻をあんなに、いやらしく動かして、ぁ、ああ、白蓮様も、も、もっと、激しく、ぅっん、して、してください」 「うんっ、負けて、られないもんね」  四人の性器が、卑猥な交わりを行うときにしか出ない蜜を垂らし、音を立てる。普段は隠すべき部分を晒し、その部分を触れ合わせあう。信頼する相手にだけ許された行為。  あふれる汁がたてる音、肉が擦りあわされる音、歓喜の声。  卑猥な蜜の匂い、にじむ汗の匂い、甘い息の香り。  四人の身体が発するそれらが、寝室に満ちていく。シーツを濡らし、空気の湿度をあげ、部屋の壁に、少女たちの淫声が響く。 「お、お姉さまっ、わ、わたしぃっ、いいいっ、もう、もうっぅっ!」  限界を叫んだのは、園美だった。ぱしっ、ぱしっ、と腰を打ちつけるように激しく動かし、その速度もあがっている。頭が白くなっていくのを感じ、まだ知らぬ高みへと、がむしゃらに上がっていく。小夜も、そんな園美を押し上げるように、足を大きく開いて、園美の暴れる動きをさまたげないようにした。 「あ、あああっ、ああっ、あっ、園美、かわいい園美、私の、わたしのっ、そのみぃっ! いぃっ、好きい、好きぃ」 「出ますっ、出ちゃいますっ、お姉さまに、お姉さまにっ。私の、出ますっ、あああっ、あああぁぎっ、ひっぃっ、いいいいいっ! (どくぅっ! びぅっるるるっ!) あああっ(びっびうぅうっ!) ひっぃうっ!(びびゅっびゅっ! ぶっびびゅっ!)」 「あああっふ、ぁぁっ、園美、園美のっ、でてる、でてるっ……」  熱い白濁液を吐きつくすと、園美はぐったりと体重を小夜に預けた。軟らかい髪が、汗に濡れて額にくっついているのを、小夜は直してやる。  しばらくして園美の息が落ち着いたのをみて、小夜は身体を動かす。園美をいったん脇にどかすと、四つんばいになって尻を突きあげた。園美も何も問うこともなく、その後ろに回って小夜の腰に手をかける。まだ勢いを失わずそそりたった欲望のプラグは、しっかりと小夜の陰部へと接続したがっていた。 「んんっ、おねえ、さまあぁあっ」 「はぁっ、ふぁぁぁあふ、ふ、ふかいぃ、深く、きてるぅ」  勢いよく反り返り気味の園美の肉棒はまっすぐではないために、体位を変えると先端がえぐる位置がまた変わってくる。後背から突くことで、より深い場所を貫くことになっていた。  隣で園美が達して体位を変える間に、ほのかたちも体勢を変えて肉体を交わらせあっていた。ほのかが座った形になり、その上から文代が腰を下ろす。正面から身体を向かい合わせる、いわゆる対面座位の形だった。  初々しい隣の交わりはもちろん興味はあったが、やはりほのかの大事なパートナーは文代であり、文代も心からほのかを慕っている。手探りで性技を模索する園美たちと同様に、貪欲により濃厚な淫欲を満たそうと、あまりしたことのない形で繋がった。 「ほら、っん、文代、繋がってるところ見える? あふっ、文代と、んくっ、ボクの、どこでつながってるの?」 「私の、あくっ。ん、ん、おぅ、おまんこと、白蓮様の、のっ、おちん、ちんですっ」 「そうよ、ああはっ、ボクのメスチンポ、文代の、ぬるぬるでだらしない、おまんこに、入ってるの。じゅぷじゅぷ、いってるよ」  ほのかと文代は、そうやって肉体の結合部を説明するように、淫語を交し合った。陰唇の形、濡れそぼった陰毛、ずるりと肉棒が引き出される音、指で触れた肛門のすぼまり。それらを言葉にすることで、興奮を高めあった。  園美と小夜は、対照的に言葉は少なかった。ひたすらに、お互いの名前だけ呼び合い、一心に性器をぶつけあった。小夜の尻肉が心地よいリズムで叩かれて、ぷるり、ぷるりと波を打つ。 「あ、ああ、あ、お姉さま、お姉さま、あっ、ふっぁあ、あっ、あはぁ」 「園美、園美、そ、園美ぃ、きひぃ、いいっ。いいい。