天旗 | 成人向け長編小説 | 天使召喚師・理恵 邪神との淫戦記 | 第一章 あらわる! 女の淫気を食らう妖獣 1/2

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第一章 あらわる! 女の淫気を食らう妖獣 1/2

「匂いが、するね」
 夜道を歩く少女がそう声を発した。
 植物性の匂いが、かすかに空気に混ざっていた。
 街灯はついているがまばらで、家もそう密集していないのでそこからの光も期待できない。
 彼女はひとり、そんな道を歩いていた。
 名は、浅井《あさい》理恵《りえ》という。横から見ると刃物を思わせるような、鋭い角度のストレートボブが彼女を印象づける。さらに猫科の動物のような吊り目がさらにクールさをひきたたせている。
 横顔は、鼻筋からみずみずしい唇、あごに至るまでのラインが細いペンでさらりと描いたように整っていた。
 歩く右の手には、鉄柵が続いている。その柵をはみ出して手入れのされていない木々が葉を伸ばしているが、その中をうかがうことはできる。何か建物があるようだが、人の行き来もなく明かりも見えない。長い間使われずに放置されている施設だろうか。
「この柵の向こうからか」
 少し上を向いて声を出すが、やはりそれを聞く相手は見つからない。
 理恵は足を速めて柵の切れ目を探した。下着ぎりぎりの長さのプリーツスカートが危うく揺れる。豊かな尻肉がスカートをまるく突き上げ、露になっている太股はむっちりと瑞々しく、暗い中でもその白さがわかる。
 スカートと同じ濃紺のブレザーを彼女は羽織っている。胸元に赤いネクタイがのぞいている。学校の制服だろう。左肩のところには、校章らしきワッペンが見える。
 匂いが、かすかながら強くなっていった。甘いようで青臭さのまじったような、熟した果実を思わせる匂いだった。
 ようやく理恵は鉄柵が崩れたところを見つける。人が容易に通り抜けられ、地面は踏みつけられたあとがある。地元の人間にとって、近道に利用されているのかもしれない。
 ためらいなく中へと入った。さっきまで歩いていた道も暗かったが、さらに暗い。
 携帯電話を開いて足元を照らしていたが、理恵はもっといい方法を思いついた。
「こういう時に──使わないと損よね」
 手のひらに向かって、意識を集中させる。彼女は自身でこの行為を、「素《そ》」を集めると呼んでいる。「素」は彼女の手のひらに集まり、そしてゆらめく炎となった。
 これが、彼女のひとつめの能力だった。ひらたく言うところの「魔法」であり、具体的には「火を操る能力」になる。彼女がこんなところを夜中に歩いているのは、そのあたりに理由がある。
「うん、ん……ん……」
 嗚咽のような、くぐもった女性の声が聞こえた。断続的に、建物のほうから聞こえている。
「ち、やっぱりもう現れてたか」
 遅まきながら理恵はその声のほうに向かって駆けた。
 近くで見ると、建物は両翼を伸ばしたように横に長かった。大きな車寄せもあり、かつては立派な建物だったのだろう。
 しかし、その車寄せのところには、日常から逸脱した生き物が根を下ろしていた。
 字どおり、それは「根」を地面に這わせていた。一見、巨大な植物のようにも見える。だが、その生き物の幹のような部分からは枝ではなく触手が伸びていた。
 触手は人間の腕ほどの太さで、粘液におおわれているのかテラテラと光を放っていた。
「ドルアーガに出てきたな、こういうの」
 理恵はレトロゲーマーなので、表現が古い。
 その(古いゲームに登場した)ローパーもどきの生き物は、その触手で女性をひとり捕らえていた。
 触手生物には目に相当する器官がないようで、近づいてきた理恵にも気づかないようだった。忙しくうごめき数えることも難しい触手で、女性の腕や足をからめ、身動きをできなくしていた。
「ん……くはぁ……ん! んっ……」
 女性も理恵が近づいてきたことに気がついていない。
 年のころは二十代前半だろう。スーツを着ていたと思われるが、女子大生が就職活動中なのかもしれない。「思われる」というのも、彼女はすでに体に衣服をほとんど見につけていなかった。ブラウスの断片がわずかに肩にかかり、紺色のスカートもベルトで守られた腰のところを残すのみだった。
 理恵の見た目の読みはおおむね当たっていた。
 女性は小岸加奈子《こぎしかなこ》といい、大卒で今年から勤め始めていた。いまやボロボロになったスーツは着始めて間もないものだった。
 加奈子は家路の途中で、ここを抜け道にすれば早く家に着けることを知っていた。普段はあえて踏み入ることはなかったが、今日は仕事で遅くなってしまったのでここを通ることにした。それが、この結果となった。
 とびきりの美人というわけでもないが、加奈子は人好きのする顔をしている。だが今は恍惚に頬を染め、つき上がってくる快感に半開きの口からはだらしなく唾液を垂らしている。時折、耐えようと歯をくいしばろうとするが、絶え間なく女性器に押し入ろうとする触手の動きによって、そのわずかな抵抗も散らされる。
「あううう、はう、はう、ああああ」
 同性ながら、その淫らな姿に理恵はのどを鳴らす。
 ──すご……あんなに太いの入っちゃってる……
 一般的な男性のもつモノよりもひとまわりは大きいだろう、理恵の腕まわりぐらいはあると見える。その太さのものが、水を勢いよく流したホースのように暴れまわっているのだが、加奈子に痛そうなそぶりが見えない。十分すぎるほどの量の粘液がローション代わりになっているのだろうか。
 ついこの間、ネットで偶然見つけた獣姦ものの動画を理恵は思い出した。あれは犬だったが、犯されている女性に構わずにひたすら激しく腰を打ちつけていた。この理性のない動きはそれを想起させる。

