輝乃と理恵 遠く離れて 2/2
「っくーっ、ん、はあっ」
その喘ぎが輝乃の返事だった。ホールの半ばまで、輝乃の若い幹が一気に飲み込まれていく。ホールの中に仕込まれた細かい襞が、侵入者を歓迎するようにねっとりと撫でた。
「あっ、ふぁあっ、きのっ、輝乃ぉっ」
理恵もディルドーを奥に押し込む。すでに飽和していた水分は、満たされた風呂に入ったときのように、その口から溢れ出した。ぷじゅうっという水音が、離れた電話のマイク部にも届いた。
「好きっ、すきいぃっ、お姉ちゃん、お姉ちゃんの気持ちいいっ」
待ちかねていた挿入後はしばし、電話でお互いの喘ぎと湿った音を伝えるだけだった。
輝乃はホールを手で持ってしっかりと握り、自らを強く擦りあげた。それから体勢を変え、ホールを枕と布団で固定して、そこに差し入れて腰を動かした。こうすることで、両手を自由にすることができた。
片手で電話機を握り、もう片手ではクリアファイルの写真をめくる。秘部を露にした理恵がそこにいる。電話の向こうの理恵の痴態を想像して重ね合わせた。
理恵はだらしなく足を開いて、ディルドーをときに激しく、ときに小刻みに動かしていた。空想ではなく、遠く離れた場所でいま現在、輝乃がペニスを前後運動させている。
身体は触れ合っていなかったが、たがいに性器を刺激しあっていることには違いなかった。
「おねちゃ、も、もう出ちゃう。ふぁぁっ、すぐ出ちゃう」
「出るの? 出ちゃうの? いいよ、いっぱい出していいよ。輝乃の射精、受け止めてあげる」
肩で受話器を固定して、空いた手でディルドーの射精ギミックを手に取る。ディルドーの動きを速め、輝乃の達するのを待った。
「あ、ああっ、出るっ! お姉ちゃん、お姉ちゃん、(びゅっく、びゅぶっ!)んっ、あくぅっ!(ぶっ、どびゅぶっ!)」
その叫びとともに、理恵は射精ギミックを握る。ディルドーの中を通った管を、擬似精液が通り抜け、理恵の膣内で発射された。
どっびゅっ! びっる、びびゅうぶっ!

「はぁ、輝乃の、輝乃の出てるよ、私の中で、どぴゅって元気よく出たよ」
「んっ、好き、好きなの、お姉ちゃん……こんど、お尻で、お姉ちゃんのおっきいお尻でぇ」
甘える声に、理恵は優しく承諾の返事をする。
輝乃はホールをアナルタイプのものに変えて、ふたたび枕と布団の間に押し込む。
理恵のほうでは、うつぶせになって捧げるように尻だけを突き上げた。頭は枕に押しつけて、腹から回した手でディルドーを持った。
まだ膣に挿入されたままだったディルドーを抜くと、中から白濁液がこぼれる。女陰の複雑な肉唇をつたって、カールのかかった黒草の茂みを濡らし、露となってシーツに落ちた。
ディルドーは理恵の菊門に口づける。理恵の膣穴で人肌より高い温度に温められたそのキスは、優しかった。すぼまった穴と比べれば大きすぎるようにも見える人工の亀頭も、可憐な菊花は臆することもなく、花びらをほころばせて歓迎の意を見せた。
「お姉ちゃんのお尻、入れるねっ」
「おいで、輝乃。私のお尻に、輝乃のちょうだい」
ずぬぬぬっうっ。
挿入自体は、どちらも静かに行われた。狭い穴に、ゆっくりと沈み込むように埋まり入っていく。
その代わりのように、両者の口からは尻穴での結合を祝って、歓喜がはじけた。
「はあぁっ、はぅっ!」
「ん! んっ、んむぅっ! 入って、入ってくるぅ!」
雁首まですっかり納まってしまうと、関所を過ぎたとでもいうように、輝乃と理恵はいったん落ち着いた。
実際には間接的にではあるが、二人の意識の中ではしっかりと肉体同士が交わっていた。
もう写真を見て視覚を手助けする必要はなかった。
二人は目を閉じるだけで、自分と繋がっている相手の悦びの顔を、やすやすと思い描くことができた。