いあっ、ああ、くはぁ」  激しい肉杭の注入に、そんなに容量もない小夜の肉壷は、注ぎ込まれ自らが漏らした液をこぼれさせている。破瓜の血が混じり初めは赤く染まっていたが、次第にその色は薄れ、わずかに白濁した粘液がぼとぼととシーツに染みを作っている。  早くも、園美は二回目の極みに達しようとしていた。小夜も、園美の激しい腰使いに、身体全体をびくり、びくりと痙攣が襲ってくることから、それが近いことを察していた。 「お姉さま、お姉さま、また、またきますっ、また、私のおちんちん、あ、あああっ、限界ですっ! でちゃいます、いぃ、ひぐっ、いいいっ!」 「いいわよ、何度でも、何度でも、私ので、イっていいの、私も、あ、ああ、きてる、私も、いっしょに、イきそう、ああっ、園美ので、イかされちゃうぅぅっ!」  一方の組は、ほのかこそ余裕の表情で、文代の痴態を言葉を尽くして責めていたが、文代はその言葉すら半ば耳にも入らないようで、眼鏡が鼻の下にずり落ちるのも構わず、腰を前後左右にただ欲望のままにぐねぐねと動かしていた。 「はっ、はあぁぁっ、白蓮様、白蓮様、もう、私、気をやって、しまい、ひぃぃい、しまい、そうですぅっ」 「誰がそんなこと許したの? ん? んっ、勝手に、一人でイっちゃうの? そんなに腰をやらしく動かして。なんでもいいんでしょ? 私とじゃなくても」 「いやぁあっ、白蓮様の。ほ、ほのか様のがいいんです、ほのか様の、おっきいので、ずぶずぶされてるから、あ、あああっ、ごめんなさい、い、いいひっ、あ、あああっ、あっ、ああああっ!」  数秒、意味をなす言葉はなく、ただの肉欲に吼える雌の鳴き声だけだった。ほのかを除く、三人の咆哮はほぼ同時だった。 「あぎっ、きひつ、いっ、いぐっ、ほのかさまぁ、い、いいっつくぅ、イっくうううううっ!」  文代が、腰を深く押し込んで、身体を反らせる。ほのかは文代の腰をつかまえて、びくびくびくと小刻みに振るわせる身体を支えた。 「そ、園美、もうだめ、私イく、園美のちんぽでイっちゃう、園美ちんぽで、イくっ、っくぅううううっ!」  小夜の膣壁が激しく収縮する。到達まで間際だった園美の最後の糸を切るには、十分すぎる絞りこみだった。 「ぐぅぅぅうつふぅうんっ! うっ、うあぁぁ、やぁぁっつ、でるぅぅっ!(どびゅるるるるっ! ぶっびゅるううっ、びびゅっびゅ!) あ、あああっ!(びぎゅぎゅっぐぐぶっ!)」  四人の身体が離れる。ぐったりとシーツに沈み込んだ三人を満足げに眺めて、ほのかは小夜のそばに寄り添った。 「これで、やっと私も小夜に挿入れられるわけだね。文代は、園美ちゃんのお相手をしてあげて」  まだ朦朧としている小夜にキスをして、その身体にのしかかる。園美の精液をごぷりとこぼしている淫らな口に向かって、ほのかは容赦なく自らの剛棒をすべりこませた。 「はぁああっ、うぁっふ、ああ、ぐぅ」 「小夜、大好きよ。園美ちゃんには敵わないかもしれないけど。はぁ、やっと、一緒になれた」  二人の蓮華は友人であり、性欲を満たしあう間柄でもあった。こうして、花芯を重なり合わせることは愛欲であり、信頼の行き着く最終形でもあった。長年の恋人のように、自然に身体は溶け合っていく。乳房をまさぐりあい、乳首を交代で口にし、唇を合わせ、手をつなぎあう。その間、性器の交わりは解けることはない。一対の蝶の交尾のように、ずっと繋がったまま、互いの身体を慰めあった。 「園美さん、私たちも」 「はい」  園美は、うっすらとながら文代の好意に気がついていた。小夜との間を取り持とうとしたのは、ほのかや小夜の命だけでなく、彼女自身の望みでもあった。文代も、あまり人に対して好き嫌いの感情をもたないほうだったが、園美に対しては違った。園美には幸せに、屈託のない笑顔であってほしかった。  感謝をもって。そして、現在の紅蓮・白蓮が卒業した後に蓮となるだろう今後についての、よろしくという気持ち。  