挿絵

「いやぁぁぁ、いや、いあ、ぁっ、あぶ、あ、もうだめ、も、あ、だめだめだめ、あ、ひぃやあああっ、ああはふ! ふぃいいやぁ!」
 ぶっちゅ、っつちゅぶ、ぷっちゅぷ、ぶっ、ちゅっぶうっ。
 触手が女陰をむさぼると、そのたびに穴が開いたパイプのように触手のまわりから液があふれて、ぼとぼとっ、と地面を叩く。
 触手が分泌しているものと、加奈子が自ら垂らした液体との割合は判別できなかったが、それでも地面に水溜りができるほどの量である。
 鳥類が餌をついばむように、その動きは執拗だった。ねじれるように突き入り、汁を四散させながら何度も、何度も前後動を繰り返す。
「は、いやぁ、へぐ、えぁ、あ、ああああぁ、うぅ、うぅぅあ、やめてよ。やめてぇえ! はぅぅん! はわ、ひぃぃぃぅう!」
 まれに、触手がその先端の形を垣間見せる。キノコを容易に連想させる、男根を極度にデフォルメした大げさな張りが、淫水をかき出す役目を果たしているようだった。
「やだよう、ふぁっ、もう……んっ、ああ、いやぁああ、ん、ん! あああ、あっ、またイく、またイっくぅっ!」
 空で、加奈子は身体をのけぞらせた。これが数度目の絶頂だった。
 同期するように、加奈子の秘部に埋没していた触手も激しくうねり、いったんピンと張ると白濁液をおびただしく垂らしながら抜け出てくる。
 射精とよく似た現象だったが、その液には媚薬のような効果があるようだった。
 つい先ほどまで処女であった加奈子の破瓜の血はすっかりその液で洗い流され、その痛みもすぐに快感の麻酔で霧消させてしまっている。
「はぁ、は……くふぅぅああっ! また、あっ、またくるぅ……」
 加奈子に休む間も与えず、次の触手が侵入と蠕動を開始する。同じことの繰り返しのようでもあるが、加奈子の反応が次第に変化を見せている。
 やはり触手の吐く液の効果なのだろう、理恵がここに着く前にはただ痛みに耐えてこわばるだけだった加奈子の身体は全体的に紅潮し、乳房もかすかに赤みが差し、誰の舌も触れたことのない乳首は伸びんとばかりにツンと尖っている。
 触手の液のほうがあまりに量が多いために判別がしにくいが、加奈子自身から秘部を潤わせている。彼女の足を地面に向かってつたう幾筋かの流れは、陰部が望んで流す愛液だった。
「あ、あ、いっぱいなの、いっぱいはいってるの、あ、いひぃぃ、あん、あぁああん」
 加奈子の悦びの声。
 彼女がこれを望んでいるかのようにも見えてきたが、理恵はこのまま放置した場合、加奈子がどうなるのかを知っている。
 とある人物からの指令。
 連続で起こっている、女性暴行事件。
 現場に残されるのはおびただしい白濁液と半裸の女性。白濁液が人間の精液とは成分が違い、バケツですくうほどの量があることから、普通の強姦ではないことはすぐに判明した。
 そして事件は公にされず、しかるべきルートを経て理恵のもとに情報が提示された。
 女性ばかり襲われる。
 一見、性交のような痕跡。
 人でないものの所業。
 そして、被害にあった女性は精神的に大きなダメージを受け、ほぼ全員が意識不明にまで陥る。一部の例外は、死に至った。
「けっこう見ものだけど、そうも言ってられないか」
 理恵は「素」を集め、手のひらに炎の玉をかたちづくる。同時に、ローパーもどきを睨み、攻撃点を探す。動かないので狙いはつけやすいが、いかんせん人質のような形になっている加奈子に当てるわけにはいかない。
「そこっ」
 野球のボール大の炎の玉ができあがったところで、「根」にあたる部分に向かって投げた。狙い過たず怪物の足元にあたったが、小さな火柱をあげただけで、特に反応はない。
 粘液で厚くコーティングされているから、火が効きにくいのか。
 試しに他の場所にも打ち込んでみるが、大差はない。理恵の予想が裏打ちされただけだった。この怪物を倒すだけなら、そのコーティングをものともしない火力を撃ち込んでやればいい。それだけの力を理恵は持っていた。ただし、そのときは加奈子も消し炭になってしまうだろう。
「馬鹿とハサミは使いよう……ってことで、馬鹿を呼ぶか。──おいで、メル」
 理恵がそう虚空に呼びかけると、一陣の風が通り抜けた。

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