お互いの性器と体内の熱も、汗ばむ肌の香りも、すべて感覚として伝わってくる。
「いいっ、気持ちいい、大好き。お姉ちゃんのお尻、大好き」
「私も、私も、輝乃の、お尻に入れてもらうの、大好き。お、お尻まんこするの、ふぁっ、大好き」
二人はしばし動きを止めて、愛する異性の、通常とは少しことなる秘めやかな結合に浸る。性器どうしとは違う、さらに相手を信頼することで為しえる体の結びつき。
射精のみを求めるならば、輝乃は思うままに若々しい性牙を突き立てれば、一分も持たずに達することが出来ただろう。しかし、それではあまりに勿体ない、心地よい薬湯につかっているような夢見心地だった。
子供が滅多に食べられない飴を大事に舐めるように、少しずつ快感を引き出しながら、長く、できるだけ長く、この甘さを味わっていたかった。
「少しずつ、動くね、お姉ちゃん」
「うん。輝乃の好きなように……私のお尻、使って」
少し言葉を交わすだけで、輝乃が意図する細かい動きまで伝わった。
ぐっと少し引き、理恵の菊門を、輝乃の得物がもっとも太くなっている部分がくるようにする。おのずと菊花は押し広げられる。それを確認すると、また少し押して、すっぽりと落ち着きのいい場所まで戻す。
その長さにして小指の先ほどにも満たない前後動を、飽きることなく繰り返した。
「ふっ、くぅうっ、ん、んんっ」
「はーっ、ん、んふぁぁっ、ひふうっ、あ、ああっ」
亀頭の傘の部分を肉門がこそげ、肉門は収縮を強制され、二人の結合部分からじんじんとした淫らな痺れが波となって全身を覆っていく。
「おね、お姉ちゃん、はくぅ、理恵お姉ちゃん、好き、好きっ! はっ、ふぅっ、ああ、好きぃ! お尻、気持ちよくって、好きっ、お姉ちゃんの肛門、好きっ」
「いいよ、輝乃の、いっぱい、いっぱいお尻入ってるっ、あ、ああ! ああっ! 輝乃ちんぽ、輝乃ちんぽ、すごいの、輝乃ので、いっぱい気持ちいいの、お尻いいのっ!」
言葉にせずとも、動きが大きくなったのはわかる。膣とは違って根元まで突き入れることはできないが、輝乃の陰茎は亀頭はもとより、半ばほどまで理恵の尻に埋まる。
輝乃の雄牙はさらに堅くなり、肛門への責めを強めている。理恵はそれをあるがままに受け入れ、ほんの少しの苦しみも甘美な刺激へと変えた。
ただし、ただ漫然と受けるだけでなく、肉筒の全体を使って輝乃を絞りあげる。堅く勇ましくはあってもまだ若さの残る輝乃の分身は、肉筒から引くときには包皮もしっかりとつかまえられ、亀頭に少しかぶってしまう。再び突き入れることで亀頭は露出するが、わずかに余った包皮はそうやって理恵の体内で、亀頭のマフラーのようになって前後した。
「はうんっ、僕の、僕のおちんちん、ぎゅうって、ああっ! お姉ちゃんのお尻で、しぼられてるうっ、あん、はぁぁっ、いっ、いいいっ!」
輝乃は少女のような声で喘ぐ。それは理恵の声によく似ていて、理恵も陰茎を勃起させて自分の尻穴を犯しているような感覚にとらわれる。
「輝乃っ、しぼってあげる、輝乃のおちんちんミルク、あふっ、私のお尻で乳絞りしてあげるね、あふっ、ん、んんっ! お姉ちゃんの中で、出してね、輝乃の、熱々のミルクっ」
似た身体と声をもつ二人は性差こそあるものの、互いを半身として繋がりあっていた。二人で互いの尻肉に勃起した肉牙を埋め、また貫かれてもいた。腸壁で圧迫されながら前後動をする肉牙が、もう悲鳴をあげる寸前だった。射精を耐えて、押さえつけられた獣のように、びくり、びくりっ、と理恵の腸内で跳ね回る。
「おね、お姉ちゃん! 出る、もう出ちゃう! 僕のちんぽ、理恵姉ちゃんに、ぎゅうぎゅうされて、いく、イっく、ふぅ、う、いっちゃうっ!」