握手より、もっと強い、気持ちの表現として。文代は大きく足を開く。淫らな陰唇も指で開いて、園美を誘う。 「いらっしゃって、園美さん」 「文代さん、参ります」  初めて小夜以外の女陰に、紅潮した肉弾頭を突き込む。  そこは、やはり小夜の膣内とは違っていた。性格を反映するのか、狭く、きつく締め上げてくる。ただそれでけではなく、豊富に湧き出される淫水が、動きを潤滑にさせている。 「もっとぅ、深くっ。くださいっ」  文代は腰をあげ、結合部を高くする。園美も身体をせり出し、園美の肉棒は垂直に文代の膣口を打ち込む形になった。 「ああ、っ、文代さん、ふ、文代さん、すごいですっ、あはあっ」  じゅぷちゅっ、ずぐぶっ、ぶっちゅぅっ、どちゅるっ。  文代の狭い膣口が、白く濁ったマグマを噴出し、尻の谷間をなぞって流れていく。園美にも文代にも見えなかったが、文代のアナルはそのたびにひくひくと、まさに噴火を耐える火山口のようにうごめいていた。  園美に貫かれる文代の痴態を横目で見るほのかは、複雑な気持ちだった。一方、納得もしていた。卒業して、桜大路から離れるときはもうすぐにやってくる。新しく蓮華になる二人の性の相性がよいのは喜ばしいことだった。  いまは、残された時間の僥倖を、余すことなく受け入れることが大事だ。園美と小夜、そして自分と小夜もそうだ。 「小夜、いいわ、ああっ、この穴で、いっぱい園美ちゃんを、かわいがってあげなさい」 「あふっ、ひぃっ、ん、ああんっ、言われなくても、ああっ、でも、あああっ」 「でも?」 「ほのかのも、ほのかのもいいの、園美は一番だけど、ひぃん、ああっ、でも」 「贅沢な子ね」  苦笑するが、ほのかは嬉しかった。頑固で、まっすぐで、しかしどことなく頼りない小夜のことを、歳は同じだが妹のように感じていた。  ベッドがぎしぎしぎしと細かく軋む。ゆっくりと溶けるように交わりあう双蓮とは対照的に、園美と文代は競り合うように激しく性器をぶつけ合い、すでにゴールのラインは目の前だった。 「あ、あうぅぐ、ぐぅぅっ、あうあぁ、あっ、はぁっ、ああっ、ひぃうっ」 「あ、あ、あんあんあんあん、やぅっ、すごっ、すごいっ、あ、あうぅ、うぐっ」  今日に初めて授かったとは思えないほど、激しく正確な腰使いで文代の膣を貫く。文代も腰を前後に動かすことで、膣内に侵入する園美の肉茎をこそぎあげ、小兵ながらも突き立たんばかりに勃起している自らの肉芽を、交合の際に擦りつけた。  園美はひときわ奥にぐん、と突き押し、身体を止めた。ぶるぶるぶる、と数瞬、身体全体を震わせた後、洪水のような精液の氾濫が始まった。 「おおっ、うはぁああっ、あああぐっ、あおおおうぉんっ!(どびゅぶるるるるるるるるっ!) はぎっ(ごぶびゅぶゆっ、ごびぶぶっ!) ああぁはああっ、あああっ!(ごっびゅっびゅ、どびびっ!)」 「やあっ! あああっ、あつうっ、あついぃっ! ひぎっ、ぎぃ、いぅ、いっくぅっ! いっくっ、イく、イく、イくうううっっ!」  ごぷっ。ぶぶびっ。ぶびゅるぶ。  溶けたソフトクリームが一気にこぼれ落ちたように、文代の蜜壷からは八方に白濁があふれ出た。その濃さに、シーツは吸い込むことが出来ず、ぷるぷるとヨーグルト状で形を留めている。  半ば放心している園美の口脇のよだれにも構わず、ほのかは身体を伸ばして気付け代わりのキスをする。 「園美ちゃん、この子のこっちも可愛がってあげなさい」  体勢を変えるとそう言って、ほのかは小夜の体の一部を指さした。  ほのかが園美に足を向けて横たわり、その上から小夜はまたがって結合している。上体は伏していて、ふくよかな小夜の乳房は、ほのかに押しつけられている。  ほのかが指さしたのは、園美のほうに向けられた豊かな尻肉の双丘のはざま、すぐ近くでほのかの性器を咥えこんでいる陰唇の隣、手持ちぶさた気に小さく咲く、うす桃色の菊だった。 