「あ、あ、輝乃すごっ、すごひぃっ、ひぐ、う、ううっ! んあ、んぬっ、あ、私もいく、お姉ちゃんもイっちゃうよ、輝乃にお尻まんこされてイっちゃうの、ああ、ミルクちょうだい、輝乃ミルク、どぴゅどぴゅしてっ!」
通常の性交では到達に向けて激しくぶつかりあう結合部分も、よりきつく締め上げる女穴のために、交わりあいは速度はいくらか増したものの静かなものだった。
ぎゅぐぐっ、ずむううっ、ぎゅむむっ、ぐぐぐっ。
輝乃の肉幹は、放出すべき樹液を内にどんどんと貯めていっている。その放出が近づき、射出口からは透明の粘液を漏らし、理恵の腸内に散らしていた。
「あっ、あぐ、んぐっ、で、せーしっ、でるっ!」
肉砲は咆哮を直前にして、理恵の腸内で跳ね反った。上向きになった亀頭が突き出され、理恵の肉筒の壁をこそげるようにえぐった。
限界まで突き入れると、輝乃の体全体が、ぶるぶるっ、とうち震えた。

「──イくっ、イくっ! あっ、出るっ、ひぐううううっ!(どびゅゅゅるっ! びっびびゅっ!) ああっ、ああふっ!(びっびっびゅ!) 好きっ! お姉ちゃん、すき!(びっびゅぶ! ぶっぶるるっ!)」
「輝乃っ! ああっ! あああっ、出てるよ、輝乃のミルクいっぱい出てるよっ! あ、ああっ、輝乃のミルク出されてイく、私もイくっ、い、いひっ! い、イっちゃう、い、イっくうぅぅぅぅっ!」
二人はほぼ同時に達し、理恵もディルドーのギミックを力いっぱいに握って、射精を尻穴で大量に受け入れた。達したときに力がこめられて、ディルドーは中身をすべて吐くと、弾き出されるように抜け出てしまった。
理恵の菊門はさきほどまでに太いものを挿入していたというのに、すぐにすぼまって中に射出された液を垂れこぼすことがなかった。わずかに白い液をにじませ、その行為をほのめかせるに過ぎない。
この理恵の尻穴の締まりが、輝乃に執着させるもとだった。
輝乃はすっかり魂が抜けたようにベッドに体重をあずけている。まだ勃起が解けてはいないが、いくらか硬さを失った陰茎はホールから外れていた。
ホールは理恵の生きた門とは違って自分で収縮できないため、その穴からは輝乃が撃ち出した精液がどろどろと溶けたアイスクリームのようにこぼれ出ていた。ティッシュを取ってそれを拭く力もなく、輝乃はぐったりとしている。
しばし、二人の荒い息だけが交わされた。絶頂の余韻に浸りながら、言葉に出せないながらも互いに感謝し、肉体の素晴らしさを心のうちで褒めあった。
けだるさから眠ってしまいそうになりながらも、やっと息が整ったころ、輝乃が言葉を発した。
「こっち、来れないの? 会いたいよ。会って、」
「近いうちにね」
輝乃の言葉をふさぐ。会いたいのはこちらも同じだった。でなければ、こんなことはしていない。
だが会えないからこそ、こういう形にならざるを得なかった。
いかに血が繋がっていないとはいえ、形の上では姉と弟だった。二人がそれで良くても、両親をはじめとして、悲しむ人はいる。けじめはつけないといけなかった。まして年長である自分がそのけじめを破るわけにはいかなかった。
「じゃあ、まだ、お母さん帰ってこないから……、ね。もっと、ううん、もう一回だけ」
「いいよ。じゃあ、もう一回、気持ちよくなろうね」
今日だけ、この瞬間だけ、血縁を越えて二人は雄と雌になる。
この素晴らしい時間をまた過ごすためにも、生きていかなければならない。辛いことの先に、決していいことが待っているとは限らない。サイコロを振るように、なかなか希望の目が出てこないこともある。
ただ、生き続け、苦しいことを乗り越えた先には、幸せの「可能性」は常にある。現に、いまこうして弟との性欲にふける時間は幸福以外の何ものでもない。
理恵は、遠く離れた弟との交合のために、代役のディルドーを再び手に取った。