「よいの、ですか」  性知識の乏しい園美でも、体の繋がり方にいろいろ方法があるのは知っていた。生殖を目的としない、ただ性愛だけの挿入。性器ではない、秘すべき場所、恥ずべき場所を使う性交。 「いいの……園美、お、お尻、して」  顔を伏せたまま、消え入りそうな声で乞い願う。その態度とは裏腹に、愛撫を望む場所を園美によく見えるように、肉の丘を広げ開く。谷間に咲いた雛菊は、その花弁をわずかに広げて、蝶がやってくるのを待つ。  蝶は無言で、花に顔を寄せる。吐く息の熱さが、花をすぼまらせた。伸ばした舌の先が、花の中央をとらえた。唾液をふくませ、放射状に広がる花びらへ筆のようにして塗りたくる。 「は、はぁぁっ。ふぅっ」  最愛の少女に、排泄器官を舐めさせている。不浄な部分を晒している。物質的な快感よりも、背徳感が小夜の背筋を痺れさせた。その先の、未知なる挿入の期待と不安も乗せて。  小夜の「正しい」性器へ挿入をしているほのかは、しばし動きを止めていた。園美と小夜の性遊戯を、綱渡りを見るようにはらはらと見守っていた。 「お姉さま……お姉さま」  性器と違い、自らは濡れることない器官。だからこそ、本来の使い方とは違う、横車を押すような行為にはなんらかの手助けがなくてはならない。小夜に痛みを与えぬよう、そして、甘美なひとときを与えられるよう、園美は職人のように丹念に舌を這わせて水分を与える。  小夜の菊花がじっとりと園美の唾液を含んだのを見届けると、園美は欲望を受け渡しするパイプを構える。その直径は目指す挿入口よりも遥かに大きく、無理があるようにも思われた。 「ゆっくり、なら、大丈夫だから」  言いはしないが、小夜は性の好奇心から指は入れてみたことはある。徐々にであれば、痛みもなく挿入することは可能だと信じている。 「参ります」  園美の先端が、露に濡れた小夜の雛菊に触れる。すぼまる肉門が、園美の先端をくすぐる。神経がそこに集中していた園美の肉棒は、そんなわずかな刺激でもたまらずに、ぴん、と跳ねた。  腰を使って、先端で肉門を撫でまわした。いつその時がやってくるのかと、肉門は期待と緊張に、ひくひくと震えている。  園美は力を少し込めた。通常は一方通行の孔が、抵抗しながらもそれを受け入れ、園美の先端をわずかに埋没させる。 「っ、っ……ん。んんっ」  小夜の声は漏れるが、そこに苦痛の色はない。  ゆっくりと、ゆっくりと。だが、抵抗は加速度的に上がる。その圧力に、園美は反応し、伸ばした肉のアンテナを弾ませてしまう。反応は反応を呼び、広がりつつある小夜の肉門は、きゅうっ、きゅぅう、と収縮する。それに押し出されぬよう、しかし押し込みすぎぬよう、一定の力で掘削は進む。  丹念に塗りこんだ園美の唾液と、挿入された肉棒の先端から分泌される液が功を奏し、なんとか亀頭の半分まで進みこんだ。 「ん……ぐぅ、ん。っく。いい、よ」  少し動きが止まったのを見て、小夜は最後の後押しをする。  それを確認して、園美は小さくうなづくと、腰をぐいと押し込んだ。 「っぐぁ、っぐ。……っ、んーっ! んーぅん! あうっ」  神経を直接につかまれて、揺さぶられるような暴力的刺激。  雁首まですっぽりと、園美のペニスは小夜の尻肉の狭間に埋まった。腰を引こうとするが、すっかりと門は締まってしまい、園美の脱出を許さない。園美の肉の傘が、内部から小夜の腸壁と筋肉を引っ張る。 「あっ、ああ、お姉さまっ、お姉さまのお尻が、私のをつかんでっ」 「くぅ、くぅーっ、あぐっ、ん、あはぁ、あっ、園美のっ、あふ」  隣接した膣口にも、その圧迫は伝わる。小夜の肉を通して、その圧はほのかの肉棒にも押しかかってきた。ぬめった膣壁がずれ、ほのかの静止している肉棒にも動け抗議する。 「小夜は欲張りなのね」  尻穴での結合を邪魔しない程度に、ほのかは下から突き上げる。同時に、やはり園美のほうにもその動きは伝わる。 「はあっ、私、私、お姉さまのお尻に入れてる、お尻に入れちゃってる」 「っ、あぎっ、いぃ、あーっ! あ、あ、はわ、はぁっ、ひぎっいぃっ! いひぃぃぃいいっ!」 「小夜、小夜っ、いいよ、小夜のすっごくきゅうきゅうしてるよ」  三人が、秘すべき場所で繋がっている。愛を認められて授かった雄々しき性器で、少女が自らの身体を仲立ちとして繋ぎあわせている。その交合は、三人に大いなる性感をもたらす。年齢に比べて、大きすぎるかもしれない、過激すぎるかもしれない性の悦楽。  だが、お互いを愛する気持ちは、その性欲に負けてはいなかった。愛するが故に、大きな快感を与えたい。ともにその淫らな空間に浸りたい。愛が故の純粋な行動だった。  まだ未熟な園美の雄根は、新しい責めに音を上げるのは時間の問題だった。  彼女自身はあまり動けなかったが、執拗な小夜の括約筋の収縮、隣の剛棒がごりごりと押しつけてくる圧迫に、射精感がわきあがってくる。 「ほぅあ、ふぁ、お姉さまの、お姉さまのお尻、おしりのあなぁ! おしりぃ、おしりにでるうううぅぅ!」 「っく、ぃう、う、ぎてぇ、え、きてっ、おしりに、してぇっ!」  園美の背が反り、顎が上がった。 「ふぐっ、うっ、うぁ、は、はうっ、は、あ、あああううぅうぅぅうっ!(どぶぶぶっるっ! びゅぶっぶうっ! びっびゅるるるぶ、っぶぶびゅっ!)」  射精口が精一杯に開いて、小夜の直腸に太い放精を行った。熱い濁液は腸内に激しくぶつかり、激しく洗浄する。 「園美、そのみ、そのみぃ、あ、あああっ、お尻で園美ちんぽイってるぅ、園美がお尻の穴で射精してる、は、はぁっ、はぁああっ、私も、私もっ、お尻、お尻でい、い、イっくうぅううっ!」  達した小夜の身体は、肛門が本来の動きを取り戻す。腸内の異物を、体外に排泄しようと蠕動し、園美の肉棒をずるっ、と勢いよく吐き出した。ひくひくと動く肉門は中央から、園美の吐き出したホワイトソースをこぼれさせている。  絶頂のドミノは、ほのかへも倒れこむ。この宴から、唯一達することがなかっただけに、溜め込まれた発射力は絶大だった。  小夜は肛門の収縮とともに、膣にも力をこめる。生殖のための本能か、雄汁を体内に取り込もうと、男根を絞り上げた。 「はぅ、はふっ、うっ、小夜、小夜っ、ボク、ボクもいくっ、小夜の中で出すっ、あ、あああっ、出るぅぅぅっ!(ぐびびっびびゅ!) はぅっ!(ぶっぶぶっちゅ! どびびびっつちゅ!) まだでるっ!(びっびゅっびゅるっ!) はっ、まだっ!(ぶっぶぶぐぐぶぶっ!) いやっ、やあっ!(びゅっ、びゅぶ!) あああっ!(びびっぶ、びゅくっ!)」  ほのかの目は虚空を泳ぎ、大量放水を終えて堅さを失った肉ホースは、まだ小夜の中に納まり続け、びくりびくりと小さい痙攣を繰り返しながら、余韻のような射精を続けていた。  ベッドに沈み込むようにぐったりとした三人が、やっと状態を起こし周りを見渡す。  最初に気がついたのは園美だった。 「あれ、そういえば文代さん」 「そうね。どこにいったのかしら」  ドアが、カチャリと開いた。  そこに立っていたのは文代だったが、その姿に一点だけ異変があった。 「文代、あなた……」  ほのかが指をさしたのは、文代の股間で、そこには園美やほのかと同様に、そそりたつものがあった。 「本物じゃないんです。でも、よくできてますよ。射精もできるんです」  文代が手を後ろに回すと、股間のそれは斜め四十五度に勢いよく液を放出した。ギミックを施したペニスバンドだった。 「――さあ、四人で繋がりましょう」  宴は、まだ終わらない。  誰が仕切るわけでもなく、小夜は足を広げて園美を誘い、園美はおずおずと陰部を文代に晒し、文代は尻を突き上げてほのかを呼んだ。  少女たちの好奇心と、愛欲は、朝まで尽きることがなかった。